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転生少女と聖魔剣の物語  作者: じゅんとく
第四章 光の聖魔剣
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試練(2)

『全11の光の魔法を覚えし者よ、其方は何故……我が聖なる祠を血で汚したのか、お主が祠で争い、聖なる墓所を血に染めたお陰で、我が魂は眠りを妨げられたのだぞ』


「仲間を助けるために取った行動よ。魔物が私達を襲って来たから」


『言い訳は聞かぬ、お主は儀式で我が聖魔剣を欲するのでは無く、私情で手にしようともしている。ならば……力尽くで、聖魔剣を手にして見るが良い!』


 その言葉が終わると同時にパッと周囲の景色が変わる。


「えッ⁉︎」


 リーミアは周囲を見渡すと、一緒に居た神官達の姿が見られない。目の前の景色は、空と大地が何処までも青く染まった、不思議な空間だった。上空には薄らと雲が見える。しかも……その雲の流れが異様に早く感じられた。


「こ……ここは?」


『我が精神世界だ』


 何時からか分からないが、目の前に黒い影をした、リーミアよりも背丈の大きい人が立っていた。


『受け取れ』


 その人物は、青い輝きの棒をリーミアの元へと投げる。彼女は、それを手にして人型の者に対して構えをする。


(強い……それも並の強さじゃない……)


 リーミアは、相手の気迫を肌で感じた。今まで色んな相手と戦って来た彼女だからこそ、相手の強さが、どの程度か直ぐに判断出来た。そんな事を考えている僅か一瞬…–––。気を逸らした瞬間に相手は物凄い速さで彼女の懐へと飛び込む、次の瞬間ーパンッ!激しい衝撃に対してリーミアは相手から数十mも弾き飛ばされた。


「グ……」


 今まで対戦した事のない相手に、彼女は戸惑った。


(なんて強さなの……)


 リーミアは、棒を握っていた手が震え出した。


(こんな相手に勝てるのかしら?)


『敵わないなら立ち去っても良いのだぞ……小娘。だが……立ち去った時点で其方は、不適合者として刻印され、2度と祠には入れなくなるのだがな……』


 相手は嘲笑う様かの口調でリーミアに話し掛ける。


 初めて相手にする強敵に対してリーミアはフウ……と、深呼吸してから再び相手に向かって行く。


 予想以上の素早さに相手は『ほお……』と、少し驚いた感じを見せた。


 ヒュンッ


 人型は、リーミアの攻撃を難なく交わす。


 更に追い討ちをかける様にビュンッと棒を降るが、それも交わした。


 相手が避けたの悟ったリーミアは、大きく棒を降るが……相手が素早く避けてしまい、大きくバランスを崩した。


 その瞬間、人型が横から姿が現れて、彼女に一撃を喰らわす。


 相手が姿を表した瞬間に、彼女は防御の体勢を整った為、最初の様には弾かれ無かったが、それでも強烈な一撃で、バランスを崩してしまった。


「ク……」


 リーミアは、相手の強烈な攻撃により、その場に座り込んでしまった。


『弱い、弱すぎる……主には聖魔剣を受け取る資格は無い。貴様は、ここに来るまでに何を学んだのだ?所詮、少女では聖魔剣を扱うのは不可能なのだ!素直に諦めて帰れば、まだ……無事で居られるぞ、尚も強情を張って聖魔剣を手にしようと言うなら、私は容赦はせん!』


 相手の言葉にリーミアは初めて震え出した。まるで目の前に大きな壁が立ち塞がり、乗り越えるのも困難な状況に達してしまった様な、そんな絶望の状況に陥った感じがした。


(ここまで来て……)


 ポタポタ……と、つぶらな瞳から涙が落ちる。


(負けたくない……ここに来るまでに、沢山の人が見守って来てくれたのに……何の為に頑張ってここまで来たのか、意味が無くなってしまう)


 リーミアは初めて悔し涙を流した。


 その時だった……


『絶望の時こそ、光の魔法を使うのですよ』


 彼女の脳裏の奥で、誰かが囁く声がした。それと同時に前世の記憶が断片的に蘇る。


 ––––遥か昔の記憶……


 神殿の中で魔法の修行をしている少女がいた。彼女は、女神官と高齢の神官に見護られながら

 魔法の鍛錬に励んでいた。


「ん〜……えい!」


 少女は魔法陣を浮かび上がらせて、魔法を唱えて見るが……中々上手く行かなかった。


「はあ〜……あ、また失敗だぁ」


 少女は呆れた口調で言う。


「やっぱり、私は才能が無いのよ」


 そう呟くと、女神官は深い溜息を吐く。


「姫様そんな事言わないで下さい。それに……いきなり何もかも上手く行く人なんて、この世には存在しません。我々だって日々の鍛錬積み重ねで上達しているのですよ。幼い貴女が、ちょこっと練習したからと言って、我々を驚かせる程の成果を見せたら、それはもはや天性の才だと言わざる得ません」


 何気ない一言に対して女神官の手厳しい発言を受けた少女は「は〜い……」と、返事をする。


 そのまま、不平を漏らさず彼女は魔法の鍛錬を続ける。その日の修行が終わると、少女は女神官と同行しながら神殿から城への道を歩いていた。


「姫様、今後先、もし……何かに迷ったり絶望しそうな時は、光の魔法を使うと良いですよ」


「何故なの?」


「光の魔法とは……攻守どちらの効果もあるのです。この世には白魔法、黒魔法、召喚等……あらゆる魔法がありますが……その中でも光の魔法は特殊で、扱い次第で周囲に力を与えたりするのですよ。皆に希望を与える……それが光の魔法の一番の特徴とも言えるのです」


「皆に希望を……」


 女神官の言葉を繰り返し呟く。


「あとですね……ここだけの秘密なんですけどね……」


「なあに?」


「私達が身に付けている光の魔法は、融合させる事が出来るのです」


「え!そんな事……大神官様は言っていなかったけど!」

 驚いた少女に対して女神官は少し意地悪そうな笑みを浮かべる。


「本当は禁じ手なのよ。あまり他の人の前では言わないでね」


「わ……わかったわ」


「光の魔法は、それぞれが独立した効果を示す物だけど、それを同時に複数唱える事により、魔法を唱えた者に対して、爆発的な効果が示されるの。ただし……これは最大で4つまでにしないと駄目ね……」


「何でなの?」


「瞬間的な効果が多い分、肉体への反動も大きいのよ。上位の魔法が選ばれた人のみ以外が扱うのが危険と同じ位、複数の魔法を融合させるのも同じリスクが伴うのよ。大神官様もそれは知っていて、敢えて言わない様にしているのよ」


「そうだったんだ」


「だからね……余程の事が無い限りは魔法の融合は使わない様にしてね。本当に絶望的な状況が目の当たりに来た時のみに使うのよ」


「分かったわ」


 ––––現在……


 リーミアは、スッと立ち上がった。それを見た相手は彼女を見て『ようやく観念したか……』と、相手を見つめる。


 少しフラつきながら、リーミアは右手を胸元まで上げる。


「聖光……」


 右手に光が放たれる。


「ム……?」


 左手を胸元まで上げた。


「光源……」


 左手に粒子状の光が放たれた。


 彼女は両手に光を放った状態で、それを両手に重ねると、パアアーッ!2つの魔法が融合した事により強い光が放たれる。それと同時にリーミアの身体は神々しく眩い光に包まれた。

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