副盟主(5)
突然ですが、今回から段落を付けての投稿とさせて頂きます。
〜数日後
「グゴゴォーーー!」
激しい雄叫びを上げながら、巨体な魔獣が討伐メンバー達へと猛攻を掛ける。攻撃補助魔法の固定を力で押し破り、突進を仕掛けて来た。
「わああー、何て力なのよー!」
魔術師の少女が叫びながら押し飛ばされる。トゲ状の様な体毛に太くて鋭い爪をして、頭部には尖ったツノを数本生やした、恐ろしい姿の魔獣に、討伐メンバーは震え上がっていた。
前衛のメンバーのナレフとケイレム、エムラン達は、魔獣を恐れて、攻撃の手を止めてしまって
いた。
「グルルル……ゴオッ!」
雄叫びを上げた魔獣に一閃の光が放たれる。
ボオンッ
魔獣は、攻撃して来た相手を見た。
その場所には、魔獣よりも遙かに小さな少女の姿があった。
「め……盟主!」
盟主と呼ばれた少女はリーミアだった。彼女は、魔獣が暴れ出した直後、付近に居た魔物を1体倒して、その魔物が所持していた剣を奪って、戻って来てた。
リーミアは剣に魔力を注ぐ、すると剣先が仄かに光り輝いた。
「さあ、来なさい、荒れ狂う野獣よ!」
その言葉を聞いてか、魔獣は勢いよくリーミアへと向かって突進して来た。
ズンズンッと地響きを鳴らしながら迫り来る魔獣に対して、リーミアは一歩も退かず、相手の猛攻を正面から受ける覚悟だった。
「む……無茶だ、逃げて下さい!」
ナレフが叫ぶが、リーミアは相手の猛攻に対して構えを取る。
次の瞬間ー
ズパッ!
リーミアが魔獣の下から剣を振り翳して、巨体な魔獣の胴体を2つに切り裂いた。
僅か一瞬で、荒れ狂う獣は永遠に動かなくなった。
勝敗が決して、リーミアは光の魔法を解くと、同時に魔物が使っていた剣はボロッと灰になって崩れ落ちる。
「勝った……」
「凄い!」
手強かった魔獣を倒して、皆は嬉しさのあまりに「やったー!」と、喜び飛び交う。
その日の魔獣討伐を終えて、皆はギルド集会所へと行き、その日の奨励金を受け取った。
帰宅しようとした時、受付のレナがリーミアを呼んだ。
「貴女に朗報よ」
「何ですか?」
「例の副盟主を希望している方が現れたのよ」
「え、本当ですか?どんな方なんですか?」
「感じの良い男性だったわ。名前は……アルファリオ言う方ね。最近こちらの集会所に移動の申請を行ったばかりの人よ」
「へえ、どんな人何でしょう?」
「良かったら、面談の話を進めて見るけど……」
「そうですね。取り敢えず会って、話をして見たいと思います!」
「分かったわ、彼がこちらに来たら。貴女が了承していた事を伝えるわね」
「はい!」
リーミアは人が見つかった事に喜んで宿舎へと戻り、新しい人材の話を皆に伝えた。
「盟主様、安易な気持ちで了承を得るのは早計であります」
マイリアがリーミアに厳しい意見を申し出た。
「先ずは相手を見てから判断してくださいね!」
レネラも一緒にリーミアに向かって意見を申し出る。
「言って起きますけど、私達は何も怒っているのではありません。前回の様なジジイ見たいな人材が来たら、それこそグループの評価が落ちますから、ただ……それだけが心配なのです」
「今後は、入隊希望者が出た場合は私達が人材を見て判断した上で面談を通す事にします!盟主様は優しすぎる上に相手を疑う事を知らなすぎますから……貴女の為に、私やマイリア、あと……グループの方達で適正かどうかを判断した人材のみ面談してください!良いですか⁈」
「はい」
それを傍で見ていた光花のメンバーは唖然としながら管理人と秘書に叱られる盟主の姿を眺めていた。普段なら討伐や稽古の場では敵う相手が居ない盟主が、レネラとマイリアの前では何も言い返せなずに居た。
「盟主が手も足も出ずにいるとは……あの2人結構やるな……」
エムランが呆気に取られながら言う。
「まあ、彼女達が言っている事は間違って無いわね。盟主って本当に優しすぎるから……」
シャリナが呟く。
「サリサさんからの情報だと、盟主から金を借りている人も居るらしいって噂だよ」
ケイレムが皆に向かって言う。
皆が言い合っている中、レトラが何か思いたったのか、1人で考え込んでいた。
「レトラ……何を考えているのですか?」
彼の隣にいるルファが声を掛ける。
「ん……いや、リムア姫も結構優しい人だったな……と、思い出してね」
「そうなの……?アタシ、国外の人だからあまり詳しくは知らなくて……」
「この国では有名な話だよ……」
ナレフが声を掛ける。
「我が身を犠牲にしてまで国を救う人だ。まあ……盟主を見ていると何となくそれが納得出来てしまう。今日の魔獣討伐だって、俺達を全滅させない様に単身で魔獣に挑んでしまったからね。全く、凄い人だと思うよ……」
レネラとマイリアが立ち去ると、リーミアは1人溜息を吐いた。気持ちを取り直して顔を上げた時、広間の片隅にいる皆に気付き、ハッと目を見開いた。
「あ……あなた達、何時からそこに居たのですか⁈」
「へへ……盟主様が叱られるなんて、光景は中々お目に掛かれないから、拝ませてもらったよ」
その言葉に、恥ずかしそうに顔を俯かせてリーミアは、反論の言葉が出なかった。
「まあ、良いじゃないですか、たまには盟主様も叱られて……」
「私、レネラさんとマイリアさんに……優し過ぎると言われました」
「そうだね、ちょっと盟主様は優し過ぎ過ぎるよね」
「だから考えました。皆さん……今直ぐに練習場に集合してください」
「はい?」
リーミアは柔かな顔をしながら皆を見る。
「今まで優し過ぎたから、全力で皆さんに稽古をさせます!」
「えええー!」
全員が絶句した。
「ちょっと、その優しいと、我々の言う優しいは意味が全然違う!」
「では……少し本気でやります」
「ま、待って、まさか本気で言っているの?」
「勿論、本気ですよ。さあ……始めましょう」
結果……メンバー達は、今まで一番激しい稽古を夜遅くまで付き合わされた。以後……光花では、一種の暗黙のルールが出来た。「如何なる理由であろうとも、盟主の機嫌を損ねると、倍返しが来る……」と、言われた。
〜翌日
光花の宿舎に1人の男性が現れた……。
その男性は宿舎の玄関前に立っている神官に挨拶をする。
「初めまして、こんにちは」
「はい、こんにちは」
「こちらにリーミアさんと言う方は居ますか?」
「はい、居ますが……どの様な御用件でしょうか?」
「あ……申し遅れました、自分はアルファリオと、言います。副盟主の件で来たと伝えてください」
「かしこまりました」
神官は宿舎に入り管理人のレネラに伝えると、彼女は宿舎前に立っている人物を見て、予想外の反応を見せた。
目の前にいる人物は、背丈が高く、細身だが……身体を鍛え上げられた感じがしていた。見た目は20代後半位で、整った顔立ちからは、見識のありそうな雰囲気が感じられた。
「初めまして」
彼はレネラに軽く一礼をする。
「あ……初めまして」
レネラも思わず一礼した。
「盟主と面談ですか?」
「はい、副盟主の件で来ました」
「分かりました。どうぞ中に入ってください」
レネラはアルファリオと言う名の人物を宿舎へと招き入れた。




