情報屋クラン《プロフェッサー》
ご覧いただきありがとうございます!
6600文字ありますのでちょっと読みづらいかもしれません( ˘ω˘)
ファンシーな装飾の店内へ入ります。
ここは森の木陰と言うカフェです。
あ、レンさんが顔を顰めました。
申し訳ないです……居心地悪そうです。
全身真っ黒のレンさんは浮いてますね……
そしてボックス席へと案内されました。
………ミカゲさんとレンさんに挟まれる形で座りました。
ミカゲさんは足を組んでテーブルに頬杖つき、レンさんは準備運動なのか片手をプラプラさせています。
両隣の柄悪すぎですか???
すんごい煽ってるようにしか見えません……
心なしかウィズダムさんの笑顔も引き攣っているような気もしますが。
「あ、このふわふわパンケーキのアイス乗せとブラックコーヒーお願いします」
「……お二人はどうされますか」
「結構ですわー」
「いい」
ウィズダムさんの言葉にレンさんとミカゲさんが素っ気なく答えます。
ウィズダムさんとギリーさんはそれぞれコーヒーを頼みましたね。
お互い無言です。
………ふむ、探り合いですか?不得意です。
「お待たせしました」
「ありがとうございます!」
NPCの店員さんが、パンケーキをわたしの目の前に置きました。
はわ!かわいい!美味しそうです!
思わずスクショしました。
よし、では!
「いただきます!」
ふわふわのパンケーキを切り分けて、バニラアイスを乗せて口に運びます。
んむ!ふわふわです!甘さ控えめで、バニラアイスの甘さがいいアクセントです!
生地がふわふわなので、重たくないです!
顔が綻びます……美味しい……
-ミカゲ視点-
(随分とまぁ、美味しそうに食べますなぁ)
幸せそうにパンケーキを口に運ぶミツキ氏。
レン氏も優しい眼差しで見守ってらっしゃる。
ウィズダム氏とギリー氏も苦笑してますなぁ。
「……で、今日は何のご用ですか?」
お、ミツキ氏が切り込んでいきましたね。
目線はパンケーキに向かっていますけど。
「ふふ、貴女の事が知りたいんです。教えていただけませんか?」
「何故?」
「………何故、とは?」
「何故、わたしの事が知りたいんですか?」
本当に不思議そうにそう聞くので、ウィズダム氏のペースも表情も崩れていますね。
ミツキ氏、結構ぐさっとするように切り込みますねぇ……
「…情報屋として、情報が欲しいんですか?それとも、貴方の知的好奇心のためですか?」
「……両方、ですかね」
「そうですか」
そしてまたパンケーキを口に運ぶミツキ氏。
聞いておいてその反応、中々ツンツンしてますね!
「……王城へ入れた理由を聞いても?」
「…コネです」
「どのようなコネ何ですか?」
「魔法契約の関係でお話しするのは出来ませんね」
………いつもより素っ気ないミツキ氏、ちょっと新鮮です。
ウィズダム氏、おそらくミツキ氏の見た目に惑わされて普通の女の子だと思って接していますけど、それが裏目に出てますねぇ。
ミツキ氏は今までこのようなゲームをやってこなかったからか、こうやらないとっていうゲームの先入観が無いんですよね。
昔あった、情報は共有すべきっていう暗黙のルールとか。
ミツキ氏は恐らく知りませんよねぇ。
「魔法契約とは?」
「ジョブ関係ですよ。別に知られても構わないので教えますけれど、わたしはメイン、サブどちらにもNPCの師匠がいます」
おや、それは初耳ですな。
どっちにもNPCの師匠ってすごいですなぁ……
2人ともヤバそうですが!ミツキ氏のメインジョブ、恐らく今はミツキ氏しかいないと思うんですよね、プレイヤーだと。
「その関係もありますので、聞かれても魔法契約の関係で、わたしに関することはお答えできませんね。……情報屋って自分で調べるのが仕事じゃないんですか?」
あ、煽りよる………!
ミツキ氏素直に煽りよる!
暗に自分で調べろよって言ってますよ!
