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転生少女と聖魔剣の物語  作者: じゅんとく
第一章 マネニーゼ市場
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風変わりな男

ー ラトム・ギルド集会所…


「おい…」

「何よ!」


リーミアが不機嫌そうな表情でティオロを見た。


「何でギルド集会所に戻るんだよ」


ティオロは買い物が終わったら、宿屋に戻って…次の日まで遊ぶ惚けるつもりだった。


「どうせ貴方の事だから、宿屋に戻れば隙を狙って逃げ出すでしょう。だから…ここで私が貴方に色んな事を教えてやるのよ」

「はあ…何それ?」


集会所に集まっている強者達の一角に空いてるテーブルを見付けると、リーミアは椅子に座り向かい側にティオロを座らせる。


「どう言う事さ…」


面白く無さそうな表情でティオロはリーミアを見た。


「言葉通りの意味よ、貴方の昨日からの行動で大体何を考えているのか、読み取れているから…」

「へえ…そうなの」


負けずとティオロは強がって見せる。


「これまでの貴方の行動から推測すると…お金が懐に入った事で、私が宿に戻れば…貴方は私の目を盗んで逃げ出すでしょうね、そして街で遊び惚けて…。所持金が無くなったら再び私の元に戻って、お金を要求する…と言う行動が予測出来るわね」

