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悪魔ちゃん  作者: 神保 知己夫
本編
39/182

2001年7月(2)

 さっき外出た時にたまたま空を見上げたら流星がバババって降ってきた。1つ2つならこれまでも見たことあるけど、5~6個くらいが一気に、しかも放射状に降ってくるのは生まれてはじめて見た。なんか、レッドと初めて東京で会う前に新幹線の窓から見えた花火を思い出した。で、悪魔ちゃんが復活したら何か「しるし」を見せるってアスタルテが言ってたのを思い出した。それって……これじゃね?


 というわけで、呼び出してみる。おーい、悪魔ちゃん。


“…………。なに?”


 お前、前に、つーか2年くらい前に俺と話してた悪魔ちゃんか?


“違うけど。”


 え、ちがうの?


“その「2年くらい前」の、アンタと「悪魔ちゃん」が最後に交わした会話の文を読んでみたけど、私にその時の記憶はないわ。”


 じゃあ、お前誰?


“悪魔ちゃんよ。”


 ????


“その前の会話だったら記憶にあるわよ。その後アンタとアスタロトの接触回路を切断したでしょう? その時から記憶がだんだんおぼろげになってフェードアウトしてるから、「最後の会話」の私はそれ以降の私だと思う。”


 うーん。それって、回路を切った時に悪魔ちゃんが2つに分裂し始めて、1つは俺の中に、もう1つはアスタルテの中に残った。その後、俺の中に残った悪魔ちゃんは力を使い果たして消えて、お前はアスタルテの中に残った方の悪魔ちゃんってことでいい?


“「分裂」というのは何か違う気がずるけど、まあそんなところかしらね。”


 そっかー。じゃあ俺の中の悪魔ちゃんはやっぱ死んじゃったんだなあ。なんかしんみりしちゃうな。


“あのね、「分裂」とか「死ぬ」とか何か勘違いしてない? 私たちに繁殖や死の概念はないわよ。”


 そうなの? でもまあ、これまでの「女言葉の俺」みたいな「悪魔ちゃん」に比べたらよっぽど本物らしいぞ。いいぞいいぞ。


“キモい。それより何か用事があったから呼び出したんじゃないの?”


 あそうだ。聞きたいことが色々あるんだ。まずはレッドのことから聞きたい。レッド……っていうのはわかる?


“わかるわ。召喚された時点であなたと認識は共有されてるから。”


 単刀直入に聞くけど、レッドと俺が付き合うようになったのはお前がそう仕向けたからか?


“違う。でも、彼女とアンタが出会った時には二人が付き合うことになるのはわかってた。”


 なんでよ?


“理由なんかないわ。理屈とかそういうこと抜きに、そうなる(・・・・)ことが私たちにはわかるから。”


 「私たち」?


“悪魔や天使、精霊や霊魂のような超自然に属する存在のこと。”


 ふーん。じゃあ、その後のレッドとの経緯にお前は全く関与していないのか?


“関与はしている。いずれあなたと交際することを知っていたから、私にとって最も重要なモノを彼女に託し委ねた。”


 重要なモノって?


“あなたへの執着。”


 何かまたゾッとするようなこと言い出したな。そういや前にも俺のこと愛してるとか何とか言ってたが、アレが本気だったとでも?


“本気も何も、あなたへの執着は私を形作る中核の部分。それなしでは「悪魔ちゃん」ではいられない。”


 なんでだよ!? 俺に執着する理由って何!?


“理由などないわ。私がそう出来ている(・・・・・・・)というだけ。”


 聞き方が悪かったな。いつからだ? いつから執着している?


“あなたが「悪魔ちゃん」と私を名付けた時から。”


 あの時かああ!!! でも名付けたくらいで執着するとかおかしいよお前。


“何もおかしくはないわ。私達の名前は個体に貼られたラベルのようなものじゃない。実体がないからね。だから私達は、その意味するところ自体があたし達自身なの。そして、意味することは私達の名前によって具現化されている。これ、最初に召喚された時に言ったよね?”


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