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魔族少女の人生譚  作者: 幻鏡月破
第一章 四天王となるまで
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第十二話 ウィディナ対リギト

 こんな感じの連続投稿は今日が終わりかもです。


 また不定期投稿に戻るかもしれませんが、よろしくお願いします。

 リギトは恐れていた。

 先程カルラに「勝ってくる」と強気に言って試合場に行ったものの、試合場へと近づくにつれウィディナの何かが感じられる。


 ……何を弱気になっているんだ。俺はアイツに勝たなければいけないんだ。


 心の中で自分に喝を入れて、ウィディナと同じ場に立った。


 この試合は模擬戦のため、真剣を用いるが殺し合いはしない。どうするのかというと、審判が模擬戦用演算術式結界を張るのだ。これは相手と自分の体力とダメージを数値化し、どちらかの体力が0になれば終了となるというものだ。この結界は非常に便利なもので、攻撃を受けても痛みは実際よりかは少なく、傷もつかない。


「――ウィディナ! 俺はお前に勝つ!」


 俺はそう叫んだ。

 周りからはおぉ、という声が聞こえる。

 するとウィディナはこちらを真っ直ぐに見て、フと笑った。


「勝てるといいねぇ」


 ゾワっときた。

 前に戦った時とまるで違う。今日の実技の時に見せたあの魔法といい、何段かレベルが上がっているようだ。

 だが負けてはいられない。自分だって鍛錬してきたのだ。


「ではこれより、序列第二位ウィディナ・フィー・ケルトクア対序列第三位リギト・オルフェヴルの試合を始める。互いに礼!」


「お願いします」


「お願いしまーす」


 集中だ、集中――。


「抜刀」


 腰の鞘から抜刀する。手に馴染んだ重さがずしりとくる。

 ウィディナを見ると、空の右手を前へ突き出していた。

 何をしているのかと思うと、ウィディナは言った。


「――来て、ウィンディア」


 すると彼女の右手に風が集まり、剣を形作っていく。そして実体化された剣となっていった。

 薄緑色の刀身を持つ片刃の剣。それは以前まで使っていたものとは違うものだ。


 ……剣を変えたか……!


 剣を変える。ただそれだけのことが意外にも勝敗を決する原因になったりするのだ。質が悪いものよりも良いものの方が耐えられる。刀身の長さが短いのと長いのでは、振りの速さやリーチが変わってくる。

 ウィディナは今まで同じものをずっと使ってきた。だから今回も同じものを使うものだとばかり思っていた。


「どお? この剣。かっこいいでしょ」


 そして2人とも構える。


「――始め!」


 いつもはここから試合が全てウィディナに支配されてしまう。

 初めの合図が出た後何秒か睨み合い、そこからウィディナが簡単な攻撃を放ってくる。それを避けるか防ぐかして攻撃すると、どんな攻撃でも全てカウンターで返してくる。いつも負ける理由はそのカウンターを繰り返されてやられるか、隙を見せた瞬間くる予測の難しい攻撃でやられるのどちらかだ。


 だから今回は速攻で俺が攻撃を――。


「――〈天への綟摺(スピランセス)〉!」


 ……っは?

 ウィディナが初めの合図が出てから間髪入れずに仕掛けてきた。

 〈天への綟摺〉は、ドリルのように螺旋を描きながら突進するウィディナのよく使う剣術だ。

 いつもなら対応できていたが、今回は咄嗟にきたため反応ができなかった。


「ぐっ……あっ!」


 思いっきり吹き飛ばされる。

 結界で緩和されているとはいえ、体中に走る痛みに顔をしかめる。


「今回は負けられないの。だから本気で行くよ」

 

 まぁ本気と言っても狙いじゃないから本気じゃないけどね、とウィディナは呟いた。

 それを聞き、


 ……本気じゃない……だと……!?


 だがウィディナがあの技を使った後はいつも硬直時間がある。その間に攻撃をすることができればダウンくらいは取れるだろう。


「くっ……そ……」


 剣を杖代わりにして立ち上がり、そして構える。


 ……カルラに勝ってくると言ったんだ。負けるわけにはいかない!


 反撃だ。


「シッ――!」


 ウィディナの左に跳ぶ。そして体を捻りながらの横薙ぎだ。


「――〈水平の閃(ホリゾンタル・フラ)


「本気じゃないけど手は抜かないわ」


と言いこちらを見て、


「〈露濡れの蕣(イポメア)〉!」


 ウィディナは剣先を素早く円を描くように回し、剣を受け流す。

 剣は当たらず空振りとなったため止まれず、ウィディナの反対側へと着地した。


「くそ……っ!」


 と思った時は遅かった。

 ウィディナがこちらに走って来ていたのだ。


「お終いだね」


 そして彼女は走ったまま剣を引き、


「――〈千本薔薇の棘時雨(ソーン・オブ・ローザ)〉!」


 目にも留まらぬ速さで剣を、まるで荊棘(いばら)の様に鋭く突き出すのだった。


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