1997年5月
〝身体の調子どう?〟
ああ悪くないよ。お腹はまだときどき痛いけどな。
〝腸は慢性よ。食生活を改善しないと治らないわ。〟
医者じゃねえんだからよ。とにかくなんとかしてくれよ。それから、今度情報処理一種の試験を受けなきゃならんのだが、合格さしてくれ。
〝契約の範囲外ね。〟
いいじゃねえかよ。大学院だって合格さしてくれたじゃねえかよ。頭痛だって治してくれたじゃねえか? なあ、そんなこと言ってまた今度も助けてくれんだろ?
〝甘えないで。そういう男は、一番大っ嫌い。〟
だって、悪魔は現世利益実現のために呼ぶもんだろ?
〝ちょっとアンタどうしたの? まるで負け犬じゃないの?〟
ウツなんだ。つっても病気の域まではイってないぜ。ときどき来るんだ。
〝ちょっと、そういうとき呼び出さないでくれる? テンション低い人嫌いなの。〟
死のうかな。いやウソだけど。えーと、なんでもいいや。何かオレ何がしたいのかわかんなくなってきた。しかしエアロスミスがMTVのトップ1なんて最悪だな。90年代も終わろうってのによ。
〝アンタもう寝なさい。たぶん疲労が原因よ。〟
やだね。
〝なんで!?〟
わからん。これを続けたくもないが、やめたくもない。
〝ひどいわね。〟
俺は最悪だ。いや、そこまで言うと何か嘘っぽいな。なんだよ、誰でもあるだろー?こんな時。おい。おーい。おい!! ちくしょー帰りやがったぜ、あのスベタ。こういうとき役に立つのが悪魔ってもんだろが、このクソ野郎!! ケケ、なんか楽しいぜ。ああやっぱダメだ俺。