ミツキを追う噂
いつもご覧いただきありがとうございます!
今回は話の流れで掲示板を合間に挟んでいますので、少し読みづらいかもしれません。
お師匠様の家の前に戻ってきました。
まだ夕食の時間まで1時間くらいあります。
………本当に浮島なのか、ちょっとみたいですよね!
ひとまずお師匠様の家を囲う森を、直線で抜けてみましょう!
木々を避けながら森を走ります。
そうして森を抜けると、視界に空が広がりました。
「わぁ………!」
10m先は断崖絶壁みたいな雰囲気ですが!
少しずつ、進みます。
あんまり崖に近いのは怖いですからね!
少しずつです。
………雲の、上です。
その隙間から、青も見えます。
………霧かと思いましたが!
近づいてみると、これ雲です!
お師匠様の浮島、雲の上にあります………!
「……すっごいです」
お師匠様のお庭でみる星が、とても綺麗に瞬いている理由が、理解できました。
この高度なら、わかります。
………どのくらいその景色を眺めていたでしょうか。
日が傾いて来ました。
空の色が変わるこの時間帯も、好きです。
スクショスクショです。
空のグラデーションは、日によって変わります。
………もうすぐ黄昏時です。
そろそろ夕食の時間ですし、ログアウトしましょう。
…………星空が気になりますから、ここにキャンプセットを広げましょう。
……森寄りで!
ご飯を食べてログインしました。
テントを出ると、星空と雲海のコラボレーションでした。
「…………最高」
わたしは思わず地面に寝そべったアングルでスクショします。
汚れなんて後でアーツでどうにかなります!
これをスクショするために、最高のアングルを!
ピコンッ
雲海と星空をスクショしていると、通知音が鳴りました。
?なんでしょう。
メニューを開くと、メッセージ欄に通知が来てます。
-ミカゲさんがメッセージグループを作成しました-
参加しますか?
はい
いいえ
?ミカゲさんが、メッセージグループを?
ひとまず参加します。
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『魔女と狂犬とボク』
-ミツキ さんが参加しました-
-レン さんが参加しました-
ミカゲ:ミツキ氏!!!
レン:うるせェ
ミカゲ:今はレン氏じゃねーんですよ!ミツキ氏は無事です!?
ミツキ:何かありましたか?
ミカゲ:ミツキ氏!良かったぁ……今何処にいます?
ミツキ:えと、拠点、でしょうか?
ミカゲ:プレイヤーが近寄らない場所ですか!?
………何やら不穏ですね。
何があったんでしょうか。
ミツキ:プレイヤーは来ない場所にいますね
ミカゲ:なら良かった!今日はそのままそこに居てくだされ!
ミツキ:………何があったんですか?
ミカゲ:情報屋クラン『プロフェッサー』が、ミツキ氏の事探してるんですよ!
ミツキ:………情報屋クラン?
ミカゲ:ミツキ氏、今日クリスティアの王城に入ったらしいですな!?
ミツキ:?はい
ミカゲ:それ!それです!今までクリスティアの王城にプレイヤー入ったこと無いんですよ!
ミツキ:……えっ
…………………えっ
ミツキ:き、騎士さんとかいるんじゃないんですか!?
ミカゲ:クリスティア王家にはクリスティア王家専属の騎士団がいるらしいですが、王城にはプレイヤーは入ったことないんですよ!
ミカゲ:プレイヤーの騎士が所属しているのは、ミゼリアの騎士団なんですよ
ミツキ:ほあ
ミカゲ:なので、今回ふっつーーに王城に入ったミツキ氏から情報を搾り取ろうとしてるんですよぉ!掲示板もちょっと荒れてます!
へあ
えっ
えっ!?
ミツキ:……それを自力で手に入れるのが情報屋じゃないんですか?
ミカゲ:ド正論!
レン:くだらねえな
ミカゲ:とにかく!クランの奴らがミツキ氏に接触しようとしてるみたいなので、ミツキ氏気を付けて下さいね!
ミカゲ:レン氏も、ミツキ氏の周辺で見かけたら威嚇してくださいよ!
ミツキ:……とりあえず絡まれたらすぐ瞬間移動しますね!
レン:…………絡まれたら呼べよ
ミカゲ:ボクも!ボクも呼んで下さいね!蹴散らしますから!
ミカゲ:というか!明日どこかいくなら、ボクとレン氏を誘ってくださいね!
レン:オイ
ミカゲ:クソ野郎がミツキ氏と接触しようとしてるんですよ!ミツキ氏、ウィズダムっていうプレイヤーには気を付けて下さいね!
ウィズダム、さん?
お会いしたことも見たこともないですねぇ………
ここまでミカゲさんが慌ててるのも珍しいので、近寄るプレイヤーは気を付ける事にします。
ミツキ:明日は、初めて王都に辿り着いたので王都の探索しようと思っていたのですが……
ミカゲ:ついてく!ついていきます!ね、レン氏!
レン:は?俺は
ミカゲ:ね!!!レン氏!!!
レン:…………………チッ…わかった
ミツキ:いえ、皆さん自由にゲームしてもらって
ミカゲ:クソ野郎共のしつこさと粘着さを舐めてはいかんですよ!
ミカゲ:ログインしたら連絡くださいね!
ミツキ:は、はい!わかりました!
