副盟主(3)
––––翌日
リーミアがいつもの様に盟主専用部屋で書類の作成をしていると、マイリアがノックして部屋に入って来た。
「盟主様、お客様が面会を求めて来ました。広間でお待ちしております」
「あ、はい……わかりました」
マイリアに言われてリーミアは広間へと向かう。
広間に行くと、ソファーのある場所に2人の人物が座っていた。
1人は若い女性で少し褐色のある細身の身体で、黒髪に凛とした顔立ちの女性だった。
もう1人は白髪で、隣の女性と比べると……やや背丈の低い中年男性だった。彼は鼻や顎に白ヒゲをはやしていて、メガネを掛けていた。
2人を眺めながら、リーミアは彼等の向かい側に腰を下ろした。
「初めまして、グループ光花の盟主リーミアです。お越し頂き光栄です」
「初めまして、ルファと言います。宜しくお願いします」
「どうも、初めまして。ロティスと言います。宜しく」
リーミアは2人をチラッと眺めた。
「本日は、どの様なご用件でしょうか?」
「人材を募集してありましたので、集会所で場所を聞き、こちらに来ました」
「そうですか……入隊と言う事ですね。了解致しました、入隊を歓迎致します。……ロティス様も入隊という事で宜しいでしょうか?」
「事務処理の募集があったので来ました。職業は魔術師で攻撃系の魔法が得意です」
「なるほど……つまり、副盟主を務めて頂く……と言うことで宜しいでしょうか?」
「ま……まあ、そちらが希望なさるなら、それも構いませんが……」
ロティスは少し戸惑った感じで答える。
「入隊を前に、お2人の称号をお聞きしたいのですが……」
「アタシは銅の称号です」
「ワシは白銀の称号です」
「かしこまりました。では……2人とも入隊証明書にサインして頂き、これからこちらで、頑張って頂きます」
リーミアはマイリアに入隊用の書類を受け取り、彼等はその入隊書類にサインをした。
「ところで、入隊したらワシ達に何かくれるのかい?」
ロティスの言葉にリーミアは「はい?」と、首を傾げた。
「何か、噂じゃあ……こちらのグループに入ると、入隊祝いにプレゼントされるとか聞いたけど……?」
「誰が、そんな事を言いましたか?まあ……欲しい物があれば差し上げますが……。ですが……そんなプレゼント目的で入隊されるのは困ります。ルファ様も同じですか?」
「いえ……アタシは、今初めて聞きました」
リーミアは改めてロティスを見た。
「何か訳があって入隊したのですか?でしたら……今、この場でハッキリと申して頂けませんか?小さいグループですが、それでもメンバーを統括する者として、申し上げたい事は最初にお聞きしないと、今後仲間達の関係にも影響しかねないので」
それを聞いたロティスは、少し焦った雰囲気を見せた。
「ちょっと、口が滑っただけだよ……まあ、ちょっとした噂を聞いたので確認したまでですよ……ハハ」
彼の言葉をリーミアの側で聞いていたマイリアは、不信な目で彼を見ていた。
「ちなみにルファ様は、どんな武器を扱いますか?」
「アタシは槍が得意です」
「なるほど……入隊したから、少し腕試ししても構いませんか?」
「あ、はい……構いません」
ルファが答える時、たまたま広間に来たナレフが彼等を見た。
「お、何……綺麗な人が入隊したね!」
彼が現れたのを見てリーミアは、ナレフに声を掛ける。
「そう言えば……貴方、最近銅の称号を得たよね?」
「ああ、そうだけど……?」
「彼女も銅の称号なの、良かったら少し腕試しして見ない?」
「良いとも、構わないさ!」
ナレフの言葉にルファは、「宜しく」と、軽く微笑んだ。彼女の言葉に、少し興奮気味になった彼は、張り切って練習場へと向かった。
「誰かが練習場に向かった……」と言うのは、直ぐに皆に伝わり、メンバー達が観戦しに集まった。
「へえ……新しい仲間は女性か……良いね」
レトラが少し嬉しそうに見ていると、隣にいたシャリナが、ワザと彼の足を踏んだ。
「痛っ!何すんだよ!」
「フンッ……」
シャリナは何も言わずにそっぽを向いた。
リーミアの隣に居たケイレムが盟主に話しかけた。
「どっちが強いですかね?」
「力で考えれば男性のナレフさんが条件として強いわね。でも……新しくメンバーに加わったルファさんも強そうね。彼の剣技が、果たしてどこまで槍使いに通じるかしら……?」
ナレフとルファは稽古用の木剣と棒を手にすると……剣な眼差しで互いを見て、構えを取る。
バッ!
先に動いたのはナレフだった。普段リーミアに手痛い稽古を付けられているから、出来るだけ早く動いて、攻撃に出る……と言う戦法で行動した。
カンッ!
木剣が相手の長い棒を叩いた。しかし……ルファは、それを予測して居たのか、直ぐに反撃に出た。
ブンッ!
長い棒は、ナレフの直ぐ近くまで来て、寸での所で彼は一撃を喰らう所だった。
「ほお……やるね、あの女……」
エムランが関心しながら言う。
「盟主様、状況からして、どちらが優位ですか?」
ケイレムがリーミアに話す。
「まだ始まったばかりだから、何とも言えないけど……ナレフさんの方が、少し難色が感じるわね。相手の槍の戦法に飲み込まれなければ、まだ勝算はあるけど……。槍は剣と違って間合いが長いから接近戦の剣には不利な相手だけど……上手く相手の懐に飛び込めば勝機はあるわ」
「成る程……」
ケイレムが頷いている間にも、ナレフとルファの腕試しは続いた。
木剣で接近戦に持ち込むナレフだが、ルファは上手く相手の攻撃を交わす。
パアンッ!
ルファがナレフの腹部に一撃を食らわせた。
「痛ゥー……」
腹部を押さえ込むナレフ。
相手の動きが鈍くなったと感じたルファは更に一撃をお見舞いしようとするが、ナレフは直ぐに、その場を逃げ出して、素早い動きで後方へと回り込む。
相手が油断した隙を狙って、高く飛んで一撃を与えようとした。
だが……
カアァンー……
「ウソ……」
ナレフは唖然とした。
完全に死角からの攻撃だったが……ルファは棒を使って上手く相手の攻撃を防いだ。
相手の攻撃を上手く交わしたルファは、その勢いで相手を押し退けて、油断した所で更に一撃を与えた。
バアンッ!
強烈な一撃を喰らったナレフは、その場に倒れ込んでしまった。




