とあるゲーム運営の呟き
短めですが、運営のつぶやきという名のちょっとネタバレです。
作者はゲームがどう作られてるかはド素人で詳しくないので、そんなの無えよ!となってもふんわりお楽しみください。
千歳カンパニー
第二モニタールームにて
ある程度大まかなイベントシナリオを担当しているチームは、小さなモニターを眺めて大爆笑していた。
「あっまたイベントフラグバッキリ折れましたよwww」
「フラグが立つ間もなかったわね……」
「でもまぁ火種は燻ってるので、クリスティア王家以外のところで燃え上がりそうですけどねぇ」
とあるプレイヤーがクリスティア王族にアイテムを渡した事で、王族の不幸に関するイベントは起こることなく消えた。
「そうだな。貴族達や他国ではよく燃えそうだ」
「それにプレイヤーがどう対応するかですねぇ」
「思っていたよりNPCに話しかけないからな、プレイヤー達」
「プレイヤーが知らない、気付かない内に色々フラグ立って進行してるのやべーよなぁ」
「もっと結構NPCに踏み込んでるやつ多いと思ってたんだが、今の所このプレイヤーしか王族や高位のNPCと関わりもってねえんだよなぁ」
モニターにとある少女のステータスが表示される。
「わ、すっげ。高位NPCからの好感度が軒並み高え」
「あぁ〜こないだ第三モニタールームの室長さんが吐血した時の子じゃないか」
「また吐血してたんか室長サン」
「NPCに良いこと起こると吐血するからあそこの室長」
画面に映る様々なパラメーターを眺め、男たちは頷く。
「…まぁぶっちゃけこの子に関する問い合わせも多いんですよねぇ。チートじゃないのかーとか」
「ウチはチートコードくっつけようとした奴はゲームデータ壊れるように設定してあるだろ」
「そっすよ。だからチートちゃいますよーって返してるんですケド、今の所この子だけですからね。王族と関わりあるの」
「はぁ……めんどくせえけど一問一答でもやるか?プレイヤーに関することは絶対答えねえけど」
「後で別のチームに言っておきますわー」
「むしろもっと俺達が考えたイベントフラグをもっと踏んでほしい」
「「「それな」」」
各NPC達、店、フィールド……
様々な場所に、彼らは必死に一生懸命考えたイベントの種を撒いてある。
しかしあまりに戦闘メインなのか、プレイヤー達の各イベント進行率は全体の5%にも満たなかった。
「様子見るか………」
「そっすね……」
「種撒いておけばAIが育ててくれるからな……」
男たちはため息をついて、それぞれデスクに戻りそれぞれ新しいイベントシナリオを考えるのであった。
‐また別の日‐
「例のあの子が情報屋くんにNPCと関われば?って言ったから皆割と話しかけてるな」
「見境なさ過ぎて不信感のパラメーターも上がってて草生える」
「普通ギルドとか店から攻めないか??道行く人に話し掛けてどうすんだ?馬鹿か?」
「なんか困ってるとか泣いてるとか分かりやすいNPCに話しかければいいのに買い物中のNPCに話しかけてて馬鹿じゃねえのって思うわ」
「ゲーム下手か??」
男たちは呆れた表情でモニターを眺める。
その横で、とある女性は一人のプレイヤーの動向をみていた。
「んぐぅwwwクリスティアの世界樹のフラグも折れたwww」
「まっじかよ」
「世界樹くんプラム強請って食べちった」
「全状態異常無効かー毒も呪いも効かねえなー…」
「NPCが感情豊かなのもアレだな」
「あのプレイヤーじゃなかったらこうならんかった筈だがな………」
「NPCは第三室長サンの子供たちだからな……すげーっすわ」
「まぁ他国の世界樹のフラグは乱立してるからいっか」
壁にはハーセプティアの地図がかけられ、重要度の高いイベントを植え込んだ場所には赤い丸、危険度の高いイベントの場所には黒い丸を書き込んである。
クリスティア王城の赤い丸は、黒く✗印が書かれた。
そしてミゼリアや周辺の街に、小さく赤い丸を書き込んだ。
「結構NPCに弟子入りするプレイヤーも増えてるんだが、普通に弟子入りなんだよな……当たり前か」
「キーアイテムとか手に入れたプレイヤーも、それの使い道がわかってないみたいでなぁ」
「NPCの数が多すぎるのも難題だなぁ」
「キーアイテム持ちにはわかりやすいようにマップに!でもつけるようにするか?」
「やっぱり一問一答で色々アドバイスした方がいいのか……?」
その辺りは開発運営チームと話し合わねばならない。
男たちは大きくため息をついた。
「この子がいればもう少し先に起こす海竜のイベントは鎮海祭の最適解ルートになりそうなんですけれどねぇ」
「NPCの話聞かない脳筋共がいれば海竜を撃退、もし討伐までいくとするならイベント参加者とNPCとの間で不和ルートに突入するからねぇ」
「ぶっちゃけどっちも考えて作ったからどっちに転んでもいいんだけど」
「眷属殺されたら海神大激怒っしょ」
「そうしたら海神VSプレイヤーの殺し合いが始まっちゃうなぁ」
「海神のレベルからみたらプレイヤー赤子じゃん。世界沈没させる気か???」
「そこまでやったら怒られるな……」
彼らは軽く話しているが、その表情は段々と真っ青になっていく。
イベントのフラグ、立てすぎたかもしれん……
彼らは互いに、口には出さないがそう考えた。
「ま、まぁまずはレダンのビッグイベントっすね」
「育っちまったからなぁフラグの樹」
「プレイヤー達はどう動くのかねぇ」
「でもま扉が開くのにあと1ヶ月くらいかかりそうっすから、それまでの間にプレイヤーが情報掴めるかどうかっすね」
「情報屋まじで頑張れ」
「情報屋まじで世界観にもっと触れて」
「図書館の本も頑張って書いたから読んでくれよな……」
彼らは皆大きなため息をついて、デスクへと戻って行った。
そしてまたイベントのシナリオを考えるのであった。
ちっちゃいイベントはたくさんあります。
今後小出しにしていきます!
これからもこの作品をよろしくお願いします!
※追記
ご不快に思わせる文章がありましたので該当箇所は訂正しております。
この度はご不快な思いをさせ大変申し訳ございませんでした。




