素敵な密会
ご感想、ご評価ありがとうございます!
まだまだ勉強不足で拙い文章の所もありますが、皆様からのご指摘で勉強させて頂いております!ありがとうございます!
お師匠様について王城への道を歩きます。
噴水広場から、王城までまっすぐなだらかな坂道になっていました。
お師匠様なら王城に飛べそうですが、わたしに合わせて歩いてくれているのでしょう。
もしくは王城には瞬間移動してはいけないとか、そういう決まりもありそうですね。
それにしても人が多いですね!
ミゼリアの住人も、他の種族の方達も、色々な方がいます!
さすが王都です。
圧倒されます。
……なだらかですが坂道ですからね。
すこしだけ疲れてきました。
「……ミツキ、そこのベンチに座って待ってな」
「?はい」
言われた通りベンチに座ります。
日差しがあったかいです。
MPがいつもの倍の速さで回復します。
おお、太陽の祝福のおかげですね。
ぽかぽか陽気でリラックスできます。
「そら」
「ぴぎゃあ!」
思わず目を閉じて深呼吸していると、頬に冷たい物を当てられて物理的に飛び上がりました。
絶対わたし浮きました!冷たい!
みると、お師匠様が顔を背けて笑いながら、飲み物を差し出していました。
「お、おおおお師匠様!」
「いや、悪いそんなに驚くとは」
すこしだけむくれながら、お師匠様から飲み物を受け取ります。
「代金は……」
「構わんさ」
お師匠様は隣のベンチに足を組んで座り、背もたれに腕を乗せてリラックスしています。
お師匠様は、アイスコーヒーのようです。
これは話を聞かない感じですね……諦めていただきます。
……そのお気遣いが嬉しいです。
すごい!よく見るとセパレートティーです!
ストローに口付けると、グレープフルーツの酸味とアールグレイの香りが鼻に抜けます。
美味しいです……至福です。
え、美味しいです。
この場所のあのお店……覚えておきましょう。
スクショもしておきます。
絶対また来ます!
「よし、行こうかね」
「…………はい」
休憩は終わりです。
そろそろいい時間になりますので、城門に向けてまた歩き始めました。
「ほぁ……」
城門前で、思わず口を開けて見上げてしまいます。
いや近くでみると迫力が大きいです!
お城って、圧倒されますよね………
お師匠様が、衛兵さん?に手紙を見せています。
すると衛兵さんは敬礼をして、門の横の小さな扉を開けました。
お師匠様が手招くので、後についていきます。
よく手入れされた素敵なお庭を通り抜け、城内へと入ります。
そこには、1人の男性が立っていました。
騎士、にしては軽装です。
どちらかと言うと軍服に近いかもしれません。
「ようこそお越しくださいました」
「堅苦しいね。さ、ワタシと弟子を連れて行ってくれ」
「どうぞこちらへ」
お師匠様は動じずに、手慣れた様子で城内を歩きます。
わたしは廊下が広いのに、テーブルに置いてある花瓶がぶつかって割ってしまったらいくらだろうとか変なことを考えています。
手を胸の前で握りしめながら、転ばないように慎重についていきます。
そうして案内されたのは、薔薇が咲き誇るガーデンでした。
「……きれい」
色鮮やかな薔薇に囲まれた庭は、太陽光が差し込みきらきらと輝いてみえます。
ふんわりと香る薔薇の香りを吸い込みます。
さっきまで緊張していましたが、とても穏やかな気持ちになれました。
薔薇に囲まれたガゼボに、柔らかそうなソファと品の良いテーブルが置かれています。
軍服を着た男性は、お師匠様とわたしをそちらへ案内しました。
お師匠様の隣に座って、王様が来るのを待ちます。
待ったのは少ない時間でしたが、体感はすごく長く感じました。
「お師匠様、わたし礼儀作法とか全然習ってないのですが……」
「最初だけワタシの真似をしておけばいいさ。密会だからね」
お師匠様はそう言ってウィンクしました。
とりあえず大人しくしましょう……ご、ご挨拶はお師匠様にお任せします。
「すまない、待たせたな」
先程の軍服の男性と共に、王様が来ました。
お師匠様が立ち上がって胸に手を当てて頭を下げたので、わたしも真似します。
「良い。公式の場では無いからな、楽にするといい」
隣のお師匠様が頭を上げたので、わたしも頭を上げます。
以前お会いした時よりも、雰囲気の柔らかい王様がこちらを見ていました。
「そうかい。じゃ、遠慮なく」
お師匠様はそう言ってソファへと足を組んで座りました。
お、おお、お師匠様!?
