表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/369

お師匠様の強さの片鱗

ブクマ登録、ご評価、ご感想ありがとうございます!



………初めて見る方です。

88星座の中で女性の形をしているのは、スピカさんを除けばアンドロメダ座かカシオペア座です。

……カシオペアさんにしては若い気がしますし、アンドロメダさんでしょうか?


「……えと、アンドロメダさん、ですか?」

「!……正解よ」


一瞬目を丸くして、可愛らしく微笑みました。

スピカさんが綺麗系だとしたらアンドロメダさんは可愛い系の方ですね……眩しいです!


「ふふ、よろしくね?」

「はい!よろしくお願いします!」

「なんだい、ペルセウスはどうした」

「あの人は今戦闘中よ」


なるほど、ペルセウスさんと共に喚び出されていたのですね。

戦闘中と聞くと、レンさんがそわっとしましたね。


……わたしもお師匠様の星座達の戦う様子が気になります。


「お師匠様、見に行ってもいいですか?」

「ふむ、構わないよ。どうせ生け捕りにするからね」


い、生け捕り………?


「アンドロメダ。お前さんは留守番だよ」

「……やっぱり駄目?」

「お前さんがいると生贄にされちまうからね」

「はぁーい」


生贄にされる!?生贄に、される!?

何故!?


「……アンドロメダは何故か戦闘中に呼ぶと生贄になってね。そしてアンドロメダが生贄にされるとペルセウスが強くなるのさ。でも好き好んで生贄になんてする訳ないだろう。戦いづらい」

「わ、わぁ………」


神話の通りとは言え中々不思議な能力ですね!?

戦闘中に喚び出しづらいですね………


「さ、お前さん達も気になるんだろう?来るかい?」

「!行きます」

「…はい」


二人もそわそわしてすぐ立ち上がりました。

レンさんはわかりますけど、ミカゲさんも?


ミカゲさんと目が合うと、わざとらしく咳払いしました。


「ミツキ氏の戦いを見た時も思いましたが、常識外の戦い見るのは楽しいんですよ!それが神話上の人物なら尚更です」

「なるほどわかります。わたしも初めて喚び出した時驚きました」

「レン氏みたいに戦いたい!というのは無いですが、見たい気持ちはあります」


強い人の戦いを見るワクワク感ですかね。

手に汗握るワクワク感、昔よく見ていたアニメのような感覚です。


まさかわたしが同じようにモンスターと戦うなんて、夢のようです。





お師匠様について家を出ます。

……微かに戦闘音が聞こえますね。

島で戦っているので、そう考えるとすごい近いです。


中々スリリングですね……住宅の近くで戦っているの恐ろしくないのでしょうか。

……まあお師匠様の場合は皆さんの力を信じているんでしょうね。



「……お師匠様、このような襲撃?はよくあるのですか?」

「ふむ、そう多くはない。ここまでくるモンスターは高いレベルになるからね。頭が良いやつはワタシを()()()。ワタシは強いからね」


かっ………こいいですねお師匠様。

ニヤリと笑うその表情、とてもお似合いです。


「ちょいとお馬鹿な子達が襲いにくるのさ。まぁ問題はない」

「……わたしも頂いた浮島に家を建てようと思うのですが、わたし達が来ない間に襲われたらとても困ります。何か防ぐ方法とかありますか?」

「結界石を四方に設置して結界を張るか、 ランクの高い戦闘人形(バトル・ドール)でも雇うんだね」

「バトル・ドール……?」

「戦闘を目的とする人形さ。人形師という職業の奴らが作っている。勿論戦闘以外に護衛、メイドや執事、子供の世話だって出来る個体もいる」


前を向いて森を進みながら、お師匠様が答えます。

なるほど、戦闘人形………

ちらりとミカゲさんとレンさんを見ると、二人は首を振ります。


なるほど初情報です。

覚えておきましょう。



…大分戦闘音が近付いてきました。

所々火花が散ってるのも見えます。


森が開けたのと同時に、強い風が吹いて思わず顔を庇います。

目をあけると、そこには、







獅子の頭と山羊の胴体、蛇の尾を持つ巨大なモンスターと戦う星座の方々がいました。



「………怪獣大決戦……?」

「ングッ」

「…ック」

「ハハ、いい例えだねえ」


ミカゲさんとレンさんが顔を背け、お師匠様は笑いました。

え、推定10mくらいありそうなモンスターと星座の動物達が戦うの、怪獣大決戦では??



「だが何故こんな所にキマイラがいるのかねぇ。……普段はここまできたモンスターは生け捕りにしてギルドや騎士団の訓練用モンスターにしているが、このモンスターは駄目だね」

「キマイラ………」

「ミツキ、よく見ておくように。それにレンとミカゲと言ったね、お前さん達もワタシより前に出ないように」

「はい、わかりました」

「はい」

「了解です」


お師匠様の言いつけ通りに、後ろに下がります。

ついでにモンスターの事、【鑑定】します。




キマイラ Lv.???

