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日々の依頼 その2 ③

ブクマ登録、ご評価ありがとうございます!



「グギャッ!?」

「ガアアッ!」


唐突に人食い虎を食らい始めました。

確か、【共食い】というスキルがありました。

同族を食らうことで、強くなるのかもです。


「ギャヒッ」


人食い大虎は、気味の悪い笑い声を上げながら、人食い虎を食い殺しました。

そして黒いオーラを纏って、次の獲物を探します。


……群れのリーダー?とはいえ、仲間を食い殺すのはちょっと気分悪いです。

それが弱肉強食だとしても、目の前で起こるのは嫌な気分です。


周りの人食い虎は倒してしまいましょう。

また食べられても困ります。


「【流星(メテオ)】!」


MPポーションを呷り、一体一体を確実に仕留めます。

わたしの経験値のためにも!


「【流星(メテオ)】!」

「…ガァッ」

「!」


人食い大虎と目が合いました。

目障りな!とでも言うようにこちらを睨みつけ、駆け出しました。


「…どこへ行く」

「ガッ!?」

「背を向けるとは愚かな」


ヘラクレスさんに背を向けた人食い大虎は、ヘラクレスさんの背部への一撃で地面に沈みました。


そしてさらに棍棒を振り下ろします。

モンスターへの特攻とはすごいです。みるみる人食い大虎のHPが削れます。


十二の試練を突破したヘラクレスさんは、規格外の存在ですね。

突破するのに力も知識も必要ですから。


白目を剥き地面で震える人食い大虎。

あの人食い大虎はもはや動けませんね。


「【流星群(メテオシャワー)】!」


空より落ちる流星が、周りにいた人食い虎へと真っ直ぐに命中します。

その流星は、人食い虎のHPを燃やし尽くしました。


よし、周りにいた人食い虎は全て倒しました。

残りはあの人食い大虎だけです。


杖を地面に倒れ伏した人食い大虎へと向けます。


「……【流星(メテオ)】!」


MPを多量消費したとしても、最後は流星(メテオ)を選びました。

暗闇を駆ける一筋の願い星。

その輝きを、わたしは目に焼き付けました。






‐人食い虎、人食い大虎を倒しました‐

種族レベルが4上がりました。

任意の場所へステータスを割り振って下さい。

SPを8獲得しました。

メインジョブレベルが4上がりました。

アストラルハイウィザードがLv.15になったため、以下の能力が解放されました。

【星魔法】召喚枠+1

【神秘】 継続時間+30分

人食い虎の毛皮、爪、牙を手に入れました。

人食い大虎の毛皮、爪、魔石(大)を手に入れました。





………ステータスは後で操作しましょう!

この戦いはほぼヘラクレスさんとシリウスとサジタリウスさんのおかげですね。

……魔法が使えなくなったときの為に、戦い方を学んでおきたいところです。

わたし一人だと、こう戦えませんしね。


ハッ!そろそろヘラクレスさんの時間が!わたしは急いでヘラクレスさんに向き直ります。


「ヘラクレスさん、ありがとうございました!」

「…また何かあれば喚ぶといい」

「はい!頼りにさせていただきます!宴もしましょう!」

「…あぁ」


ヘラクレスさんは小さく笑うと、スーッと消えました。

大英雄ヘラクレス………このような戦闘でも大きな力を見せてくれました。

本当にわたしのレベルと同じくらいの出力なんですか??

わたしより何倍も強そうなのですが??


「お疲れ様でしたね、ミツキ」

「ありがとうございますサジタリウスさん」

「魔法の命中率が高く、周りもよく見れています。このまま精進する事ですが」

「ありがとうございます!…ですが?」

「少々近距離戦闘は怪しいですね」

「うぐ、弱点です……」

「我らの中には武器の扱いを心得ている者もいますから。今後稽古でもつけましょうか」

「……よろしくお願いします!」



なんと心強い!

ぜひお願いしたい所です。

その場を凌げるくらいに扱えるようになる事が理想ですね。


「この後は如何しますか?」

「ルクレシアへ戻ってギルドに報告したら、お師匠様のところへ戻ります」

「そうですか。…では、ここで失礼しますね」

「はい!ありがとうございました!」


サジタリウスさんは微笑んで消えました。

シリウスは離れたところでちょこんと座り、こちらを見ます。


「シリウスも戻る?」

(おう。また喚んでくれよな)

「…つまみ食いは程々にしてね。落とす素材に関係あるかもわからないから」

(……考えとく)

「それ考えないやつ!っあ、還った…」


目を逸らしながら小さな声で言って消えました。

それ考えないやつですってーー!


もう……じゃあわたしはギルドで報告して、お師匠様の所へ向かいます。

静かな所でステータスと、アストラルハイウィザードがレベル上がった事で解放された能力もゆっくり確認しましょう。



懐中時計を握りしめて、ルクレシアのギルドへ飛びました。




「……!ミツキ様!」

「ひょっ、はい!」


依頼カウンターに近付こうとした時、カウンターにいたリルファさんと目が合いました。

そして名前を呼ばれたので咄嗟に返事をすると、カウンターからリルファさんが出てきました。


受付のお仕事は大丈夫ですかね?


