プロローグ
リメイク済み
『魔王』とは、魔族を統べる王であり、敵を迎え撃つ力であり、魔境を護る守護者である。
(魔王書紀 一部抜粋)
“勇者”とは、神に選定されし勇敢たる者。魔王を討つ者であり、世界を救う者である。
(真跡書 人類史 一部抜粋)
◇
ウィディナ・フィー・ケルトクア。
彼女はごく普通の魔族の一人である。
否、ごく普通では無いだろう。
何故なら彼女は、歴史上類を見ない程の、波瀾万丈の人生を歩んだからだ。
彼女の人生の歯車は、どこで組み換えられたのだろうか。
――私達、ずーっと友達ね!
ただの少女が、
――私は四天王になりたいです!
――それがお前の選択か、ウィディナ。
――えぇ、彼女はそれを選びましたよ? 先生。
選ばれ、
――お前はもう、四天王だ。
四天王となる。
――貴様は一体……何者なのですか。
――嬢ちゃん、良くやってくれたぜェ!!
――私はまた……アナタと歩むわ。アナタの友人として、ね。
彼女は四天王として一生懸命にやった。
だが。
――うぁ、ぁ、いや、い、やぁ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁ――――!!!!!
――今はもう、貴女は用済みです。
彼女は傷んだ。
だけど。
――僕らには、君が必要なんです。
差し伸べてくれる手があった。
――本来ならば有り得ぬ状況だ。だがな娘よ、俺が共に向かってやろう。
そして頼れる人がいた。
進み行く人生には立ちはだかる壁がある。
古の力。
現世に降りる存在。
理解を超える秩序。
世界を破壊せんとする絶対。
過去という未来を奪うモノ。
幾度も。幾度も幾度も幾度も叩きのめされた。
だが彼女は、
「――私は何度だって立ち上がるわ。だって、奇跡は起こるもの」
伝説となった彼女の人生を、ここに遺す。