王宮会議
純白城広間……そこの場所は王宮の士官や高官、大臣、騎士団長、副騎士団達が並んで、話し合いをする場であった。
広間の最も上座に位置し、10数段ある大理石で形作られ、絨毯が掛けらた階段の一番上に正統な王位が即座する椅子があった。代理王は、その椅子に座る事は許されず、その中間に用意された椅子に座る事が宿命づけられていた。
現・代理王であるアスレイウも、その1人だった。過去に代理王になった者が居て、誰も見ていない所で、密かに正統王の椅子に腰掛けた者が居た。彼は……誰も見ていないと思って、座ったのだが……翌日、大神官から不心得ある者と言われ、代理王の職務を解任されてしまう事件があった。
それ以降、如何なる人物であろうとも、その椅子に腰を下す事は許されないと硬く忠告され、現在では、魔術師に寄る結界までもが張られる様になった。
その代理王を招いての広間での集会に、1人の王国騎士団が、布で包んだ物を持参して現れた。その人物は昼間市場で魔族と決闘したロムステだった。
「魔族と思わしきものの首を捉えて来ました」
彼は代理王に片膝を付きながら頭を下げて言う。
「ご苦労だった」
代理王はロムステに向かって労いの言葉を掛ける。
「彼奴との決闘中、相手が妙な言葉を発しておりました」
「ほお、それは一体……?」
「転生少女とその仲間達を全員、『魔の森』に連れ込んで、奴等全員を血祭りに上げる……と、申しておりました」
その言葉に周囲は不穏な空気が流れ、週はざわつき始める。
「妙な言葉を言うものだな……そもそも、転生少女とは一体誰の事だ?」
高官の1人が口を出す。
「まさか……魔族は国を救った、我が王国の奇跡の姫が現世に蘇っているなどと夢見ているのであろうか?」
大臣が嘲笑いながら言う。
周囲のざわめきに少し不快感を感じたアスレイウは、ロムステを見ながら声を掛ける。
「お主が取ってきた、魔族の首を見せてくれ」
「かしこまりました」
彼は、布で包んだ首を前に出して、縛ってある布を解いた。
それを見た周囲の者達は、「おおッ!」と、その生首を見て驚いた。
「なるほど……」
アスレイウは、魔族の生首を見ながら頷いた。
その時だったー
既に息を引き取った魔族の目がギラリと開いた。
「こ……コイツ、まだ生きているぞ!」
アスレイウが慌てて椅子から立ち上がる。それに驚いた高官達は、一斉に後退りした。
「ゲヘ……ゲヘ……貴様らは、どのみち逃げられん。我が主は、既に貴様達を始末する準備を進めている。ルディアンス様も、魔の森で私達が来るのを待っている。聖魔剣を返して欲しくば……ルディアンス様と決闘する事だな……まあ、あの方に勝てる者などおらんがな……グハハハー」
そう笑っている時だった。
グサッ!
アスレイウが近くにあった槍を投げて、魔族の脳天に突き刺した。
すると……魔族は、シュウ……と音を立てながら、消滅してしまう。
「皆の者に伝える!王都周辺、市場への監視を強化せよ!まだ魔族と思わしき者が隠れ潜んでいるかもしれない。不審な人物を見つけ出したら、即刻捉えよ。それと……神殿に報告し結界の強化を行うよう連絡を!」
アスレイウの命令に王宮の者達は急いで準備に取り掛かった。
全員が広間から居なくなると、アスレイウは、自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いて行く。その時側近の女史が彼の側に付添い歩いていた。
「悪いけど……少し1人にしてくれないかな……」
「嫌です」
彼女は真剣な目でアスレイウを見ていた。
「どうせ、また城を抜け出そうと考えているのでしょう?」
その言葉に彼は困った表情をしながら振り返る。
「君の前では嘘は付けないな……」
「貴方は、もう少し自分の立場も良く考えて行動すべきです……あまり危険な事に関わると、皆が心配します」
「今回を最後にするよ。まあ……次からは気をつけるよ」
「嘘ばかり……」
アスレイウは女史を見た。彼女は溜息を吐きながら彼の側を通る時、さりげなく声を掛ける。
「貴方は、何時も目先の事ばかりに捕われて、女性の事を置いてけぼりにする……と言われていますよ」
「そんなつもりないけど……一体誰が言ったの?そんな事……」
「貴方の幼なじみの方……サリサさんからです」
それを聞いて彼はドキッとした。
「え……ちょ、ちょっと、どう言う事。それ……?何時、君達は知り合ったんだよ?」
そう言いながら、アスレイウは、慌てて女史を追い掛けて行く。