わたしはお師匠様を2度見しました。
「……ミツキと言ったな。お前も座るといい」
「……し、失礼します」
名前を覚えられていました!
あのたった一度の邂逅でしたし、お師匠様の弟子くらいにしか思われていないと思いましたが!
ソファに座ると軍服の男性が紅茶を目の前に淹れてくれました。
「ありがとうございます」
「いえ」
「イオ。構わん、お前も座るといい」
「…はい、失礼いたします」
イオ、と呼ばれた男性も王様の近くに座りました。
「イオは俺の秘書官だ」
「シュタール王の秘書官をしております、イオと申します」
「渡り人で冒険者の、ミツキと申します」
「よろしくお願い致します」
「こちらこそ、よろしくお願い致します」
「……堅いねぇ。さっき王も言ったとおり公式の場じゃないんだからもう少し砕けていいんだよ」
「わたしには無理ですお師匠様」
むしろお師匠様がそんなにリラックスされてるのが凄すぎなんですよ!!!
「……さて、今日は俺に用があると聞いたが」
「はひ!きょ、今日はお忙しい所お時間いただき、ありがとうございます」
「……そう堅くならなくていい。今はプライベートな時間だからな」
「……ぜ、善処します。………本日は、受け取っていただきたい物がありまして」
わたしはアイテムボックスから箱を取り出します。
それをひとまずテーブルにおきます。
「……開けてよろしいですか?」
イオさんの問いかけに、わたしは頷きます。
王様に直接お渡しするのは不敬とか、危害を加える気はまっっったくありませんが、きっと危険性などを確認するのも秘書官さんのお仕事だと思うので。
「では失礼します。………これは」
イオさんは目を見開いて、わたしをみます。
わたしは、ひとまず曖昧に微笑みました。
「えっと、太陽島の……お土産?です」
「……なんと……」
「……イオ、どうした」
お師匠様はその様子をニヤニヤして見ています。
お師匠様!悪い顔してます!
「……いえ、驚いてしまいました。まさかこの目で見られるとは思いませんでしたので」
そう言ってイオさんは、箱を王様の目の前へ運びました。
王様はプラムを見つめた後、徐々にその目を大きく見開きました。
「………まさか、〈太陽のプラム〉……?」
「はい。入手しましたので………本音を言うと、今後何かあった時に助けて頂きたいという賄賂でもあります……」
「賄賂」
王様はプラムとわたしの顔をみて、小さく笑い始めました。
あれ?今の所笑うところですか?
「……クク、賄賂か。この俺に」
「……と、投資でお願いします!」
賄賂と言いましたが、響きがちょっとアレですからね!
投資、投資です!王様への投資です!
投資なら、返ってきますよね!
「……太陽島でのお前の冒険を、聞かせてくれないか」
「えと、そんなに冒険していませんがよろしいですか?」
「構わん。聞くのが好きなだけだ」
柔らかい表情で王様が笑います。
なるほど、王様モードの時は凄く冷たそうな、よく切れるナイフのような方ですが、プライベートは表情わかりやすいですね……
わたしは島の様子や、わたしが見てきたものを辿々しく伝えました。
お師匠様も、王様もイオさんも、とても楽しそうに聞いてくれました。
「……少し羨ましいな」
「羨ましい、ですか?」
「俺も冒険者だからな。伝説の島の探索はしてみたい」
そう言った王様に、お師匠様も同じように頷きます。
「……このプラムも、感謝するが数が多いな」
「あ、ご家族が何人かわからなかったので、とりあえず5つ入れました。……足りましたか?」
「……まさか家族にもくれるのか?」
「?はい、王様が無病息災、健康長寿になるのは喜ばしいですが、ご家族も共に健康で過ごしてほしいと思うのです」
「…………」
王様は驚いたような顔をしてわたしを見つめます。
イオさんも、同じような顔してます。
普通の事だと思うんですけどね…………
「……………エトワール、渡り人とは、こんなに素直な奴ばかりなのか」
「さてね。ワタシはこの子しか知らんからね」
「……そうか。感謝する、ミツキ。だが1つ多い」
「そ、そうでしたか。……では、イオさん、貰っていただけますか?」
「………わ、私ですか」
急に話を振られてイオさんがびくりとしました。
「秘書官という大変そうな職種ですし、健康には気を付けた方が良いかと……」
「いえ、そんな……」
「そうだな。イオ、お前も貰っておくといい」
「陛下!」
「お前も道連れだ」
王様はイオさんの耳元で何か話しましたね。
わたしには聞こえませんでしたが。
「あ、ありがとうございます。ミツキ様」
「いえ、そんなわたしに様付けなんていらないです」
「いえ、感謝の気持ちもあります。それにこれから長い付き合いになると思いますから」
「ただの小娘ですが………」
「……ミツキ様、エトワール様の弟子はただの小娘ではありませんよ………」
「えっ」
すごいのはお師匠様ですからね!