「申し訳ございませんミツキ様、少々お話がありまして。相談室へよろしいですか?」

「?はい、わかりました」


何かあったのでしょうか。

リルファさんの後について行き、ギルド2階の相談室へと入りました。


なるほど、ここは相談室でしたか。

精霊池の水の時に連れて行かれたお部屋でした。


ふかふかのソファに座りながら待ちます。

リルファさんはわたしをソファに座らせたあと、部屋を出て行きました。


………何かやらかしましたかね。

思い当たるものは無いのですが………


うーんと唸りながら考えていると、扉が開きました。


「っと。待たせたな嬢ちゃん」

「ディラックさん!」

「おう。ディラックさんだぜ」


リゼットさんのお店で会ったディラックさん!

ギルドマスターであるディラックさんとリルファさんが共に入ってきました。


ディラックさんは入り口近くの棚にある水晶に魔力を通しました。

……ふむ、何か結界のようなものが張られた気配がしますね。


「今回ギルドの不手際で、嬢ちゃんが受けられないランクの依頼を受注しちまった事がわかってな」

「ミツキ様、大変申し訳ございませんでした」

「へ!?あ、頭を上げてください!そんな依頼受けましたか!?」


ディラックさんが眉間にシワを寄せながらそう言い、リルファさんが謝罪と共に頭を下げました。


慌てて頭を上げるように伝えます。

身に覚えはありませんが!


「今回嬢ちゃんが受けたリースの池周辺の人食い虎の掃討だが、嬢ちゃんはソロだろ?」

「はい。一応ソロでやってます」

「リースの池の周り……南部はモンスターのレベルは35〜50とレベル差があってな。嬢ちゃんはレベルは高いがギルドランクはEだ。そんでその辺りの人食い虎のレベルは40〜45、掃討すると人食い大虎まで出てくる。出てきたろ?」

「は、はい。レベル高いな、と思ってました」

「依頼を受注する際にソロかパーティーか、後は冒険者のレベルも吟味して受注するかは判断してるんだが、今回の依頼はソロであればギルドランクC相当の依頼になる。……それは嬢ちゃんが例えば召喚師だとしてもまあソロ扱いになるからな」

「そ、そうだったのですね」

「まさかEの所にこんな依頼が混じってるとはな……依頼はキャンセルしておくか?今回は失敗扱いにならんようにするが」

「…あ、大丈夫です。倒してきました」


「は?」



イベントでレベル上げましたからね……なんて事を考えていたら、話が大きくなっていました。

ヘラクレスさん達のおかげで倒しましたし、大丈夫です。


「倒したのか!?」

「?はい、頼りになる仲間たちを喚べるので」

「ギルドカードと、人食い大虎の素材とかあるか?」

「はい」


ギルドカードと人食い大虎の毛皮を取り出します。

ディラックさんがベルを鳴らすと、少ししてシルヴァンさんが部屋に入ってきました。

なんですかそのベル!?


「特定の職員に通達が行くベルだ」

「そんなベルが…!」

「失礼します〜シルヴァンです」

「おう来たな。これ鑑定してくれ」

「了解です」


シルヴァンさんが人食い大虎の毛皮を見つめます。

多分見つめているのだと思います。


「……立派な人食い大虎の毛皮ですねえ。ミツキ様が討伐されてます」

「!」

「へ、討伐者までわかるんですか?」

「わかりますよ。僕の《眼》は特別ですからねぇ。討伐証明が必要な依頼があるんですけど、たまーに別の冒険者に討伐させてその素材を買い取ってギルドに出す冒険者とかいるんですよねぇ……ギルド的にはちょっとNGです」

