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転生少女と聖魔剣の物語  作者: じゅんとく
第五章 魔の森、攻略!
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宿泊施設(2)

『ラミウ宿泊施設』……ほんの数ヶ月前までは、小さな民宿にしか過ぎなかったけど……意外な所からの入金で、一部店舗を改装したら……それが予想外の反響を呼び、更に右肩上がりで売り上げが伸びて、短期間で莫大な利益を得た事により、民宿は高級宿泊施設へと変貌を遂げたのであった。


 一番の功績は、まだ小さかった民宿にスイートルームを設けた事が要因だった。当初はリーミア専用部屋だったが、彼女が居なくなった後、空き部屋にしていた。いずれ彼女が再び戻ってくると思って空き部屋の状態にしていたのだが……。宿に宿泊しに来た来客者が、その部屋を利用したいと申し出る人が、度々居たのである。


 当初は、他の利用者に使わせるつもりは無かったのだが……1泊銀貨50枚出しても良い……と言う利用者が続出して、それが功を成して……結果、売り上げが大きく伸びる要因へとなった。


 おかげで、ラミウ宿泊施設は、市場でも指折りの宿に肩を並べる程までになった。


 宿泊施設の頭となり、従業員を束ねる様になったラミウは妻のルナから、将来は王位に即位するかもしれず……更に、店舗改装の援助資金提供者のリーミアが来た事を知り、皆に向かって真剣な表情で居た。


「良いか、お前等。今夜泊まりに来てくれたお客様は、普段のお客様とは違うからな!最善のもてなしで対応しろよ!」


「ウィッス!」


 従業員達は気を引き締めて頭の忠告に返事をする。


「我が宿の社訓、覚えているよな?」


「ウィッス!1つ。お客様には、おもてなしを!2つ。どんな時も笑顔で対応!3つ。皆んなで仲良く、ご馳走様ー!」


「よし、結構だ!では……今から準備に取り掛かるぞ、全員……気を引き締めて取り掛かれよ!」


「ウィーッス!」


 授業員達は全員片手を挙げながら返事をした。


 宿泊施設で部屋を借りたリーミアは、女性神官と一緒に浴槽へと行き、身体を洗い流した。部屋に戻る時、受付をしていたラトスが現れて、リーミアに再び礼を述べる。


「先程は誠にすみませんでした……危うくクビになる所を助けて頂き感謝します」


「別に構わないわよ。それに……私も久し振りに来たから、私を知らなく当然でしょ?まあ……今後は、無鉄砲な発言は控える事ね。そうしないと……今度こそ貴方自身危ないわよ」


「はい、肝に命じて置きます」」


 彼は再び深く頭を下げた。リーミアは彼を横目にしながら、女性神官と一緒に部屋へと戻った後、男性神官を連れて3人で食堂へと向かう。


 店舗改装した時は、居酒屋の様な感じだった食堂は、完全に見間違える程までに大きくなっていた。何処かの高級料理店と見間違える様な感じの場所となり、リーミアと神官達は、その食堂で、出された料理を美味しく堪能した。


 部屋に戻ると、3人は絨毯が敷かれた部屋で、その日の出来事を話し合う。


「色々と有り過ぎた1日でしたね……」


 男性神官がリーミアに向かって話す。


「多分……同じ事が起きそうも無い1日だったと思うわ」


 愛想笑いしながら答える。


「それにしても……何故、市場に結界が張られたのでしょうね?」


 女性神官が不思議そうに言う。一番の予想外が転移石で市場の中央に戻る予定が、城壁の外側に転移した事だった。それにより、自分達が神殿に戻る予定が大幅にずれ込んでしまったのだった。


「先程、貴女達が入浴している時、宿泊施設で聞いた情報だと、魔族が市場に現れたらしいです。王国騎士団が市場を巡回しているのも、それが理由らしいです」


「そうだったの……で、魔族の狙いって何なのかしら?」


 リーミアは男性神官に尋ねるが、彼は首を横に振るう。


「現時点での情報では、何も分かりません、神殿や城に行けば何か分かるかも知れませんが、今の時点では、何も……」


「そう、分かったわ……」


 リーミアは少し俯きながら答える。それと同時に1日の疲れが出たのか、欠伸をし始め「ごめんなさい、先にお休みさせてもらうわ」と、言って部屋を出て、自分用に用意された部屋に向かう。


 2人だけになった神官達は、互いに顔を見つめた。


「で……魔族の本当の狙いは何だったの?」


 女性神官が男性に対して容赦無い問いかけをする。


「気付いてたのか?」


「そりゃね……リーミア様を心配させない様に、誤魔化している位は分かっていたわ」


 その言葉に男性神官は呆れた表情をする。


「全く……聖職者の僕達が、嘘を吐くなんてバレたら困るのに……。まさか君に気付かれるなんて、お互い、職を変えた方が良いのかもしれないね……」


「前置きは良いから、とにかく教えて……」


「はいはい……。魔族の狙いはリーミア様だったらしいんだ。奴は宿舎に現れ、神殿にも近付いた。だけど……王国騎士団によって首を切られたらしい。しかも……リーミア様のグループ光花に挑戦状を叩き付けた……との事だ。僕が仕入れた情報は、ここまでだよ。まあ……明日神殿に行けば、何らかの情報が得られるだろうけど……少なくとも、聖魔剣を奪い合う戦いになるのは避けられないだろうと思う」


 それを聞いた女性神官が表情を曇らせながら考え込む。


「何とかして、リーミア様を、戦わせない方法は無いかしら?」


「今……この場で僕達がどうこう考えるよりも、サリサ様みたいな人に相談するのが一番だよ。多分……このまま何もせずに居たら、過去の争いを再現させる事になりかねない。敵が襲撃して来たら、こちらが動くのが最善だと思うよ」


「だからって、せっかく光の聖魔剣を手にした彼女を、戦場に駆り出すのはあまりに可哀想すぎるわ」


「それは分かっているけど……でも、力の聖魔剣を奪われたままの状態で居るよりも、奪い返した方が効果的だとも言えるけど……」


「それを誰か他の人に任せれ無いのかしら?」


 その言葉に男性神官は腕を組んで首を傾げる。


「ギルドに参加して、非公式の決闘が出来ない状況で奪われた経緯を踏まえた状態で……自分以外の人に聖魔剣を奪い返して貰う……と言うのは、少し都合が良すぎ無いかな?」


 それを聞いた女性神官は顔を俯かせる。


「私としては……彼女には、もう戦いをさせずに王位に即位して欲しいわ。あの娘には王位……若くは普通の女の子として生涯を全うして欲しいのよ」


 その言葉に男性神官は沈黙する。本来なら男性が地位や名誉の為に戦う戦場に出るのを、転生者でありながら、王位の少女が戦場に出るのは、理論的に考えても不釣り合いでしか無かった。更に……神殿に戻れば、間違いなく聖魔剣奪還の命が下される。


 男性神官は考え込むが、彼女を戦から遠ざけるのは難しい……と、判断してしまう。


「僕が言うのも変だけど……彼女には王位継承権を得るまで、頑張って貰うしか無さそうだね……」


「やっぱり……そうなるのか……」


 女性神官は少し残念そうに返事をする。2人は、その後しばらく話をしてから眠りに着いた。



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