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魔族少女の人生譚  作者: 幻鏡月破
第一章 四天王となるまで
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第三話 四天王のお話

リメイク済み

 扉の外に出ると、眩しい太陽が照りつける。


 今日は本当にいい天気だと、そう思う。


 魔境書紀を見ればわかるが、初代魔王の頃、魔境は生物すら生きられそうにないほどの荒地だった。

 だが今はどうだ。緑は茂り、清らかな水は流れ、そして眩しい太陽と共に青空がある。


 なんでも三代目魔王が大規模な環境修復魔法を生み出し、魔境を完全に人間界と同じ環境にすることができたそうだ。お陰で今私達は幸せに生きられているということ。やはり魔王は偉大だな、と改めて思う。


 そんなことを考えながら学校への道を歩いていると、何故だろう。いつもよりも景色が綺麗に見える。白種を食べて気分が良くなっているからだろうか。


「今日は何かいいことがありそうだなぁ。あー、楽しみだなぁ」


 最早朝起きた時に感じた憂鬱さは微塵もなく、軽い足取りで道を歩む。


「――――」


 不意に風が起こる。


 風に吹かれて草木が鳴いた。


 その風に何か異和を感じたウィディナは、髪を抑えて風の来た方を見る。


 ……今の風、夏の風じゃなかった気がするけど……気のせいかなぁ。


 少し変な風だったと思いながらも、再度歩き始める。


 もう少し歩くと、学校の門が見え始めた。

 私が通うのは『北クルメア魔法学園』という学校。魔法学園という名ではあるが、魔法は勿論、武術や体術、座学を学ぶことができる。クルメア地域ではトップレベルの学力を誇る学校だ。


 自分で言うのもなんだが、それなりに成績は良い方だ。学習面は勿論、魔法は上手く扱うことができ、剣術もできる。

 だが、やはり私よりも上の人はいる。いつか近いうちに追い越すことが今の目標だ。


 ささっと校門を抜け、自分の教室へと向かう。

 教室の扉をガラッと開き、


「おはよー皆ー!」


 そう言うと、皆おはようと返してくれた。挨拶を返してくれるのは、何かと嬉しいことだ。気持ちよく学校生活を迎えることができる。


「おはようウィディナ。……ん? 何かいいことでもあった?」


 席に着くと、そう話しかけてきたのは隣の席のカルラだ。

 特徴的な長く赤い灼髪は、燃えるように美しい。顔もすごく整っており、若干羨ましくある。

 彼女とは昔からの付き合いで、何かあればいつも一緒にいるような仲だ。


「ううん、なんでもなーい」


 笑いながらそう言うと、


「そう? ま、ウィディナのことならわかるんだけどね。

 あ、そうだ。ウィディナ聞いた? この前の侵攻で四天王の一人がやられちゃったんだって」


 とカルラは話を振ってきた。


「えっ、それほんと?」


「うん。まぁあくまでも噂話なんだけどね」


「今年は初代勇者が来てから丁度二千年なんだよねぇ。百年毎の節目の勇者は他の時期の勇者よりも全然強いって聞くけど、実際どうなんかなぁ」


「四天王がやられちゃうくらいだから、やっぱり強いんじゃないかな。ただ四天王の誰がやられたとか、正式な公表はまだないのよね」


 正式な公表はまだない。それはまあ、正しい判断なのだろう。

 魔王と四天王は、魔族にとっての憧れであり希望の対象だ。私たちを守ってくれる彼らが一人でも欠けたとなれば、魔族の不安を呼ぶ原因となる。

 だから来るべき時が来たら、恐らく魔王から直々に話があったりするのだろう。


 先程言った通り、今年は初代勇者が来てから二千年の節目となる年だ。

 何故だかはわからないが、百年毎の節目にやってくる勇者は、他の時期に比べ抜きん出て強い。

 二千年という大きな区切りとなる今年、魔境では勇者がどう出てくるのか、様々な噂がされている。


 人間界の大本命である勇者は、いつも冬に攻めてくることが多い。今はまだ夏だ。今の時期、勇者達は世界各地を回って修行をしているのだろうか。


 カルラとそんな話をしていたら、予鈴が鳴った。

 朝っぱらから何かとんでもない話をしていたが、知っておく必要はあるものの別に直接私たちに関わる話ではない。


 さて、今日も集中して、授業に取り組むこととしよう。



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