わたしはまだまだひよっこです。
「……昨日の異名持ちの集会でも、エトワール達はこの話をしていたんだな」
「みんな驚いていたからね」
「これは確かに驚くな」
異名持ちの集会……気になっていた事を聞くチャンスですね。
「異名持ちの集会は生産職しかいないと聞いたのですが、戦闘職の方とかは参加されないのですか?」
「…………異名持ちと戦闘職の奴らは、馬が合わん」
「異名持ちの皆様は、皆独自の情報ルートをお持ちです。その情報ルートを通して得た情報を騎士や各街の自警団に開示しても、信憑性や確証がないと突っぱねる頭の固い方々が多いのですよ」
「そ、そうですか………」
「故に異名持ちの集会で得た情報は、俺の名で各街やギルドへと流している」
王様もイオさんも、難しい顔をしています。
お師匠様は普通ですね。
そんなわたしの視線に気付いたのか、お師匠様は悪い顔をします。
「ワタシの情報を無視したら壊滅するからね。ワタシの情報を無視する馬鹿は余程の馬鹿しかいないよ」
「現に過去、エトワールの星詠みを無視した村は壊滅した」
「ひぇっ」
か、壊滅!
それは恐ろしいですね………
「まぁ、異名持ちは個性的な奴らばかりだからな…」
「……一癖も二癖もありますね」
「それワタシにも言ってるのかい?」
「あっ失礼しました」
慌てるイオさんを睨みつけるお師匠様。
本気で睨みつけてはいないので、恐らく揶揄ってますね。
ふふ、慌てるイオさんと揶揄うお師匠様、楽しそうです。
無意識に笑顔を浮かべていたわたしを、王様が笑顔を浮かべて見守っていたのにわたしは気づきませんでした。
「さて、投資されたからには少しでも返さないとな」
「うぇっそんな気にせず」
「ひとまずリルだな。…………5つで1億5000万リルか」
「いちおく」
「いや、足りないな……太陽のプラムに値段など付けられない。ミツキ、いくら欲しい」
思わず白目になりました。
そんなお小遣いいくら欲しいみたいなノリで聞かないでください……!
わたしも値段をつけられません!
「い、いえお金はそんなにいらないです……」
「……ふむ、ならば家か。王都の1等地にミツキの家を建てよう」
「すぐにリストアップ致しましょう」
「お、お待ちください!そんな」
「俺の家族と秘書官にこのような素晴らしいものをくれたんだ。勿論ポケットマネーで出すが」
「……い、家はお師匠様みたいな自然の中に欲しいので!」
これは本当です!
木々に囲まれてお庭もあって、夜星空がバッチリ見える場所に家が欲しいです!
ユアスト、なにやらギルドランクを上げてクランを組むと、クランホームを持てる、というのを公式サイトで見ました!
「……ふむ、浮島か」
「浮島ですか……」
「………………うきしま?」
「なんだい、ミツキ気付いて無かったのかい」
わたしは恐る恐るお師匠様の方を向きます。
「星詠みの魔女の家なんだ。1番星に近い場所に家を建てるに決まってるだろう」
「……はわわ」
う、浮島???
空に、島が浮いているということ、ですよね?
え、全然気付きませんでした!
結構広い森が、お師匠様の家の周りには広がっていましたし!
「………ふむ、俺の所有する浮島に1つ余っているのがあるな。それを贈ろう。イオ」
「はい、鍵を取ってまいります」
「ま、まって…」
「良かったじゃないかミツキ」
「まってください……」
「勿論リルもギルドの口座に送金しておこう。口座はあるだろう?」
「ありますがおまちください………」
は、話をきいてください!!
誰も待ってくれません!
ど、どうして……ふと思いついた事を言っただけなのに……
わたしが頭を抱えていたら、イオさんがなにやら焦った表情で戻ってきました。
「陛下!メーア様の容態が!」
「!どうした」
……あれ、メーア様?
聞き覚えが……
「…ッすまないが」
「ワタシも連れていきな。視てやろう」
「頼む」
お師匠様が立ち上がったので、わたしも立ち上がります。
そして王様とイオ様の後を急いで追いかけました。
豪華な物みると壊したらいくらだろうって考えてしまうことありますかね?作者は距離取っていてもこわいなって思うことあります( ˘ω˘)
これからもこの作品をよろしくお願いします!




