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転生少女と聖魔剣の物語  作者: じゅんとく
第三章 光花
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義賊の選択(1)

~マネニーゼ市場…


その日ティオロは、ラトム・ギルド集会所の酒場の席で1人果実酒を呑んでいた。彼はフウ…と深い溜息を吐く。


「はああ…どうしようかな」


彼は、1人でボヤいた。


「あれから、もう1ヶ月も経つのか…」



~先月…


リーミアが荷造りを終えて神殿に出発する前、彼女はティオロに金貨の入った袋を手渡す。

その袋の中身を確認した彼は、予想よりも少ない枚数に対して、少し気落ちした様子を見せる。


「ねえ…ちょっと少なくない?金貨10枚じゃ、飲み屋をハシゴすると、1週間位で終わっちゃうよ」

「それなら、飲み屋を行くの控えめにすれば良いでしょう?それよりも、剣の稽古に励みなさい」


2人の会話にサリサが入り、ティオロに向かって話す。


「宜しければ、神殿に来て頂ければ私が剣技を叩き込んで差し上げますよ」


ティオロは、彼女を見ただけで相当強そうだと感じた。


「あ…自分で修行します!」


慌てた素振りで、彼は返事をする。結局ティオロは、金貨が終えたら神殿まで行って、リーミアから貰う、と言う選択を選んだ。


しかし…彼が最初に貰った金貨は、3~4日で使い果たしてしまった。予想よりも早く使い切ってしまったティオロが、僅かな期間で神殿に訪れる事にリーミアは少々驚きだったが…。護衛のサリサも少々拍子抜けしていた。

光の魔法の鍛錬の最中に来た為、リーミアは聖衣を纏った姿で現れた。

普段着とは違う姿の彼女を見たティオロは、最初誰なのか気付かなったが、普段の口調や振る舞いで、直ぐに彼女だと気付いて金貨を借りようと話を進めた。


「剣技の方はどうなの?」

「ああ、しっかりとやっているよ」


彼は平然とした口調で嘘を言う。リーミアも彼が嘘を吐いているのは分かっていた。その日は魔法の鍛錬で、忙しくかった為、何も言わずに少し多めに金貨を渡して神殿の奥へと戻って行った。

それから、さほど日を置かずに再びティオロが神殿へと現れた。その日は…門番にリーミアを呼ぶようにティオロが声を掛けると、現れたのはサリサだった。

彼女は流石にティオロの行動に対して、我慢しきれず彼の前に現れた。


「貴方ね、いったい幾ら金貨を使っているの!一般人だったら借家や馬車が買える資金を、貴方は数日のうちに使い切っているのよ。少しは金銭の扱いに注意したらどうなの?大体ね…リーミア様が持っている金貨の袋は貴方が遊ぶ為だけにあるのではないのよ。こんな事するよりも、もう少し自分が護衛役に立てる様に、剣技の稽古をしたらどうなのよ?」


それを言われて、ティオロも反論の余地が無かった。リーミアが神殿に行ってから、彼はギルド集会所には行っていなかった為、彼の称号は未だ若葉色のままだった。

少し手厳しい事を言ったと思ったサリサは、口調を変えて彼に言う。


「まあ、貴方達の関係だから、私が余計なお節介するつもりはないわ。自分達が決めれば良いけど…。今のままだと、貴方はずっと彼女の紐のままになるわよ。それでも構わないなら、私は何も言わないわよ。あ…それと、リーミア様は、今日7つ目の光の魔法の最終訓練を行うわよ。良かったら見て行きなさい。訓練が終わった後に彼女に声を掛けると良いわよ」


サリサは、そう言ってティオロを神殿内へと案内する。広い神殿の中を通って、競技場の様な場所へと向かわされた。

そこには沢山の神官達が集まり、その中央にリーミアが訓練の指導者と一緒にいた。


「何をしてるんですか?」

「光の魔法、優光よ」

「優光?」


聞き慣れない言葉にティオロは首を傾げた。


「優しき光と言う意味よ。光の魔法は全て味方には治癒と回復の効果があり、魔族や邪鬼を消滅させる程の効果があるわ。7つ目の優光は優しく暖かな魔法効果で、魔族を消滅させるのよ。ちなみに…私達の様な後天的に大神官から光の紋様を授かった者は、この7つ目の光の魔法しか授けてもらえないわ」


それを聞いたティオロは、近くに居る少女の神官達が話しているのを耳にした。


「ねえねえ、もう…あのお姫様が転生した人、もう7つ目の魔法を覚えちゃったわよ」

「すごいわね。最近神殿に来たばかりなのに…覚えるの早すぎるわね。私なんて、もう2年以上神殿に勤めているのに、光の魔法は最近やっと3つ目を習得したばかりよ」

「やっぱり正式な光の紋様を授かる人は、私達とは根本的に違うのね」

「近い将来は、本物のお姫様になるのだから…。私達とは持って生まれた素質そのものが異なるのかしらね…」

「国の為に行動しているのだから、本来あるべき場所へと向かう為に、全力で取り組もうとしている姿勢を感じるわね」

「あのリーミア様が王家に即位したら、どんな国家が生まれるのかしらね…」


少女神官達の言葉を聞いたティオロは、自分がこんな所で、彼女の膝元に甘えているのが惨めに感じ始めた。


(リーミアは聖魔剣を奪われ、転生者の紋様を封印されながらも、一歩ずつ前に進んでいる。なのに…俺は、ずっと彼女に甘えて何の苦労もしないで、燻っている。このままで良いのか?少しでも自分が役に立てる様に努力した方が良いのでは?)


そう思い始めると、彼はその場から立ち去ろうとする。


「どうしたの、もう直ぐで鍛錬が終了するわよ」

「やっぱり止めとくよ。ちょっとしばらく自分で稼いで見るから」

「そうなの…」


サリサは、ティオロの言葉を聞いて、クスッと微笑んだ。

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