アクティブ

??? ??? ???

??? ??? ???




あ、駄目です全然見えません。


「レンさん、ミカゲさん、キマイラのステータス見えますか」

「見えねェ」

「無理ですな」

「……かなりレベル高いモンスターですね」



二人が見えないならわたしが見えないのも納得です。


……お師匠様が数歩前に出ます。


「さて、弟子の前だ。大盤振る舞いといこうかね」


その表情は、見えませんが恐らく笑っているのだと思います。

お師匠様、実は戦うの好きですね??




「お前達、生け捕りは無しだ。ここで倒すよ」

「お、エトワールやる気だなぁ」

「ならば私は解説役をしましょうか」


そんな空気の中でもマイペースさを崩さない人馬が2体。

サジタリウスさんとケンタウルスさんですね。


「ケンタウルス、貴方は離れたところから攻撃しては?邪魔です」

「同じ毒で死んだ仲間だろ?別に近くで見ててもいいじゃないか」

「私の解説は子供達の為ですよ」

「じゃあ俺は子供達の護衛でもするか」


ケンタウルスさんは中々おおらかな方ですね。

同じ毒で死んだには突っ込めないですけどね………


見えないほどのレベル差です。

お言葉に甘えて守っていただきましょう。


キマイラと戦っていたペルセウスさんが、お師匠様を見ます。


「アンドロメダは」

「ちゃんと置いてきたさ」

「ならいい」


そう言って戦闘に戻りました。

なるほど、奥様のこと心配されてましたね。

仲良さそうで何よりです。




「フン」


お師匠様が指を鳴らすとキマイラを中心に大きな竜巻が出現します。

それはキマイラの体表に細かく、深い傷を与えます。


「あれは【風魔法】のサイクロンですね」

「お師匠様、詠唱してないですね?」

「【無詠唱】というスキルがあるんですよ」


なるほど、とても有用そうです。

アーツの名前を叫ぶの、今からこれ使いますよ!って叫んでるのと同じですもんね。

わたしも覚えたいところです。


にしてもあのキマイラ、空中をまるで地面のように駆けています。

一体どんなスキルなのでしょう。


空中を駆けながらお師匠様へ無数の風の矢を放ちます。


お師匠様は片手を上げると、頭上に黒い渦を出現させました。

お師匠様に向かっていた風の矢は、全て黒い渦に吸収されます。


「ホラホラそんなんじゃ全然足らないよ。もっと打ってきな」

「……グオオオオオオッ」


お師匠様の挑発に乗ったキマイラは、風や炎、水といった矢を、星座達の攻撃を避けながら断続的にお師匠様へ放ちます。

お師匠様はそれに見向きもせず、その場から動かずに、キマイラが静止したタイミングで竜巻を発生させたり、爆発させています。


その間も黒い渦はお師匠様へ放たれた魔法攻撃を吸収します。


「いやそれブラックホールでは……」

「その通りです。……エネルギーを吸収し続けたブラックホールがどうなるか、ご存知ですか?」

「…………爆発、します」



「エネルギーをありがとう。そら、お返しだ」


お師匠様が右手をキマイラへ向けると、頭上の黒い渦は消えキマイラの足元に出現します。

それに気付いたキマイラが離れようとしましたが、次の瞬間に大爆発がおきました。


「ひえ」

「うわ」

「ッ」


轟音と爆風がわたし達の元まで届きましたが、サジタリウスさんとケンタウルスさんが目の前に立ちはだかり何か膜のようなものを展開しました。


「レンさん、ありがとうございます」

「……俺は何もしてねェよ」

「庇ってくれましたから」

「ありがとうですわ」


レンさんは爆発の瞬間に、わたしとミカゲさんの前に立ってくれました。

咄嗟に誰かを庇う行動を取れるのは、とてもすごいです。



「なんだいタフな奴だねえ」


キマイラのHPは6割です。

お師匠様の声音に喜びが混ざり始めました。


「そらそら」


お師匠様は片手をキマイラに向けると、4色の魔法陣がお師匠様の背後に展開されました。

な、なんですかそれはーーーっ!?


その4色の魔法陣からそれぞれ色に合った矢がキマイラへはなたれます。


わたしの放つ矢よりも5倍くらいの大きさなんですが!


