光の洗礼(5)
洗礼の加護を行う場所には、年配の女性神官が居た。彼女は毎日魔法剣を携えた少女達に洗礼の儀式を行っていた。
その日、ようやく1日の作業が終わったと…思ったところで、彼女は帰宅の準備をしていた。
「すみません、1名追加出来ますか?」
「はあ…?今頃になって新しい人が来たの?もう今日は終了よ。明日にして貰いなさい」
「ですが…大神官様からの依頼です」
大神官からの依頼となると誰も断れなかった。彼女は「ハア…」と、溜息を吐いた。
「分かりました。その子に会いましょう」
女性神官は、室内を出てリーミアに会いに行く。
個室へと行くと、そこには少し風変わりな少女が待っていた。女性は彼女を見て少し戸惑った。
「貴女…魔法剣は?」
「失くしてしまって…」
リーミアは愛想笑いしながら答える。
「はあ?失くした状態で来たの?まあ…良いわ。とりあえず聖水の浴場を案内するので身体を清めて、こちらの衣服に着替えて来てください」
女性は、光の洗礼の儀を行う様にして、既に30年間、ほぼ毎日色んな少女達を相手にして来たが…魔法剣を持たずに光の洗礼を受ける少女は今回が初めてだった。
リーミアは大きな浴場へと案内されて、聖水で身体を洗って純白の衣服に身を包んだ。浴場からでると女性が待っていた。
「こちらへ」
女性に案内されて、長い廊下を歩き、その先にある扉を開いた。その扉の先には大きな石碑が立っている広い聖堂だった。リーミアは女性に付き添われて聖堂の奥にある石碑の前までに案内される。
「聖なる石碑の祭壇です。今から石碑を通して、貴女に祈りを捧げます。心を無心にして、祈って下さい」
「分かりました」
女性はリーミアに祈りを行おうとした時、彼女の様子を見に来た数名の参加者達の姿が現れた事に気付く。その中に大神官の姿も見受けられた。
(大神官まで参列するなんて、何なのこの子は?)
女性は戸惑いながら祈りを捧げた。女性が祈ると石碑化から光が発せられて、リーミアを包んだ。
(普通の子なら、この光を照らされて直ぐに消えるわ。どうせ彼女も…直ぐに終わるでしょう…)
そう思って、女性がチラッと目を開けると、彼女を照らす光は消えず、その輝きは次第に強くなっていく。
「な…何、これはッ!この輝きは…!」
女性は若い頃、現在のアルメトロスが祭壇で、光の紋様を授かるのを他の神官達と一緒に見た時の事を思い出した。
(あの時の輝きと同じ、いえ…この眩しはそれ以上!)
周囲は、物凄い光に包まれた。神殿内では信じられない程の眩しさが発せられて、神殿内に居る神官達は信じられない輝きが聖堂から発せられている事に驚いた。その輝きは純白城や、マネニーゼ市場からも確認出来た。
「おい、何か…神殿が光っているぞ?」
「本当だわ、何か儀式でもやっているのかしら?」
さらに…その輝きは離れた農村地帯でも確認された。
「なあ…婆さんよ。今日は夕焼け空がやけに明るいな…」
「何言っているのよ爺さん」
「ホラ、アレを見ろ」
年老いた老婆は西の空を見上げて、金色の光に驚く。
「あれまぁ…何かしらね、あの光は?」