「わたしの情報はほぼNPCの皆さんから聞いたものです。NPCと交流すれば良いのでは?」
「NPC、ですか?」
「はい」
ミツキ氏はそう言うと、最後のパンケーキを口に運びました。
なるほど正論ですな。
この世界のこと詳しいのはNPCでしょうし。
「……お金や情報を渡す、と言っても?」
「………わたしの情報にそんな価値があるんですか?」
「ええ。貴方の情報は皆が求めています。お金ならたくさんありますから、言い値で買いますよ?」
おお、お金をチラつかせて来ましたね。
ウィズダム氏、中々やり辛そうでボク、愉悦。
「わたしの物語を晒すメリットを感じませんね。情報は自分で調べます。それにわたし、お金には困ってませんので」
「お金はいくらあっても良いでしょう?」
「………それはクランの資金と言う事ですか?」
「ええ。今は1000万リル程度ですが」
「……そうですか、大きなクランと言えどそれくらいしか資金無いんですね」
「…………………」
み、ミツキ氏ーーー!!!
それ、思っていたよりお金無いですねって言っちゃってますよ!!!
本当に不思議そうに言うからウィズダム氏も何も言えなくなってますけど!
嫌味っぽく言ってないから突っ込めねえですわ!!
「……僕らが貴女の情報を変に流すこととか考えないんです?」
「?別に変な噂流されても困りませんし……わたしは一人で冒険するの楽しいので」
「プレイヤーとの売買がしづらくなるかもしれませんよ?」
「はあ……そもそもプレイヤーと売買したことないですね……?オークションくらいでしょうか」
「は」
えっそんなプレイヤーメイドみたいな装備してるのに!?
レン氏もちょっと目を見開いてますよ?
……まあ確かにミツキ氏フレンド少ないって言ってたもんな……
「……この装備はNPC作ですよ。なので別に、困りませんね?」
「……なるほど、こんなにやりづらい人は久しぶりです」
「そうですか。……そろそろ鬱陶しいので視るの、やめてもらえますか?」
その言葉でウィズダム氏とギリー氏が固まりました。
?なんなんでしょ。
-ミツキ視点-
よくわからない問答をしている間も、相手からの【鑑定】や【看破】を弾きます。
弾くと通知がなるのでうるさいのですよ。
話している最中ずーーーっと通知なってます。
視れないなら視れないで諦めてほしいんですが!?
わたしはコーヒーを飲みながら考えます。
弾く事が出来るのはこの黒いイヤリングのおかげです。
……この黒いイヤリングを貰ったのは、今日の朝です。
「待ちなミツキ。お前さんに客だよ」
「わたしに、ですか?」
わたしは思わず足を止めて、目を瞬かせました。
お師匠様に手招かれて、お師匠様の隣に座ります。
目の前のフードの方が、こちらを見た気配がします。
「黒玉、この子が弟子のミツキだよ」
「ミッ、ミツキと申します」
ミが裏返りました!ま、待って下さいお師匠様!
顔合わせが早すぎでは???
「……我は黒玉、情報屋のリューイだ。……カレンから話を聞いて、これを渡しに来た」
「カレンさん、から?」
カレンさんからでしたか。
…………カレンさんから!?
……リューイさんは、テーブルに小さな黒い石のついたイヤリングを置きました。
「……今日、王都ミゼリアで情報屋をしているウィズダムとギリーと言う渡り人が君に接触する。男の方は【透視】のアーツを持っているようだから、それを防ぐためのものだ」
「透視を、防ぐ……?」
「君のレベルじゃ防げないだろう」
「あ、ありがとうございます」
透視……隠しているものも見えてしまいそうです。
というか見えるんですねきっと。
このアーツを使ってプレイヤーのステータスとか見てるのでしょうか。
だとするとプライバシーとか気になりますけど。
黒玉のイヤリング
リューイによって作られたイヤリング
特定のアーツ、パッシブスキルの効果を防ぐ効果がある
装着者にのみ開示:以下のアーツ、アクティブスキル、パッシブスキルの効果を防ぐ
【鑑定】【看破】【透視】【千里眼】【魔眼】【心眼】
うわーーーーーーっ!?
え、リューイさん何者ですか!?普通の情報屋じゃないんですか!?
