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日々の依頼 その2 ②

ご覧いただきありがとうございます!



人食い虎が出るのはルクレシアから南ですね。

この間夢見の森へ行くまでに休憩した池からのが近いです。

そこに転移しましょう。



路地裏で懐中時計を握りしめて、見覚えのない池の名前をタッチします。

リースの池………名前って着けるの大変ですよね。



目を開けると、池のほとりに立っていました。

何回やっても便利です!ありがたい!


………一切プレイヤーの気配ないですね。

皆さん南には来ないのでしょうか。


じゃあわたしは、ヘラクレスさんをお喚びしたいと思います。

……困ったときのシリウスを先に喚び出します。


「〈おおいぬ座(シリウス)〉」


魔法陣から寝そべったシリウスが出てきました。


(おう。たくさん喚ばれて嬉しいぜ)

「他の皆も喚べるように頑張るよ……!」

(おう。用がなくても喚んでやってくれよな)

「わかった!……今日はヘラクレスさんをお喚びしたいんだけど、喚んでも大丈夫かな?怒らない?」

(……ヘラクレスか)


シリウスが目を閉じました。

えっそれはどんな反応ですか!?


(……サジタリウスも喚んでおけ。まあそんな怖いやつじゃねえけど)

「わ、わかりました。〈いて座(サジタリウス)〉」


サジタリウスさんが、魔法陣から出現し周りを見渡します。


「……おや、私もですか」

「ヘラクレスさんをお喚びしたいのですが、シリウスがサジタリウスさんも喚んでおけと」

「…そうでしたか。なるほど」


サジタリウスさんは微笑んで頷きました。


「神話で語られるヘラクレスは中々凶暴ですからね。喚び出すヘラクレスがどのような性格なのか心配、と」

「うぐ、はい」

「……大丈夫でしょう。我らは召喚者へ好意的です。喚ばれたくてウズウズしてるものもいます。基本的に力を貸したくて堪らないのですよ」

「……ふふ、そうなのですね」


オリオンさんも気さくで気のいい兄貴!というような感じでした。

神話に語られるヘラクレスさんだと決めつけるのは偏見でしたね……

お会いしたヘラクレスさんを、信じさせてもらいましょう!



「〈ヘルクレス座(コルネフォロス)〉」


目の前の魔法陣から、大きなシルエットが出現しました。

獅子の皮を被り、筋骨隆々な大男です。

あ、キトン着てます。良かったです神話はほぼ全裸でしたからね………


見上げると、こちらを見下ろす金の瞳と目が合います。


「……………」

「……………」


お互いに無言です。

なんだか逸らしてはいけない気がするので、そのままジッと見つめます。


「……そこまでにしておきなさい二人とも」


苦笑しながら、サジタリウスさんが間に入ってきました。

はふぅ……謎の緊張感です。


オリオンさんと同じくらいか、少し大きいです。

すごい筋肉量です……強いですね。


「ミツキと言います。ヘラクレスさんとお呼びして良いですか?」

「…ああ」

「どうぞこれから、よろしくお願いします!」

「…わかった」


ぺこりと頭を下げて、またヘラクレスさんを見つめます。

言葉少なに答えたヘラクレスさんは、徐々に眉間にシワを寄せました。

はっ怒らせてしまいましたかね!?


「し、失礼しました」

「…いや」

「……ヘラクレスは貴女に普通に対応されて、困惑しているようですよ」

「へっ」

「……」

「こんな大男、普通に見たら恐ろしいでしょう」


サジタリウスさんのその言葉で少し肩を落としたヘラクレスさん。

すごく寡黙な方ですが、狂気的な様子は無いです。

むしろサジタリウスさんの言葉でちょっとダメージ受けてます。


「……こちらに敵意を持っていたら逃げるほど怖いですが、味方でいて下さるのなら、とても頼もしいです」

「…そうか」


サジタリウスさんはニコニコしてわたし達の会話を見守っています。

すごく、先生です……


「ヘラクレスさんは戦闘に特化していると思うのですが、どのようなお力をお持ちなんですか?」

「…存在する全てのモンスターへの特攻を持つ。巨人でも、神でも」

「ほあ」

「…獲物は弓、棍棒、鎌を使う。…デメリットは、燃費が悪い所か」

「ね、燃費ですか?」

「ミツキ、自分の残存MPを見なさい」


サジタリウスさんに言われてちらりとMPバーを見ます。

……!もう1割しかありません!


