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転生少女と聖魔剣の物語  作者: じゅんとく
第三章 光花
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副盟主(7)

 リーミアとアルファリオが手合わせを始めてから、しばらくして宿舎に魔物狩を終えて戻ってきた光花のメンバー達が広間へと入って来る。


 「あー、疲れたー、何か食おう」


 エムランが椅子に座りかけた時だった。レトラが何かに気付いた様子で練習場を見た。


 「おい、盟主が誰かと手合わせしているぞ!」

 「どうせ……直ぐに相手が負けるだろう?」


 エムランは、食堂に行き発泡酒を貰って戻って来る。


 その時だった。


 カンッ!カンッ!バアンッ!


 練習場で、今まで聞いた事が無い音が響く、エムランは思わず発泡酒をこぼしてしまった。


 「な……なんだよ、今の凄い音は!」

 「ねえ……相手している人、始めて見る人よ!」


 シャリナが練習場を指して言う。


 気になったメンバー達は急いで練習場へと向かう。観戦する場所にはケイレムとルファ、それにマイリア、レネラの姿があった。



 凄まじい勢いで交戦したリーミアとアルファリオは、一旦間合いを取る。その間に練習場では僅かに砂煙が巻き起こっていた。


(流石はリムア姫の転生した少女だけはあるね……。あの人の情報も間違っては居なかったて事か)


 アルファリオは両手の木剣を交差する形で構えた。

 見慣れ無い構えにリーミアは、相手がどの様な戦法で来るのか戸惑った。


 その一瞬ッ!


 彼は、物凄い速さでリーミアの懐へと飛び込んだ。


 バキッ!

 ズササー……


 リーミアは、後方へと押されて、危うく壁に押し当てられそうになった。



 「す……すげえ、あの盟主をあんなに押し当てるなんて……」


 エムランは、唖然としながら見た。



 リーミアはフウッと息を吐いた。


 (金の称号も伊達では無いって事ね……)


 今まで対戦した事の無い相手に、彼女は少し嬉しそうな表情を浮かべた。


 「ほお……」


 彼は、両手の木剣を構えた。


 (次はどんな一手で来るんだ?)


 アルファリオがそう思っていると、リーミアが素早く動いた。


 バンッ!


 「ウグッ……」


 リーミアの木剣による強い衝撃を当てられ、アルファリオは持っていた片方の木剣を勢手放してしまった。


 「そう来たか、なら……これなら!」


 彼は、片方だけになった木剣を両手に持ち構えて攻撃する。


 ブンッ


 すかさず、リーミアは攻撃を避けて彼の間合いを移動しながら走った。

 少し間合いを取ったかと思うと、アルファリオに接近する。


 「単純な攻撃だ!」


 彼は、両手で木剣を振り落とす。リーミアも右手で木剣を振りかざした……が、リーミアの木剣が折れてしまった。


 「ああ……」


 周囲から驚いた声が響く。

 アルファリオは、リーミアの顔に木剣を構える。


 「勝った……」


 と、呟いた瞬間アルファリオは、ハッと驚いた。視線を右に向けると……木剣を掴んだ彼女の左腕が真っ直ぐに伸びて、彼の喉元を構えられていた。


 「え……いつの間に?」

 「さっき、間合いを取った時よ」


 そう言われて、彼は自分が片方の木剣を落とした時、彼の木剣を拾い、この行動を予測していたのを計算していたリーミアを見て驚いた。


 「まさか……ここまで計算するとは……参りました」


 彼は、木剣を下ろした。


 「いえ……こちらこそ、久しぶりに良い運動が出来て良かったです」


 腕試しは結果的に引き分けになった。

 滅多に見られ無い盟主との白熱した勝負に、それを観戦していた皆から盛大な拍手が送られてきた。


 「凄いね……」

 「良い勝負だった」


 いつの間にかメンバーが集まっている事に驚いたアルファリオは、始めて見るメンバー達に軽く一礼をした。


 「良いメンバー達だね」

 「まあ、賑やかなのが、取り柄見たいな感じですが……」


 彼は改めてリーミアを見る。


 「なるほどねアスレイウが一目置く理由も良く分かる……」


 彼の何気ない言葉に、ふと……彼女は「ねえ、アスレイウって……誰なの?」と、思わず首を傾げながら聞き返した。


 「え……ああ、いや、何でもないよ。それよりも皆に挨拶し無いとね!」

 「そうね、皆を集めましょう」


 リーミアは観戦席にいる皆の場所まで行くと、こちらに来る様に伝える。

 光花のメンバーとレネラ、マイリアがアルファリオの側へと集まる。皆が集まったのを確認すると改めて、皆の前で説明を行う。


 「皆さんに紹介します、今日からウチの光花に入隊したアルファリオさんです、彼には副盟主として、働いてもらいます。では……貴方からも何か一言どうぞ」

 「初めましてアルファリオと言います。宜しくお願いします」


 彼は皆に向かって軽く一礼する。


 「では……盟主室へ行きましょう」

 「了解いたしました」


 アルファリオはリーミアと一緒に練習場を出て盟主部屋へと向かう。

 ブレスレットで盟主部屋に彼を連れ込むと、机へと案内させる。


 「では……こちらの書類作成をお願いね。私は神殿に呼ばれているので、後の事はお任せします」


 そう言って彼女は部屋を出ようとする、が……彼は逃げるリーミアの腕を掴んだ。


 「ちょっと、お待ちを!」

 「な……何か?」

 「神殿に呼ばれているって言っても、今日……今すぐでは無いでしょう?」

 「え……と、そうだけど、あと……魔獣討伐とか……」

 「それは、何時でも可能です。魔獣が貴女を見て逃げる訳では無いでしょう?先ずは席に座りなさい」


 彼は無理矢理リーミアを椅子に座らせる。

 そして彼女が作成した書類を見直した。


 「何ですか……この書類の作成は……。全く……記入漏れが有ります。あと自分の名前も書き間違えているのも有ります、自分の名前位はしっかりと書いて下さい。それと未作成の書類に……一桁の計算も間違えてますね。取り敢えず、こちらにあるのは全て書き直して下さい」


 彼は羊皮紙の書類をドサッと置いた。


 「いずれ神殿に行くでしょうけど、それまで自分で作成出来るのは、やって下さいね!作成している間に僕は宿舎の中を見学して来ますので……」


 彼はそう言って、盟主部屋を出て行った。彼等が話している間に盟主部屋に入って来たマイリアがクスッと笑いを堪えていた。

 彼女を見たリーミアは、少し戸惑った表情を浮かべてながら言う。


 「ねえ、彼も人選を見誤ったのでは無いの……?」

 「いいえ、盟主様に取っては、これ以上無いほどの適任者だと我々は思っております!」

 「ううう……卑怯者……」


 デスクワークが大嫌いなリーミアは、やっと机から解放されると期待していたのだが……アルファリオは、それを見抜いてた様子だった。

 


 〜数日後……


 神殿からの迎えが来て、リーミアは光の魔法の修行に出掛ける時が訪れる。準備が整い神殿へと出掛ける時、宿舎にいる全員が彼女を見送ろうと外に出て。石畳の道を歩いて行くリーミアを見送り続けた。


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