「なるほど、そうなのですね」


そんな輩がいるんですねぇ。

やはり討伐依頼なら自分で攻撃しないとです。

……まあわたしは手札が全部ジョーカーみたいな所がありますが。

そういう意味ではとても戦闘において恵まれています。


「すまねえな嬢ちゃん、気ィ悪くしたろ。嬢ちゃんがあの二人の弟子だってわかってるが、確認しないといけない決まりでな」

「いえ、大丈夫です」

「討伐依頼はこれで受理する。報酬に色もつけるし、なんならランクアップに必要な討伐依頼はこれで足りるようにするか」

「へ!?」

「採集依頼は受けてもらわんとならんが」

「そ、え、あ、そんな事できるんですか!?」

「おう。これでもギルドマスターだからな、その辺は俺の裁量だな。嬢ちゃんのレベルと戦闘能力を鑑みて、ランク上げといた方がいいんじゃねえかと思ってな」


リルファさんがギルドカードを持って部屋から出ました。

シルヴァンさんは人食い大虎の毛皮を眺めてます。

……好奇心で、毛皮に触れます。

!毛が硬めですが、よい手触りです。


「まあ今回は特例だと思って、次からは依頼をこなしてくれ。今後このような事が起きないように出現場所の確認も徹底させる」

「いえ、ご配慮ありがとうございました」

「冒険者のサポート、そして取り締まるのがギルドだからな。今後共よろしく頼むぜ」

「はい!よろしくお願いします!」


ディラックさんとお互いに笑顔を浮かべて、頷き合いました。

ギルドマスターとして、ディラックさんはとても信頼できる方ですね。

真摯に対応してくださりありがとうございます。



………じーっとこちらを見るシルヴァンさんを、触れるべきか触れないべきか。


「……ミツキ様」

「ひょっ!な、なんでしょうか?」

「何か珍しい物をお持ちだと僕のセンサーが反応してましてね?個人的に報酬を出すのでちょっと【鑑定】させていただきたいのですが」

「そんなセンサーが……」

「センサーは嘘ですけど」

「…………」


ジト目でシルヴァンさんを眺めます。

……珍しいもの………珍しいもの………?

アイテムボックスを眺めながら探します。


……あ、ソル様から貰った太陽鉱石や、陽光珠があります。

もしかしたら、シルヴァンさんなら■の部分も読めるかもです。


「……ディラックさんの前で仕事以外のことしても大丈夫なんです?」

「僕の《眼》の経験値の為に!みてもいいですよね!?いいですよね!?」

「……変な事しねえように見張るから、よろしく頼むぜ」

「ヒャッホウ!」


ディラックさんはため息をついて、腕を組んでシルヴァンさんを睨みつけました。

…シルヴァンさんがハイテンションになりました。


シルヴァンさんがどこからかクッションを出したので、そこに太陽鉱石を乗せます。

シルヴァンさんは見たことありますかね?


「………ふおおおおおなんだこれ!?」

「ぴっ!?」

「太陽熱の込められた鉱石!炎、熱への親和性が高く、この鉱石を使って武器を作成すれば炎耐性を持っているモンスターへ関係なくダメージを与えられますし、炎の威力も上がりますねえ!すげえ!!」


そ、そうなんですね!

それを使って武器を作れれば、良い武器が作れそうです。


「良いもの見せていただきました……」

「あ、シルヴァンさん見て頂きたいものあるのですが」

「何でも来いですよ」


良い笑顔を浮かべたシルヴァンさん。

太陽鉱石を回収して、陽光珠を乗せます。

占い師が使うような水晶の中で、炎が揺らめく不思議なアイテムです。


「…………………」

「……オイ、シルヴァン」

「…………………」

「……シルヴァンさん?」


ディラックさんと呼びかけましたが、シルヴァンさんは微動だにしなくなりました。

え、大丈夫ですか!?


「……べぇわ」

「?シルヴァンさん?」

「とんでもねえ代物ですよこれ!」


シルヴァンさんが顔を上げて、わたしに近付きます。

わっ!?びっくりした!?


「この炎!太陽の炎です!むしろ太陽神の力の片鱗が入ってると言っても過言ではありません!どこで手に入れたんですかこれ!?」

「オイシルヴァン。それ以上は冒険者に聞くことは許さんぞ。ミツキの冒険の賜物だ」

「…ッ!失礼しました、つい昂ってしまって」

「い、いえ……」


ディラックさんの一言で、シルヴァンさんはテーブルの横で膝を突きました。


「…むしろ報酬を出すので、鑑定してもらいたかったのです。わたしには読めない部分がありまして」

「いえ、見せていただけた事で十分です。もう一度みてお伝えしますね」


シルヴァンさんは真剣な雰囲気で、陽光珠を見つめます。

そして頷くと、顔をわたしに向けました。


「このアイテムには、太陽の力が宿っています。それが炎として可視化されているのです。故に、()()()()()()()にする事が出来る、とのことです」

「太陽、祭壇…」

「これがあれば太陽神の神殿が作れますし、王都にある太陽神殿が喉から手が出るほど欲しいでしょうね」



な、なんですと!?

わたしは目の前の陽光珠を見つめました。


とんでもない代物ですね!?



そして長くなるので分けます!あの依頼はレベル41のソロには難しいんじゃ!普通ならな!!普通、ならな!!


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
アストラルウィザードがというより、アストラルウィザードとしても切り札もいいところな大英雄が凄いというか…… あと、他の方も言っておられますが、太陽様の大奮発を惜しみなくお裾分けした結果の現状ですからね…
[良い点] 凄いですね、大英雄の戦闘♪シリウスさんがお茶目(笑) [一言] 神話だと色々なお話が追加されるから面白いのですよね~。大英雄だと竪琴の師匠を怒って殴るのに後付けで女性や子供に優しいとかある…
[一言] 太陽神さま、実は問題児なのではと思えてきた。やらかしの大半があの人(神?)関連じゃないですか!?
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