星座を喚ぶ時には、今まで一体につき1割消費していました。

シリウスとサジタリウスさんもそうです。

ほぼ満タンだったMPの、7割をヘラクレスさんを喚ぶ事で消費したと言う事になります。


なるほど……燃費………


「後はヘラクレスの召喚は召喚枠を3枠消費します」

「さ、3枠!!」

「…すまん」

「お強いですね……」


なんというか、規格外です。

……そんなデメリットと言うほどデメリットでは無いような気もします。


「制限時間もある」

「制限時間!?」

「あと1時間で強制的に還されますね」


それが一番のデメリットでは!!

早く人食い虎を倒しに行きましょう!


「ではすぐに人食い虎の群れを掃討しに行きましょう!」

「そうですね。ヘラクレスの戦いは実際に見てもらった方が分かりやすいでしょう」


サジタリウスさんはヘラクレスさんに近寄って何か話してます。

変わらず足元で寝そべるシリウスを撫でます。


「……なんでサジタリウスさんも喚べって言ったの?」

(ヘラクレスは口下手だからな。テンポ良く会話するなら師がいた方がいいだろ)

「なるほど」

(そら、さっさと行こうぜ)


シリウスは立ち上がって歩き出します。

では、人食い虎を探しに行きましょうか。わたしもMPを回復します。


時間も無いですからね!







さて、人食い虎、人食い虎………

虎のモンスター……


虎じゃないモンスターは、ヘラクレスさんの一撃で沈みます。

それを魔法を放ってトドメを指します。


サジタリウスさんが足を止めます。

ヘラクレスさんもシリウスも同じように立ち止まりました。


サジタリウスさんはこちらを見て微笑みます。

……なるほど、指導の時間ですね???

わたしはまだ気付けませんが、近くに人食い虎の群れがいるのかもしれません。


わたしは深呼吸して、目を瞑って気配を探ります。

……小さい足音。これは角ウサギくらいのモンスター……

軽く地を駆ける……これはシリウスくらいの大きさ……

鳥の羽音……虫の、鳴き声……?


その中でも、重く、気配を殺しながら地面を踏みしめて移動する気配を感じ取りました。


彼らが、人食い虎でしょうか。

……追いましょう。


目を開けて、気配のする方へ視線を向けます。


「……どうぞ。私たちは、貴女についていきます」

「わかりました」


サジタリウスさんの言葉に答えて、気配のする方へなるべく音を立てないように走ります。

視界に捉えたら即流星(メテオ)しましょう。


音を立てないようにするスキルも欲しいですね。

角ウサギの時も思いましたが、もう少し気配を抑える練習もしないとですね。



「【身体強化(魔)】【ブースト】」


小さな声で強化します。

森を抜けた先に、気配を感じます。

森を走り抜けると、月明かりの下を移動するモンスター達が視界に入りました。


「【流星群(メテオシャワー)】!」


ここはダイナミックに!広範囲に攻撃しましょう!

流星も今まで3つでしたが、5つ流れるようになりました!


「シリウスは回り込んで逃げないように!サジタリウスさんはわたしの援護をお願いします!」

(おう!)

「お任せ下さい」

「ヘラクレスさんは遊撃です!わたしに気にせず、お力を見せてください!【魔力強化(星)】!【魔力強化(月)】!」

「…ああ」


ヘラクレスさんが踏み込むと、その巨体に似合わぬ速さで人食い虎へ接敵し、勢い良く棍棒を振り下ろしました。


衝撃音と振動が辺りへ響きます。

わ、わあ……パワフル……





人食い虎 Lv.44

アクティブ 瀕死

【捕食】【噛み付き】【爪術】

【狂化】【共食い】【風魔法】



レベル高いですねえ!!

それを一撃で瀕死にしました!!


「…次」


ギロリと次の人食い虎に狙いを定めて、棍棒を振り回します。

人食い虎も避けてヘラクレスさんに飛びかかりますが、それは武器を持っていない片手で容易く掴みあげられ、地面へと叩きつけられました。


「グギャッ!?」

「……フン」

「ウォーターボム!」


ヘラクレスさんは冷静に、飛びかかる人食い虎の攻撃を捌いていきます。

気配を読むのと空間認知能力が高そうです。

自身の大きさを理解しているので、最低限の細やかな動きで戦っているようです。


「サンドボム!サンドボム!」


人食い虎の群れは20体くらいいるような気がします。

まあ群れですもんね……


ヘラクレスさんから逃げてきた人食い虎がこちらを捉えます。


杖を握る手に力を込めて口を開いた時、わたしににじり寄る人食い虎の片目が風の矢に射抜かれました。


「ギャッ!?」

「ファイアーボム!ウィンドボム!」


動くモンスターの目を射抜く……なんて精密なのでしょう。

素晴らしいです。


離れたところでシリウスが青い炎で人食い虎を燃やしました。

……ちょっと焼いた所齧ってません??