「カレンは君が注目を集めてると言い、我は王都で君を狙う渡り人の情報を得た。故にそのアイテムを渡しに来たと言う訳だ」
「あ、ありがとうございます。代金は……」
「……いい。初回サービスだ」
「えっ」
「金紅と翠玉の弟子なら、今後少し安めで情報売ってやろう。我の事を頼りにするといい」
「こんな男だが情報を集めるにはピカイチさ。贔屓にしてやんな。それにそのイヤリングは王室御用達だから、効果は折り紙付きだよ」
フードで目元がわかりにくいですが、すんごいニヤァって笑ってますね……
お師匠様もニヤリと笑います。
いやだって異名持ちですよね!?つまり情報職のトップ……をそんな贔屓にしていいんですか!?
「その代わり渡り人関係で何かあったら教えて欲しい。その情報を仕入れるのは難しいから」
「は、はい……お伝え出来るものはお伝えしますね」
「!じゃあ依頼ある時にはこれに書き込んでくれ」
そう言ってリューイさんが何処からか取り出したのは、灰色の紙です。
灰色………まぁ、ペンで書いても読めるのは読めますね……
「書いて魔力を込めれば我の元へ飛べる。それに聞きたいこと書き込むといい。お代は回答した時に要求する」
「あ、ありがとうございます」
「弱さを見せず強気で行け。そうすれば相手もそれなりの態度になるだろう。………情報屋なんてのは基本自分で情報を集めねばならないし、信用、信頼の問題もある。……まあ、我の情報の正確さには自信があるぞ、これでも異名持ちだからな」
リューイさんは小さく溜息をつきます。
「もし、情報が欲しいと話しかけられた時には、真実と嘘を混ぜながら淡々と強気で会話しろ。正論で論破するのもいいし、少し情報を与えて自分で調べてみろって言ったっていい。あ、話し合いの場所には森の木陰というファンシーなカフェを勧めよう」
フードの隙間から、青い髪が揺れます。
目は見えませんが、目が合ったような気がしました。
「いくら視ても視えない、情報も取れない………その状況を思い浮かべると見物だなァ…フハハハハハハ!情報屋として同情するな」
なんて高笑いしてましたね………
リューイさん、中々癖がありました。
「…………………ハァ」
「……マスター?」
「やめですやめやめ。視えないですし、契約で話せないんじゃ何も聞き出せませんねぇ」
「NPCと交流あるのみですよ?」
「それが1番難しいんですよ。情報持っているNPCは一握りですから。……それに僕は胡散臭いって言われるので中々話しかけにくいんですよねぇ」
ウィズダムさんが、急に背もたれに背を預けてぐでーっと力を抜きました。
だいぶ気を抜きましたね………
「視えないのはそのイヤリングのおかげですか?」
「…そうですね」
「視えないのは初めてです。それ【鑑定】させて下さいませんか?」
「どうぞ存分にそのまま【鑑定】してみては?」
「………そのイヤリングも【鑑定】弾くんですよねぇ」
ウィズダムさんが溜息つきました。
まあリューイさんお手製の情報絶対取らせないアクセサリーですからね。
「結論、ミツキさんはNPCと盛んに交流されているため、NPC絡みで王城に入れたと言う事ですね」
「その通りです。……不思議に思わないですか?」
「?何にです?」
「何故、NPCがこんなにも感情豊かなのか」
わたしは驚きましたね。
こんなにも普通の人間のように生活して、会話できるユアストのNPC。
アイコンが無ければ、プレイヤーとNPCは見分けつかないなって思います。
「NPCも、ユアストの中で重要な人物なんだと思うんですよね。この世界の住人ですから」
「………」
「彼らを蔑ろにはしてはいけないと思うんです。むしろ、その辺にいるプレイヤーより信頼できます」
「……手厳しいですね」
「ぼっちの味方ですよ、住人の皆さんは」
別にプレイヤーと無理に関わる必要はありません。
むしろプレイヤーの方が怖いです。グイグイ来ますし。
住人の皆さんのお店から買い物出来るので大変ありがたいです。
「ウィズダムさんもギリーさんも、NPCと交流してみては?」
「…………要検討させていただきますよ」
ウィズダムさんは苦笑しました。
ギリーさんも、最初よりは落ち着いた表情されています。
「……まぁ少しだけならお伝えしますけどね」
「!」
「でも、悪用してわたしに何かあったとき」
わたしはニッコリと笑顔を浮かべます。
「クリスティアの王家が敵に回りますけど、聞く覚悟はおありですか?」
ウィズダムさんとギリーさんの顔から笑顔が消えました。
両隣からも、少しだけ動揺したような雰囲気を感じます。
というか、強気でいかないといけない理由はこれなんですよね!!