ミカゲ:あと、気分がいいものではないですが、掲示板で『クリスティア王城に入りたい ⑧』っていうクソド直球なクソスレを、ちょっと見ておいてほしいです
ミツキ:わ、わかりました
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「情報屋クラン、プロフェッサー……」
情報屋だけど教授なんですか……わかりません。
情報屋って自分で情報手に入れるのが仕事なんだと思っていましたが………
じゃあ、ミカゲさんがすごい罵倒しているスレッドとやらを覗きましょうか。
メニューを開いて、掲示板を押して……うわ、こんなにスレッドあるんですね。
クリスティア王城で検索……あ、ありました。
すごい見ている間も書き込まれています……こわ……
【君も】クリスティア王城に入りたい ⑧ 【王族?】
ここはクリスティア城について語るスレです。
誹謗中傷は辞めましょう。
マナーを守って本日も城を眺めましょう。
次スレは»970踏んだ人がお願いします。
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238.アッキー
今日も城は美しいな
239.ウォッチ
この立地といい外観といい最高だよな
入れればもっといいけど
240.セン
近寄りすぎて衛兵に職質された俺が通りますよ
これ入れんの???
241.伊万里
NPCが出入りしてるのは見かけるんだけどなぁ
242.ほいっぷ
およ、また新しい人が……え
243.アッキー
え
244.ジョン
あ
245.ミシャ
どうした今ミゼリアにいないんだが
246.セン
はいった
247.ほいっぷ
はいった
248.ちさちー
え、いまのプレイヤーだよね!?
249.グレイ
すげえ雰囲気イケBBAのNPCと一緒に女の子のプレイヤーが
250.ジョン
城門の隣のちっさい扉から入ったぞ!?
251.ミシャ
まじで!?
252.バルドン
何者なんだあのプレイヤー
〜〜プレイヤーが何者なのか議論でスレが進む〜〜
412.セン
出てこないな、プレイヤーの子
413.ガレ
もうすぐ2時間だ
414.ほいっぷ
なんか城の周りプレイヤー多くない?出待ち?
413.ギリー@プロフェッサー
情報くれるか、話しかけたい所ですね
414.イドアン
うわっ
415.華林
うわっプロフェッサーの人だ
416.ギリー@プロフェッサー
クラマスも気になるってんで一緒にいますよ
417.バルドン
そう教えてくれるか?
やり方間違えたら逃げられるだろ
大人しそうな子だったし
418.セン
聞きたいけど辞められたら困るしなー
419.ちさちー
あっ
420.ジョン
あ
421.ガレ
あ!
422.ほいっぷ
出てきた!と思ったら消えた!
423.ギリー@プロフェッサー
残念ですね、明日接触を試みます
424.ミシャ
ウィズダムさんが接触するんか?
逃げられるだろ
425.華林
どうやって王城入るのか知りたいけどプレイヤーの子には逃げてほしいな、可愛い子だったし
ーー以降少女に対する考察が流れるーー
………こわ!
不特定多数の人にめっちゃ見られてます!
でもまぁ、とくに話せる事は無いんですけどね。
そもそも教える義理も無いですし。
他の誰かに、わたしの物語を公開するとか、介入されるとか、嫌ですし。
わたしの物語はわたしだけのものですからね!
出会っても適当にあしらって逃げたい所です。
知らない人とは、話さない。よし、それで行きましょう。
わたしの王都探索の邪魔はさせませんよ………
じゃあ、そろそろお師匠様の家に戻りましょうかね。
ベッドで身体を休めたいところです。
ちょっとズルして【瞬間移動】でお師匠様の家へ帰ります。
お師匠様の島にいるけど、選べるでしょうか。
懐中時計に魔力を通します。
……選べますね。
よかった!んじゃ飛びましょう!
「戻りました!」
「はいよ」
「本当に、島でした!」
「わざわざ見てきたのかい」
ちょっと呆れたように笑うお師匠様。
だって気になります!
「それに!雲の上でした!すごいです!」
「そりゃね。これだけ高けりゃ街や国の明かりも届かないからね」
「邪魔するものは確かに無さそうです……」
「月明かりくらいかね」
oh月明かり………ユアストの月明かりは強そうです。
「レダンの砂漠も行くといい。お前さんなら気に入るだろうさ」
「砂漠!砂漠の星空、気になります!」
「ミゼリアを西に抜けるんだね。街を2個くらい抜ければレダンに行けるだろう」
ミゼリアを西に、覚えました!
でもまぁ……
「……まだミゼリアもみてないので、まだまだクリスティアにいます」
「そうかい」
お師匠様は柔らかく笑って、手元の本に視線を落とします。
そろそろいい時間ですからね。
わたしもお暇しましょう。
明日は王都の探索です。
「ではお師匠様、わたしもそろそろ戻ります。今日はありがとうございました」
「色々あったからね。ゆっくり休むといい」
「………お師匠様は、王女様の呪いの犯人に、見当はついてるんですか?」
「…………そうさね。だがそれは黒玉に任せたよ。何かあれば報せがくる」
「ジェット………?」
「クリスティアの情報屋さ」
ジェット………まさか、黒玉!?
異名持ちの方ですね!?
「お前さんも世話になるかもしれんからね。そのうち顔合わせするか」
「え」
「異名持ちと」
お師匠様がニヤリと笑います。
わたしは慌てます。
「えっっっ」
「まぁそのうちね。さ、ゆっくり休むんだよ」
「は、はい……おやすみなさい」
「おやすみ」
ご挨拶して、部屋に入ります。
………考えすぎて疲れました。
明日のわたしに考えてもらうことにしましょう!
ベッドに横になって、ログアウトすることにします。
ログアウトしました。
濃い……濃すぎる1日でした………
精神的にちょっと疲れましたね………
ちょっと夜風に当たりましょう。
「ふぅ」
いつも通りの星空を見上げます。
うん、変わらず美しいです。
現実でもゲームでも、天体観測できるなんて贅沢です。
これからも色々な場所で、星を見上げたいですね。
よし、早く寝るとしましょう。
王都で、美味しいお店を探すのです。
おやすみなさい。
割と主人公は強かなのです。
これからもこの作品をよろしくお願いします!




