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王家の友

ご感想、ご評価ありがとうございます!



そんな話をしていたら、1時間なんて超えて2時間くらい城に滞在しています……!


王様のご予定は、大丈夫でしょうか!?


「……もうこんな時間か」

「まあ!お話が楽しくて、すごく引き止めてしまったわね」


王様と王妃様が、時計をみてそう言います。

リヒト様とメーア様、ジル様もハッとしたように顔を見合わせます。


「お前さんたちは王に負けず劣らず好奇心旺盛だねぇ」

「たくさん話しました……」


パワーをもってかれました。

紅茶で喉を潤します。


「ごめんなさいね。冒険者の話を聞けるのが嬉しくて……」

「はい、わたくし達は王族ですし、皆様にこのようにお話を聞ける機会が中々無くて……」

「ジルからよくモンスターの話は聞かせて貰いますが、ジルは冒険者ではないですからね」

「はい、僕はヴァルフォーレン周辺の事であればお話しできるのですが……」



……ふと思うとわたしもここにいるの、すごすぎますよね

城に入るの見られていたら、噂になってしまうかもしれません………!?

はわわ、堂々とお師匠様とお城に入ってしまいました。



………なるようになぁれ、ですね。

今考えてもどうにもならないですし。

もう、その辺りは諦めましょうか……



「ミツキ」

「っはい」



そんな事を考えていたら、王様達が目の前に立ってらっしゃいました。

驚いて、立ち上がって背筋を伸ばします。


「……感謝する。お前には、今日だけでたくさん助けられた」

「わたくしも、貴女と会えてとても嬉しかったわ」


王様と王妃様が、2人寄り添いわたしの手を取って感謝を伝えてくれました。


あ、王妃様にはリボンをお返ししないとです。


「王妃様、こちらを」

「あら王妃様なんて畏まった呼び方はやめて、ローザと呼んでほしいわ。それに、このリボンは貴女に差し上げるわ」

「お、王妃様……ではなく、ローザ様、でも」

「わたくしも今日の事だけで、貴女へお礼しないと。何か欲しいものとかはないのかしら?」

「……俺が用意した」

「……そうなのね。わたくしもぶつかってしまったお詫びを考えないと……少し時間を頂戴ね」

「いえ、本当にこの出会いがお礼みたいなものですし」


そこに、メーア様を支えながらリヒト様とジル様も近寄ってきました。


「ミツキ様は、命の恩人ですわ。わたくしに出来ることがあったら、何でも言ってくださいね」

「僕も、ヴァルフォーレンをあげてミツキ様を支援致します」

「私も短い時間でしたが、とても有意義な時間を過ごせました。ありがとうございます」

「こ、こちらこそとても楽しい時間を過ごせました。ありがとうございます」


皆様は、柔らかい笑顔を浮かべます。

わたしもつられて笑顔になりました。

お師匠様も、わたしの頭をポンと撫でました。


「イオ」

「こちらに」

「ミツキよ」

「はい」


王様はイオさんから何か受け取ると、わたしの手を取って、何か握らせました。

恐る恐るみてみると、


「………鍵?」

「鍵に魔力を流すといい」

「は、はい」


鍵というには大きいですが、アンティークな鍵の形をしています。

言われた通り魔力を流すと、小さく光りました。


『シュタール=クリスティアより、ミツキへと譲渡する』

「わっ」


王様の言葉に一際強く光り、おさまりました。


「浮島の鍵だ。それを持っていれば、【瞬間移動】で浮島に行けるだろう」

「ほ、本当に、よろしいのですか?」

「あぁ。エトワールの浮島程の広さは無いが、王都に家を建てるよりは広い。……家族を代表して礼を言う、ありがとう」

「……いえ、とんでもないです。お役に立てて本当に、良かったです。こちらこそ、ありがとうございます」



そして王様やリヒト様、ジル様とは握手を、ローザ様とメーア様とは軽くハグしました。



お師匠様が王様と会話しているのを離れたところから見ていると、唐突にそれは響きました。




-特殊イベント 『王族を蝕む呪毒』を特殊クリアしました-

特殊クリア内容

王女の解呪 clear!

王族からの一定以上の好感度 clear!

王族全員との顔合わせ clear!

王族への特殊耐性の付与 clear!


称号 クリスティア王家の友 を獲得しました。




「ほあ」



わたしは思わず口を開けました。




……今度ユアストにご意見送りましょう。

イベントが始まっているなら始まった時にアナウンスをくださいと……!


イベント名も不穏ですし……!

特殊クリアというのも初めて聞きました。


……全部心当たりありますけれども!

特殊耐性付与、というのは十中八九太陽のプラムだと思います。


解呪も、特殊クリアの条件なんですね。

もしや、解呪アイテムって珍しいのでしょうか。

王様が解呪師を呼べと言うくらいでしたので、解呪師しか、解呪できないのでしょうか。

だとしたら、解呪師さんの仕事を奪ってしまったと言うことになってしまいます。


ま、まだ見ぬ解呪師さん、申し訳ございません……!