「【四重詠唱】ですね。4つの魔法を同時に放てるアーツです」

「すごいですね……」

「っぶねえなばあさん!もっとよく狙え!」

「うるさいねシリウス!お前さんが避けな!」

「……あの二人は」


キマイラの尾の蛇に噛み付いていたシリウスさんがこちらに吠えます。

……ちょくちょく言い合いしてるんですよね、お師匠様とシリウスさん。

サジタリウスさん顔を顰めました。

わたしも苦笑します。



するとキマイラが、空中で静止しました。

キマイラの周りに、乱気流のような渦が出現しました。


お師匠様の放つ矢は渦にかき消されました。


キマイラは、乱気流を纏いながら空中を駆け回ります。

動物達は乱気流に巻き込まれないように、キマイラから距離を取りました。


ペルセウスさんがアルゴルの目をキマイラに向けますが、乱気流が視線を阻みました。

キマイラは石化しませんでした。


その様子を見て、キマイラは高いところからこちらを見下ろして気味悪く笑います。


「ギャヒッ」

「は、随分な態度だね。…このワタシにそこまで来いと?」

「ギャヒヒヒッ」



「頭が高いね。……お前さんが地に墜ちろ」



低い声でそう言い放ったお師匠様。……空気が変わりました。


そしてキマイラに向かって右手を伸ばすと、何もない空中を掴むようにゆっくりと指を曲げます。


「ギッ」


キマイラが空中でバランスを崩しました。

そしてそのまま落下し、地面に衝突しました。

キマイラは、起き上がろうとしますが何かに押さえつけられているかのように、起き上がることが出来ないようです。



「あれは【重力操作】というスキルですね。空中で挑発する馬鹿者を地に落とすのに有用なアーツです」

「【重力操作】……」

「敵に使えばあのように押さえつける事も出来ますし、自身に使えば宙に浮くことも出来るでしょう」


なるほど、すごいアーツです。

重力を操作できるなんて、恐ろしいですね……



「見下ろしていた人間に見下ろされる気分はどうだい?」

「グゥゥ…」

「不愉快だろうねぇ」

「ギィッ!?」


キマイラの身体を、火柱が貫きました。

同じタイミングで、水の柱、風の柱、土の柱もキマイラを貫きます。

お師匠様、容赦ないですね!


「あれは【炎魔法】のフレイムピラーですね。そのまま火柱で対象を貫く魔法です。熟練度が上がれば使えるようになるでしょう」

「な、なるほど……」

「あとはそれぞれの属性魔法の柱ですね」

「すごい威力ですね…」

「いやミツキ氏の師匠さんすごすぎ……」



すごい生き生きしてますお師匠様。

お師匠様にかかればキマイラもやんちゃな子供扱いです。

お師匠様、どのくらいの強さなのか……



「興が乗った!ミツキ!」

「は、はい!」

「手加減してやるからよく見ておきな!」

「わ、わかりました!」


な、なにやらお師匠様が見せてくれるみたいですね!

言われたとおり、よく見ておかないとです!



「……ッエトワール!空中でやるのですよ!」

「島が吹き飛ぶぞー!」

「そんなのわかっているさ!ちゃんと空中に結界張るさね」


えっ

島が吹き飛ぶ……?


「ケンタウルス、貴方は子供達を!」

「おう!サジタリウスは!」

「私は島を守ります!総員、退避!」


周りが慌ただしくなりました。

シリウスさんやペルセウスさん、空中を漂っていたうみへび座(アルファルド)達が慌ててこちらへ移動します。

お師匠様はゆっくりと、キマイラと共に上昇し始めました。



えっ嫌な予感がします。

ミカゲさんが顔を強張らせながらそっとポンチョを掴んできました。

わたしもレンさんの洋服の裾をそっと掴んで、ミカゲさんを引き寄せます。

レンさんも顔を顰めています。


サジタリウスさんが地面に両手をついて、魔力を流します。

ケンタウルスさんは、槍を構えてわたし達を囲うように風の渦を展開しました。



その間にお師匠様は、恐らく重力操作でキマイラを自身より空高く飛ばします。

キマイラは動こうと唸り、魔力を漲らせますが、お師匠様の重力はキマイラを逃しません。



「星の命の終わりを、見届けるがいいさ」



お師匠様の手から、小さな球体がキマイラにむけてゆっくりと進みます。


お師匠様はゆっくりとこちらを向きながら地面に降り立ちました。


「【超新星(スーパーノヴァ)爆発(エクスプロージョン)】」



次の瞬間に轟音と爆風と、何かが割れる音が響きました。

光と風に顔を庇いながら目を瞑ります。



収まった頃に目を開けると、お師匠様がこちらへ向けていい笑顔を見せていました。



「どうだい、かっこいいだろう?」

「……かっこいいを通り越して凄まじいですお師匠様……」



キマイラは、影も形もありませんでした。





お師匠様はな……やべー奴なんですよ……


これからもこの作品をよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ペルセウスがアンドロメダとのんびりしてていきなり戦闘が始まったら笑えない事に…………(状況と内容によっては普段冷静なペルセウスがキレそう)
[良い点] 国を滅ぼせる、の看板に偽りなし! やっぱり師匠は凄いんだなぁ。
[一言] おさげのおじい様を思い出しました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