わたしと目が合ったシリウスは視線を逸らして、次の人食い虎に飛びかかりました。


「……シリウス、食べてもいいけど…今度お肉料理減らすよ」

(そりゃないぜミツキ!)

「ウォーターボム!サンドボム!」


戦闘中につまみ食いするなら、別に減らしても良いでしょう!

わたしは聞こえないふりをして人食い虎を仕留めます。


「そうですね。飴と鞭は使いようです」

「サジタリウスさんが言うと説得力がありすぎますね……」

「ふふ、これでも教え導く立場でしたからね」


風の矢を弓に番え、人食い虎に放ちます。

飛ぶ矢が、5つに分裂しました。



「!?……!?」

「魔力で作った矢ですからね、5本分の魔力を込めれば出来ますよ。やってみますか?」

「こ、今度教えてください」


思わず矢を2度見した所、サジタリウスさんが何でもないことのように言いました。


そのような使い方も出来るんですね……

勉強になります。


ヘラクレスさんは無駄のない動きで人食い虎を掴み、投げ、蹴り飛ばします。

素手も強いですね……


「ガアアアアアアッ」

「!」


人食い虎のトドメをさしていると、一際大きい咆哮が響きました。

ま、まさか………




人食い大虎 Lv.50

アクティブ 激昂状態

【捕食】【噛み付き】【爪術】

【狂化】【共食い】【風魔法】

【指揮】【咆哮】





ボ、ボス!?!

群れのリーダーです!?身体も大きいです!


殺意に満ちた瞳でこちらを睨みます。

……人食い虎の群れは20体倒すとリーダーが出現する…覚えました。


ヘラクレスさんの制限時間は後20分です。

ヘラクレスさんは微かに笑みを浮かべると、棍棒を握り人食い大虎に歩み寄ります。


「ガッ!」


小さく吠えた人食い大虎は風の矢や小さな竜巻をヘラクレスさんへ飛ばします。

ヘラクレスさんは棍棒を振り回しそれらを打ち消します。


風魔法の効果が無い事を悟ったのか、人食い大虎は勢い良く駆け出してヘラクレスさんに大口開けて飛びかかりました。

ヘラクレスさんは手に持った棍棒を消して、両手で人食い大虎を掴みました。

そして勢い良く首周りを掴み地面へと叩きつけ、その逞しい腕で人食い大虎の首を締め上げます。


人食い大虎は鋭い爪でヘラクレスさんの腕を引っ掻き、後ろ足で蹴り上げますが、ヘラクレスさんはびくともしません。


唐突な格闘技……!?

ヘラクレスさんは格闘技もいけるんですね!


「グッ…ギ、ガアアアアアッ」

「……フン」


人食い大虎が咆哮を上げて、全身から赤いオーラを発しました。

それをみたヘラクレスさんが距離を取ります。


……また人食い虎達が近付いてきました。

人食い大虎助けに来たんですかね。

ヘラクレスさんの邪魔……にはならなそうですが、周りの人食い虎はわたし達が相手しましょう。


「【ブースト】!【二重詠唱(ダブル)】ファイアーボム!」


人食い虎の飛びかかりを避けて、魔法を放ちます。

そして距離を取って、次の人食い虎を視界に入れます。


「【二重詠唱(ダブル)】ウォーターボム!」

(オラァ!)

「サンドボム!」


シリウスが足元に噛み付き転ばせ、わたしは魔法で攻撃します。

ちらりとヘラクレスさんを見ると、人食い大虎の爪の攻撃を棍棒でいなしています。


「ガァッ!」

「フンッ」


口元から放たれた空気の攻撃を片手でかき消して、棍棒を上から下に振り下ろしました。

重い打撃音と共に人食い大虎が地面へとめり込みました。


圧倒的パワー……

地面もボコボコです。


ヘラクレスさんは、人食い大虎が起き上がるのを待っています。

……強者の風格です。


人食い大虎はなんとか起き上がり、視線を動かしました。

その先には、攻撃で弱らせた別の人食い虎がいます。


人食い大虎は一直線に駆け寄り、その人食い虎へかぶりつきました。




長くなりそうなので分けます!

この作品の英雄の解釈なので、解釈違いの方は申し訳ないです!これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 捕食回復されちゃーう!
[気になる点] さらっと混ぜてあるけどネメアの獅子の絞め殺しですね……留め刺すまでやってないけど。
[一言] これソロで受ける依頼ではないのでは……よく受注のとき止められなかったですね!?
感想一覧
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