書斎の間
〜神殿…書斎の間
神殿にある書斎の間は、古今東西様々な書物が並べられていた。王立図書館と比べると若干面責は狭くなるが…それでも保管されている蔵書の数は決して劣っては居なかった。書斎の間には毎日多くの神官達が、色んな本を読み解き勉学に励んでいた。その書斎にリーミアとサリサが中央の広い木製のテーブルがある椅子に座っていた。リーミアは、目の前の本棚に目を向けた。本棚には『光の魔法』と書かれた札が掲げれていた。
「凄いわね、ここの本棚にある書物、全部光の魔法の本なのでしょ?」
「全部って言っても、基本は変わらないわ。それに貴女が覚えるのは正統な12の魔法よ。ここにあるのは、それを応用した物ばかり。治癒で病人を治したり、私の様な神官剣士が戦闘時に扱えるもの等、直接貴女に関連した書物は異なる物ばかり」
「では…残りの魔法はどうやって覚えるの?」
「大神官様が直接教えるわ。このやり方は古来より、伝授されていて、どの書物にも記されていない特別な魔法なの、光の魔法の上位とは書物に記するのも難しい魔法なの」
「そんなに凄い魔法なのですか?」
「ええ…私達後天型では、まず扱う事すら難しいわ。もし…仮に習得出来ても、その魔力に耐え切れず、最悪の場合死亡してしう例や、中には半身不随、精神崩壊する例もあるから、禁断の魔法として、正統な後継者のみに伝授させる様に、古代から伝わっているのよ」
「そんなに強力な魔法、覚えられるのかしら?」
その言葉にサリサは微笑んだ。
「貴女は正統な光の洗礼を受けた方だから、その辺の心配は無いわよ。もし…後天型の人が上位の魔法を覚えたいなんて言ったら神殿側が反対させるわ。まあ…でも神殿に居る神官で、そんな事を言うのは、まず居ないわね。そもそも私達神官は光の魔法を1つ覚えるのに約1年掛かるのよ。7つ覚えるのに7年掛かるのが一般的なのに、貴女は1ヶ月以内にそれを全て覚えてしまったのよ。神殿にいる神官達は皆驚いて居るわ」
「そうだったんですか…知りませんでした」
リーミアは少し驚いた様子で答える。それを見たサリサが、使い古しの書物を広げる。
「本来なら、今日から大神官様に、上位魔法の直接指導させてもらう予定だけど…残念ながら大神官様は、当分神殿には戻られないから、今日は下位の7つの光の魔法の復習をしましょう」
「わかりました」
『聖光』光の魔法の初歩。聖なる光…闇を照らし、邪を追い払う効果がある。
『光源』光の魔法の初歩。治癒効果がある癒しの魔法。魔族には火傷を負わせる効果がある。
『斜陽』光の攻撃魔法。低階級の魔族に紅蓮の刃での打撃を行う。不心得無き者には細やかな癒しの効果が得られる。
『幻光』光の幻術魔法。敵対する者に幻術を見せて不意を突かせる。不心得無き者には安らぎの効果が得られる。
『回源』光の回復魔法。周囲に癒しと治癒の回復を行わせる魔法。魔族、邪気には苦痛の効果が与えられる。
『光炎』光の魔法。炎の様な眩い光を放つ。低階級の魔族を滅して、周囲に癒しの効果を与える。
『優光』光の魔法。優しく暖かな光で魔を滅させる。不心得無き者には癒しの効果が得られる。
書物を一読し終えたリーミアは、チラッとサリサを見つめた。彼女の視線が何か物言いたそにしているサリサは少し呆れた様子で、席を立った。
「貴女が言いたい事は分かるわ。実戦で魔法の効果を試したいのでしょ?」
「ええ…そうです。何故分かりましたか?」
「過去の伝記に書かれていたわ。リムア姫とは…お天馬で玉座に大人しく座っているのが嫌いなお姫様で…何時も城を抜け出して、衣装を汚して帰って来る様な女性だったとね。多分…貴女にも、それが受け継がれているのだと思うわ。こんな畏った場所に何時までもじっとしているのは、貴女にとっては窮屈ではないのかしら?」
そう言われてリーミアは「アハハ、分かりましたか?」と、答える。
「顔に書いてあるわよ」
サリサが少し呆れた口調で言う。
「ちょっと待ってね」
彼女は羊皮紙を広げて羽根ペンで何か書き走る。一筆描き終えると、羊皮紙を丸めて紐で縛る。
「これをある人物に届けますので、一緒に展望台まで行きましょうか」
サリサはリーミアを連れて書斎の間を出て展望台に向かおうと歩き始める。
「そう言えば…最近ティオロが神殿に来ないわね」
その言葉にサリサは微笑みながら言う。
「彼は、自分で稼ぐと言って、それ以降神殿に来なくなったわ」
「そう…自分で頑張る様にしたのね…」
「彼の事が心配なの?」
サリサの何気ない質問にリーミアは頬を赤く染める。
「べ…別に心配では無いわよ。ちゃんと1人で頑張っているのか、気になっただけよ」
「気にかけているなんて優しいのね、見たところ彼の方がリーミア様よりも年上に見えるけどね」
「確かに年上かもしれないけど…全然頼りがないのよ。私がしっかりしないと、彼…何をするかわからないから、何時も勝手に何処かへ行ってしまうし…。自分勝手で、女好きで、酒飲みで、金銭感覚が無いし…ホント困るのよね。でも言って置くけど、私は…全然彼の事なんて全く気にしていないんだからね!」
そう言う事自体、既に気にしているのだとサリサは言いたかった。