「う…」


ほぼ正解の事で、ティオロは反論に戸惑った。


「こう見えても私は修道院で兵法や心理学を学んだ身よ、貴方の様に単純な行動くらい読み取れる事くらい簡単よ」


完全に立ち位置がリーミアの方が上に感じられたティオロは言い返す言葉が無かった。

その時二人の近くで「フフフ」と、笑う人が居た。

彼はリーミア達の側へと寄って来た。


「良いね、君達の仲は…話を聞いてると楽しそうだ」


現れた男性は黒色の三角帽を被り、黒のマントに身を包んだ背丈の大きく、長髪で顎には無精ひげを生やした風変わりな男性だった。

彼はティオロの隣に空いている椅子に腰を降ろす。


「ちょっとセフィーさん、変なこと言わないでくださいよ」


ティオロの言葉にリーミアが少し驚いた様子を見せていた。


「こちらの人と知り合いなの?」

「まあ…コイツとはちょっとした古い仲でね」


セフィーと言う名の男性がリーミアに答える。彼の言葉に対してティオロが引き下がる。


「俺はセフィーと言う者だ、よろしく」


彼はリーミアに向かって自己紹介をする。


「私は…」


リーミアが自己紹介しようとした時、彼が「おっと」と、手を伸ばして彼女の言葉を遮った。


「言わなくても結構、君の名前は知っているから…」

「そう…なの、随分情報が早いのね」

「フ…君は有名人だからね。まあ…少なくとも、このギルド集会所では近くの人が知っていると思うよ」

「そうなの?」


そう答えながらリーミアは周囲を見回した。

セフィーは集会所の店で働いている者に発泡酒を頼む。


「お嬢ちゃん、アンタ見かけに寄らず凄い腕前の様だね」

「それほどでも…」


リーミアが照れながら答える。


「フ…謙遜しなくても良い、君の事は昨日レンティ占術師から聞いたよ」


その言葉にリーミアは少し驚いた表情でセフィーを見た。


「何か目的があって、私に近付いて来たの?」

「いや…そんな事は無い、ただ…俺としてはちょっと助言しようと思ってね…」

「助言…?」

「まあ、そうだな…例えばこんな奴を頼るよりも、もっと期待出来る人を雇った方が身の為とか…」


セフィーはティオロを指して言う。


「彼には貸しがあるので、しばらく雇っているだけですが…」

「おやおや…そうなのか、まあ…別に無理に要求している訳では無いのだから、君が良ければそれも構わないさ」


セフィーが話してる間に発泡酒がテーブルに置かれ、彼はそれを一口飲んで、リーミアを見た。


「嬢ちゃんが持っている短剣、ちょっとを見せてくれるかな?」

「構わないけど…」


リーミアは、不信に思いながらも短剣をテーブルの上に置く。

セフィーは短剣を手にして、剣を鞘から引き抜こうとするが、剣は抜け無かった。


「噂通りの名剣だ…。所有者にしか扱え無いとはな…」


そうながらセフィーは短剣をリーミアの方に戻す。


「良かったら、短剣を鞘から抜いたのを見せてくれるかな?」


リーミアは少し迷いながら「はい」と、返事をして短剣をゆっくりと鞘から抜いた。

短い鞘の中からは、まるで別物の様に長く伸びた長剣が出てきた。


「ほお…これがテリオンの剣ならではの能力か…」


セフィーは改めて剣を手にして眺める。


「剣の輝き、刃先も見事に研ぎ澄まされた一品物だ。これだけの物腰と輝きがありながら、重くなく…刃先が鋭い、切られた相手は痛みすら感じる事無く倒されるだろう…」


セフィーは剣をリーミアに戻すと、発泡酒を再び口にして改めてリーミアを見た。


「嬢ちゃんの、武器はかなりの物だ…多分、同じ武器を手にしてる物はいないだろう…。だが、それは野営地での魔物相手での事だな」


その言葉にリーミアはピクッと反応した。


「それはつまり…?」

「テリオンの剣は、様々な種類の魔法剣の原点とも言われている。剣は生き血を吸って魔力源に変え、所有者は剣を鞘から抜く度に体力を消耗させる…と言った絶大な威力の反面、リスクの伴う武器でもある。何よりも嬢ちゃんは体が細い。ドラゴンの様に硬い鱗を持った相手や…同じ魔法剣で体力のある相手等、長期戦等では…不利になる場面が出てくると思う」


その言葉にティオロは数日前にレンティ占術師の言葉を思い出す。


(あの娘が必要以上に聖魔剣を使わせるのは本人にとって大きな負担へとなるのは確実だと思うがな…)


リーミアはリスクを背負いながら危険を冒しているのかもしれない…、そう思いながらティオロはリーミアを見ると、彼女が少し震えている様にも思えた。

それを見たティオロはセフィーに向かって言う。


「ちょっとセフィー、少し言い過ぎじゃない?」

「別に俺は本当の事を言っただけだが…。大体、王位継承権を得ようとしてギルドに入ったのだろう?だったら安物の武器を購入するよりも、もっと自分に見合った道具を用意すべきじゃないかな?」

「安物?」


そう思ってティオロはリーミアの魔法の杖を見た。自分の武器防具と一緒に買った彼女の魔法の杖は、それだけでも金貨100枚した高価な杖だった。


「あれだけでも金貨100枚したんだぞ、決して安くは無いぞ!」

「だから…何だ?露店で売買されてる魔法剣は、安くても金貨1000枚は下らない。現在代理王を務める者は魔術師に協力を得て、独自の魔法剣を造り上げたらしい…その製造費には総額で金貨10万枚を費やしたと言われる…。いずれこの先、王位継承権で覇を争うになる時、テリオンの剣だけでは不利になると思う、せめて相応しい予備の武器を持った方が嬢ちゃんには良いと思うがね…。まあ、今のままで満足しているのなら、それも構わないさ…」


セフィーは発泡酒を飲み終えると席を立つ。


「まあ…俺が必要になったら何時でも声を掛けてくれ。今は別の事をしているが…こう見えても昔はギルドに参加して、野営地で狩りをしていた身だ。一応水晶の称号を持っている、少なくともコイツ何かよりは役に立つけどな」


セフィーは「コイツ」と言う時にティオロを指した。

ムスッとしながらティオロはセフィーを睨んだ。

リーミアは少し考え込んだ表情でセフィーが立ち去って行く後ろ姿を見ていた。

その傍ら、ティオロが「あー!」と、突然大声を出す。驚いたリーミアは振り返り、ティオロを見る。


「何よ、突然大声を出して?」

「アイツ酒代払わずに出て行きやがったー!」


ティオロは飲み代の伝票を手に持って言う。

それを見たリーミアはセフィーと言う風変わりな男性を信用して良いのか少し迷った。

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