いざ王都へ! ⑤
200万PV!たくさんご覧いただきありがとうございます!
これからもミツキの冒険をお楽しみください!
ログアウトしてキッチンへと向かいます。
キッチンにいたお兄ちゃんに、お昼はいらない事を告げて小さめの菓子パンを開けます。いただきます!
「お、イベントか?」
「もぐもぐ……そんな所!」
「俺はまだルクレシア周辺をウロウロしてるわ」
「もぐもぐもぐもぐ……わたしは王都へ向かってる途中!」
「へぇ王都か……」
「ごちそうさまでした。王都への道は、レベル20くらいのモンスターが多いから気を付けてね」
「……もうちょいレベル上げしないとだな。教えてくれてありがとよ」
急いで部屋に戻って、ログインします!
ログインしました!
今のうちに、ルクレシアで買ったちょっと豪華な箱にプラムをそっと入れます。
………5つくらい入れておきましょう。それでも20くらい残ります。
よし、これで…お渡しできますね……緊張します。
箱をアイテムボックスにしまいました。
テントから出て、テントをしまいます。
ジル様たちは、泉のほとりで火を焚いて肉を焼いていました。
「あ、ミツキ様!」
カペラさんとシリウスを喚び出して、近寄るとルーシーさんがこちらに気付きました。
「戻られたんですね、ミツキさん」
「はい、ジル様、休めてますか?」
「はい。……静かで、少し落ち着かないですが」
ジル様は、少し手持ち無沙汰な様子です。
火を眺めながら、時折枝を投げ入れています。
偏見ですが、貴族の子供は結構傍若無人で人を顎で使うようなイメージを持っていましたからね。
ジル様はお若いですが、礼儀正しく武器の扱いも身につけています。
………長男、でしょうか。
「……そういえば、ジル様は何故王都へ?」
「…そうですね。……婚約者に会いに、でしょうか」
「婚約者」
こ、婚約者!
このご年齢で婚約者!貴族、ですね!
「婚約者が体調不良という報せを受けまして、気になってしまって」
「つい屋敷を飛び出したと……」
「そういうことです……」
ジル様は照れたように笑って、膝に顔を埋めました。
婚約者さんのことが心配で駆けつけるジル様。
これは中々婚約者さんを大切にされている様子。
将来有望ですね、そのまま女性に優しく育ってくださいね……
「それは、心配ですね……」
「はい。何ともないといいんですが」
「……辛気臭い顔は辞めましょうジル様。さ、こちらを食べて休んだら出発しましょうね。メーア様も、元気なジル様に会うほうが良いでしょう」
「………ありがとうルーシー。いただくよ」
「こちらの食材は、ミツキ様から頂きましたね」
「何から何まで、ありがとうございます、ミツキさん」
「いえいえ」
ルーシーさんは、ジル様とわたしにお肉と野菜を挟んだサンドウィッチをくれました。
それをレグランさんと、カペラさんにお渡しします。
シリウスには、こちらでお肉をわけておきます。
「ありがとうございます、ルーシーさん。いただきます」
!柔らかい食パンにお肉と野菜がサンドされてて、ちょっとピリ辛で美味しいです!マヨネーズが合いますねえ!
美味しい………これは高級食パン………
「美味しいです、ルーシーさん!」
「ありがとうございます、ミツキ様のおかげですよ」
「ルーシーさんお手製だからですね!」
景色の良いところで、この人数で食べるのは初めてです。
人と食べる食事は美味しいです!
「ごちそうさまでした」
「とても美味しかったよ、ルーシー」
「良かったですわ」
少しだけ食休みして、辺りを片付けます。
来たときより綺麗に、です!
「カペラさん、またよろしくお願いします」
カペラさんはまた親指を立てて御者台に登りました。
シリウスも飛び乗ります。
わたしも馬車にお邪魔して、王都へ向けて出発です!
これなら13時半くらいには、王都に到着しそうです!
街道を進むと、森が開けました。
つい窓から外を覗くと、高い白亜の城壁が目に入りました。
「高い城壁……」
「ミツキ様は、王都は初めてなんですね」
「はい!とても大きいですね!」
ルーシーさんの問いかけに、元気よく答えます。
高い城壁にぐるっと囲まれた都が見えてきました。
ルクレシアよりも、さすがに大きいですね!
ちょっと高いところに、お城も見えます。
あ、あれがクリスティア城でしょうか。
すごいです!シュヴェリーン城みたいです!
お伽噺に出てきそうなお城ですね!
ちょっとテンション上がります!
あれが、クリスティア王国の王都、ミゼリアなんですね!