諦めて貰わないと、プレイヤーがわたしに何かしたとき本当に王家が動くとしたら、クリスティアでプレイヤーが活動しづらくなってしまうかもしれません。
……大変嬉しいことに、皆さんわたしの事を気にかけてくれているようですから。
「クリスティア王家、ですか」
「ちなみにシュタール王は現Sランク冒険者ですよ」
「……………………」
「大変嬉しい事に皆さんわたしの事を気にかけてくださっていて。まぁ嘘か本当かは調べてみればよろしいかと」
「……………………」
「聞く覚悟はおありですか?」
そろそろ頬が攣りそうです。
笑顔を浮かべるのもちょっと大変なんですよ!
「……悪用はしません。情報屋としての信用に関わりますから」
「そうですか。では大前提として、わたしのお師匠様は王城に入れる人物です。次に、わたしはこの間のイベントでとんでもない代物を手に入れました。それを、今回王様に渡す為にお師匠様を通じてアポイントメントを取って王城へ行きました。今回の流れはこんな感じです」
「………とんでもない代物、というのは」
「それの情報が流出したらわたしが吊るし上げられそうなのでお伝えできませんね」
「……貴女の師匠と言うのは」
「詳しくはお伝えできませんが、ウィズダムさんは異名持ちのNPCの事ご存知ですか?」
「…っいいえ」
「じゃあいいです。お師匠様はお師匠様です。」
下手につつかれてもちょっと困るので。
これくらい情報チラつかせておけば良いでしょう。
情報屋ならば、調べられるはずです。
わたしも図書館で異名持ちの事を知りましたからね。
………ウィズダムさん達は図書館を利用してないんですかねぇ。
「………本当にNPCの事はノーマークだったんですね、ウィズダムさん」
「言わないでください………今までの僕の活動が半分無意味だった事を思い知らされているので………」
「……トドメも刺しましょうか?」
「……聞きたくないですが、聞きましょう」
「今日貴方達がわたしに接触するという事は、NPCの情報屋から今朝聞きました。名前も、アーツの事も。なので、話しかけて下さるのをお待ちしてました」
「………最初から負け戦だったと言う事ですね……」
ギリーさんは顔を顰めて、ウィズダムさんは頭を抱えました。
「声をかけるの早まったなぁ……爆弾だけ貰ってしまった」
「情報屋としてのウィズダムさんとギリーさんの働きに期待していますね」
「最重要機密情報として取り扱いますよ……王族を敵には回したくないですからね」
お互いに笑みを浮かべます。
わたしは含みをもたせた笑顔を。
ウィズダムさんは疲れた笑顔を。
「では、ごちそうさまでした、ウィズダムさん」
「……はい」
店員さんにごちそうさまでしたと告げて店の外に出ることにします。
店員さんがこちらをみて笑顔を浮かべます。
あぁー見覚えある黒い石のついたネクタイピンつけてらっしゃる…………
「ごちそうさまでした」
「またのご来店をお待ちしております」
………もしや、リューイさんの息の掛かったお店でしたか。
「今回の噂は沈静化するように僕らから働きかけておきます」
「よろしいのですか?」
「それくらいはさせて頂きますよ、情報屋ですからね」
「そうですか。………では、失礼しますね」
わたしは会釈して、レンさんとミカゲさんを連れて大通りを進みます。
結構時間使いましたね。
「……マスター、よろしいのですか」
「うん。あれは無理だね」
マスターと呼ばれた青年、ウィズダムは少女達が進んだ方向を見つめる。
「あーあ、これから忙しくなるなあ」
「本当に調べるのですか?NPCについて」
「彼女の動向は動向で探るけど、僕が知らないことをたくさん知っている彼女の言うことは本当だと思うからね。………情報屋としても、調べないと」
「……《プロフェッサー》に集まるよう呼びかけますか」
「そうだね。クランホームに集合かけておいてくれる」
「かしこまりました」
そうして青年と女性は、大通りを少女達が進んだ方向とは逆方向へ歩いていった。
それを物陰から、青い髪を覗かせる黒いフード付きマントを着た男が見つめ、音も立てずに去っていった。
強気で行かないと(周りが)危ない危ない……
これからもこの作品をよろしくお願いします!