…………それに、犯人は結局わかりません。

犯人を突き止めていないけど王族の危機は救った、という特殊クリア……もあるのでしょうか。

……考えてもわかりません……!

むしろこの情報から、犯人追えるんですか!?




ごほんっ……そして称号です。




クリスティア王家の友

クリスティア王家と友好的な関係を築いている者に送られる称号。

クリスティアの住民からの好感度が上がりやすくなる。

この称号を持つ者に手を出せばクリスティア王家が動く。




……わたしは目をこすりました。

何も変わりませんでした。



ど、どうしてこうなりましたーーーっ!?



「ミツキ、そろそろ帰るよ」

「はっはい」

「じゃあ失礼するよ、王族の皆様方」

「失礼致します」

「世話になったな」

「また来て頂戴ね」




王族の皆様に挨拶して、お師匠様と共に部屋を出ます。

すごい時間でした………



「ミツキ様!」


名を呼ばれて振り返ると、イオさんが走ってこちらに来ました。

何か忘れ物でもありましたかね?


「陛下より伝言がありまして」

「王様から?」

「…『一度に多くのリルを振り込むことは出来ない為小分けにして振り込む。時間があるときに口座を確認するように』とのことです」

「……ほぁ…」

「ご安心を。陛下のポケットマネーです」

「……ご家族の為に使って頂いて」

「ご家族に使ってもまだ余裕があるのです。陛下はお若い時にモンスター討伐で荒稼ぎしていましたからね……」



イオさんが若干遠い目をされています。

なるほど、王様はヤンチャなんですね??


「今度、また何か手に入れた時に王家の皆様方に差し入れしますね」

「……ミツキ様がお持ちするもの、少々恐ろしく感じますね。………こちらもお渡しするように言われておりますので」


イオさんは何か、銀の札の様なものを手渡してくれました。

えっと……?




クリスティア城特別通行証

衛兵に見せれば、クリスティア城への出入りが可能になる。




「つ、通行証!わたしに頂いてよろしいんですか!?」

「ミツキ様は悪用しないだろうと、王族満場一致でしたよ」

「確かにしませんけれど!」

「あぁ、確かにそれもあったね。持ってくるの忘れたから今回は手紙を見せたが」

「お、お師匠様……」



ちょっと力が抜けました。

通行証は、とりあえずアイテムボックスへとしまいます。



「……また、ミツキ様の冒険の話を聞けるのを、楽しみにしております」

「…イオさんも、お身体気を付けてお仕事頑張って下さいね」

「はい、ありがとうございます。エトワール様も、ご自愛下さいますよう」

「この子のおかげで元気いっぱいさ。無茶はしないよ」


お師匠様はカラカラと笑いました。

イオさんも、小さく笑みを浮かべます。


扉まで見送ってくれたイオさんにお辞儀して、庭を抜けます。



「ミツキ、この後はどうするんだい」

「色々ありましたので、ルクレシアに戻ってギルドで依頼の報告をしたら、お師匠様の庭でゆっくりしようかと」

「そうかい。ワタシもギルドに用があるから一緒に行くとするかね」

「はい!………あの、お師匠様」

「なんだい」

「ジル様の胸ポケットにあった星のキュアポーションに気付いたのには、何か理由があるのですか?」

「……そうさね。理由はあるが」




「秘密さ」


お師匠様はニヤリとした顔を浮かべて扉へと足を進めます。

秘密ですかぁ………また今度、聞きましょう。

とても!気になりますが!





お師匠様と一緒に城門の横の扉をくぐります。

……なんだかプレイヤーの数が多いような気がします。


「……飛ぶよ」

「はい」


わたしがお師匠様の外套を掴んだ瞬間、お師匠様が【瞬間移動】を使いました。










「いやぁ……飛ばれちゃったか……聞きたいこと、あったんだけどなぁ」


まるでスーツのような装備を身に着けるプレイヤーの青年は、NPCと共に出てきたプレイヤーの少女がいた場所を見つめていた。


「んー僕の知識欲が、あの子すっごい情報持ってるって言ってるんだけどなぁ」



「知りたいな、キミの事」



青年は、その口元に笑みを浮かべてその場を去った。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「わっ」


目を開けたら、ギルドの前でした。

え、ギルドの近くにも【瞬間移動】できるんですか?



「……後で教えてやろう。さ、別行動さね。用事を済ませたら勝手に帰りな」

「はい、ありがとうございます」



お師匠様の後にギルドへ入り、依頼カウンターに真っ直ぐ進みます。


お師匠様は、ギルドの職員に話し掛けて、ギルドの奥へと消えて行きました。



「こんにちは。サイファさん」

「こんにちは。お疲れ様です、ミツキ様」

「依頼を達成しましたので、お願いします」

「はい、お預かりしますね」


依頼カウンターにいたサイファさんに、ギルドカードとダンデライオンを渡します。


処理を待っていると、肩に重さを感じました。


「魔女様と一緒に来るから驚いたぞ」

「カレンさん!」

「よ、ちゃんと依頼こなしてるみたいだな」


私の肩に腕を乗せてきたのはカレンさんでした。


「……ミツキ様、お待たせしました。こちらが依頼達成報酬となりますね」



サイファさんから、リルを受け取ります。

えっと、内訳は……


ダンデライオン(20本):2,000リル

オーク討伐(5体):5,000リル

ウルフの群れ討伐(30体):3,000リル

ワイルドウルフ討伐(1体):4,500リル



合計14,500リルですね!