すごい迫力です。
「……王都ミゼリアは、各国と流通していますから、各国の特産品やアクセサリーなど、色々な物を取り扱っている店が多いです。時間があれば、覗いてみるといいと思いますよ」
「はいっ!そうします!」
ジル様がそう言って微笑みます。
王都、1日じゃ絶対周りきれなさそうです!
新しい場所の探検、楽しみですね!
王都ミゼリアを囲む城壁に近づいて来ました。
そろそろ、馬車からお暇しましょう。
「……この辺りで、わたしは降りますね」
「このまま共にミゼリアへ入る事も出来ますが……」
「いえ、最初は自分で都へ入りたいのです」
わたしの言葉に、ジル様が笑顔を浮かべて頷きました。
「冒険者らしい言葉ですね。……お礼は必ずします」
「そんなお気になさらず……これも縁ですから」
あ、これもお渡ししておきましょう。
「ジル様、こちらをお渡しします」
「……?こちらは?」
「わたしが作ったキュアポーションです。婚約者様に使うでも、婚約者様が使う必要が無ければジル様が使うでも、お好きなように使ってください」
「………!このキュアポーションは、」
「今後!何かあったら助けていただければそれでいいので!それでは!」
ルーシーさんとレグランさんに挨拶して、馬車を飛び降ります。
こういうのは、押し付けたもの勝ちなのですよ!
「ミツキさんっ!」
「それでは、ジル様、ルーシーさん、レグランさん!またお会いできる日を楽しみにしてます!」
普通のキュアポーションじゃないのに気付いたのか、ジル様が窓から身を乗り出します。
ミゼリアも近いので、カペラさんとシリウスを還します!
シリウスから呆れたような感情が伝わってきました。
いや、プレイヤーが増えてきたので!
変に注目を集めてしまう可能性があったので、ここはおさらばします!
わたしは手を振って、門の横の小さな出入り口に向かって走り出しました。
扉の前には、数人のプレイヤーが並んでいました。
わたしも並んで、順番を待ちます。
「ギルドカードを」
「はい」
騎士の格好をしたNPCにギルドカードを見せます。
「こちらの水晶に手をかざしていただけますか」
「?はい」
騎士さんが持つ水晶に手をかざすと、青く光りました。
騎士さんはそれをみて頷くと、微笑みました。
口元しか見えませんけれどね。
「初めての方ですね。ようこそ、王都ミゼリアへ」
「ありがとうございます」
うおう、初めてってバレました。
何かわかる要素あったんですかね?
ひとまず入れるようなので、扉からミゼリアへ入ります。
はわぁ……ドキドキです。
「……すご」
ルクレシアとは比べ物にならない人!人!人!
NPCもプレイヤーもたくさんいます!
ジョージアン様式の建物が並ぶ、美しく活気溢れる都です!
すっごい!すっごいです!
わぁ………海外旅行に来たみたいです……!
屋台や、お店の前に商品が並んでいる小さめの通りもあります。
ああいう通り、大変好みです!掘り出し物と出会えそうです。
道の端に寄って、スクショします。
お師匠様との約束の時間まであと30分あります。
ちょっと歩きましょう!
都を歩けば花の香り、屋台の近くではとてもいい匂いがします。
確かに、色々な物を取り扱っているようですね!
民族的なものも、和風なものもあります!
それに、都の中心と思われる方向には、とても大きな噴水広場がみえます。
ふおおお時間が!時間が足りないですね!
隅々まで見て回りたいです!
食べ歩きもしたいですし、お店も見て回りたいです。
わくわくが止まりませんね!
「………わくわくが止まらないって顔してるね」
「ひょっ!?」
「ちゃんと王都にいるじゃないか。感心感心」
振り返ると、お師匠様がいました。
びっくりしました!
お師匠様はいつもの黒いロングワンピースの上に、ラピスブルーのフード付き外套を着ています。
「途中でご縁があって、馬車に乗らせていただきました」
「ほう。そりゃ良かったね」
「王都、初めてですがすごい賑わいですね!」
「そりゃ王都だからね」
その通りです!
クリスティアで1番の都ですからね!
「じゃあゆっくり歩きながら王城へ向かうかね」
「うぐ……はい、よろしくお願いします」
「そんな緊張しなくていいさ。取って食われる訳じゃないからね」
「緊張はさすがにします……」
だって王様ですよ!?
王様とお話しするなんて、普通に暮らしてたら無いことです!
お師匠様は小さく笑って、歩き始めました。
わたしは、その後を緊張した面持ちでついていきました。
やっと王都へ辿り着きました!
次回は素敵な密会(笑)です!
これからもこの作品をよろしくお願いします!