手持ちのリルが少し潤いました。

ひとまず安心です。


これで、ランクアップまで採集、討伐依頼共に2つずつです。

地道にやりましょう。

王都のギルドで依頼見るのも良さそうです。



「……カレン、重いでしょう」

「おっと怖い怖い」


カレンさん、目の前のサイファさんのオーラがこわいです。


「今日はこの後どうするんだ?」

「色々ありましたので、ゆっくりします」

「そうか。冒険者には休息も必要だからな」


あ、その前にちょっと口座を確認します。

まぁまだ振り込まれていないと思いたいのですが……


専用の機械にギルドカードを翳します。

これは本人にしか見えませんので、他の人に見られる心配はないのです。



今までちょこちょこ引き出していたので、口座には30万リル預けていたはずです。

えっと………いちじゅうひゃくせんまんじゅうまん……ひゃくまん……


にせんごひゃくさんじゅうまん………




わたしは大きく息を吸い込みます。

見なかったことにして、近くにいたカレンさんのもとへ走ります。

行動が!お早い!頭が!痛い!もしやわたし1番お金持ちかもです……!



何やら待っててくれたカレンさんと話しながら、ギルドを出ます。


「魔女様は置いていっていいのか?」

「はい。別行動ですので」

「そうか、気を付けて帰れよ」

「はい、ありがとうございます!ではまた!」



カレンさんに挨拶して、お師匠様への家に飛びます。

う、浮島だって知るとちょっと気になってしまいますからね、お師匠様の家の周辺!













(ミツキが飛んだら、視線が無くなったな)


カレンはギルドの外で、気配を探っていた。

ミツキがギルドに入ってきた時、ミツキを見ている視線が多かった。


好意的な視線であれば、特に何も思うことは無かったが。

それが好奇や奇異の視線であるのを感じたので牽制もかねてミツキに近付いた。

当の本人は普通にしていたが。



(何かに巻き込まれてんなら、目を光らせておくか……)



カレンは情報を扱う頼りになる男を思い浮かべて、連絡を取るべく街を歩き出した。











ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





千歳カンパニー

第三モニタールーム



千歳カンパニー 第三モニタールームにいる人間は、NPCに植え付けたAIや挙動の研究をしているチームだ。




「すっごい!すっごい!わたしのNPC(こどもたち)が、プレイヤーを守ろうと行動してる!!」

「おち、おちつけ!また倒れるぞ!」

「このミツキってプレイヤーの子、NPC(こどもたち)からの好感度高いし、NPC(こどもたち)の事、普通の人間みたいに、大切にしてくれてる!好き!推すわ!」


白衣を羽織り、赤い縁あり眼鏡をかけ、目の下に隈を飼っている傍目からみたらボロボロの女性は、モニターにへばりつきながらとあるプレイヤーをみていた。


「すっごい!クリスティア王家の友になった!ソルが言っていた子も、この子ね!嬉しい、嬉しいわ!わたしのNPC(こどもたち)が、すっごい成長してるわ!」

「わかった!わかったから離れろ!座れ!」


同じくよれたシャツにボロボロの白衣を羽織った男性が、疲れた表情で女性をモニターから遠ざける。


「ふふふふふふわたしが開発(生みだ)したAIを植え付けたNPC(こどもたち)が、人間に近付いている……」

「そうだな。お前は凄いやつだよ。……俺もプレイヤーがNPCと仲良くしてるの嬉しいよ」

「僕も嬉しいっすよー」

「わたしもですよー」

「……でも、この子が1番NPCの好感度高くて、1番NPCに肩入れしてる。変なプレイヤーが、近づいてしまうかもしれないわ!それでこの子がゲーム辞めたら!どうしてくれ……ゴフッ」

「「「室長ーーーーー!?」」」



室長と呼ばれたボロボロの女性が血を吐いた事により、第三モニタールームは阿鼻叫喚となった。





………本人の知らない所で、ミツキは推されるのであった。


まぁ、狙われますよね!


これからもこの作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
室長、病弱なのか単に疲れてるのか分からないが大丈夫か?
失礼な言い方だが、特別天然記念物みたいな存在だよ。まったく リアルにここまで周囲に疎く目先の他人を思いやる人居ないって。 (思いやる人は居ても無頓着じゃないし、無頓着でも自己中心気味)
[気になる点] …………もしかして国王様国家予算よりお金持ってる?(さすがに異世界やゲーム内の国家予算額知らないけど………)
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