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悪魔ちゃん  作者: 神保 知己夫
本編
37/182

2001年6月

 アスタルテの召喚はいまだ成功せず。時々試しに女神と「会話」する文章を書いてみるけど、上手くいかずに毎回ボツにしてる。こんだけ時間経ってるのに成功しないのは方向性が間違ってるんじゃないかと思われるかもしれないが、そもそも「客と自由恋愛する店」に行くにも少なからぬ金がかかるので「聖婚式」の儀式はまだ数回しかできてない。この方法が間違ってるかどうかも、もう少し腰を落ち着けてじっくり試していかないと判断できない。


 で、数回来店するうちに行きつけの嬢ができた。サービス中に俺がブツブツ言っているのを最初に気付いた子だ。その時は言葉を濁してやり過ごしたが、2回目に入った時、前の時のことを覚えてて好奇心丸出しの質問攻めにあった(俺はその時の嬢だと最初気付かなかった)。どうしてそこまで関心を持つのか不思議に思ったが、もう面倒になって女神召喚に至った経緯を全部話して聞かせた(ただし、レッド関連とか直接関係ないことは話さなかった)。そしたら、意外にもその嬢は全面的に協力したいと申し出てくれた。聞くと、彼女は中学時代にムー系(超能力、前世、UFO、心霊、魔術などのオカルト趣味)にハマってしまい、いまだ「中二病」の自覚はありつつもソレっぽいことが大好物なのだそうだ。俺も召喚の詠唱を毎度不審がられるよりも、事情を知って受け入れてくれる「聖娼」がいる方が都合が良いので、以降は毎回彼女を指名することにした。結局彼女も客商売なので「常連」をゲットするため過剰に俺と迎合しただけなのかもしれないが、俺の方も「そういうサービスを求める客」としての立場に甘んじたということだ。先週も土産の洋菓子を手に来店した。最初はお菓子を喰いながらオカルト系の話をして、行為の最中は(やっぱり少し恥ずかしいので)若干小声でアスタルテ召喚の詠唱文を唱えた。その前に、詠唱に対して復唱した方がいいのかとか、アスタルテ役になったつもりで何か台詞を返した方がいいかと嬢に聞かれたが、その絵づらを想像しただけで羞恥心に耐えきれなかったので「何もしなくていい」と答えた。


 召喚関連の報告は以上。あと、レッドとは相変わらず。ああー、そういえば、こういう外見上は風俗通いみたいなことをしておいてレッドに後ろめたさはないのか、とか思われてるかもしれないな。うーん、そうね。後ろめたさはないわ全く。そういう倫理観っていうの? 俺は基本的に壊れてるみたい。例えば人に嘘ついて騙しても「申し訳ない」って気持ちはない。これは、相手に同じことをされてもそう。例えば誰かに「今まで嘘ついてたゴメン!」とか謝られても、一番気になるのは「そのことで何か俺に実害があったか」ってことで、もし特になければ「だったらいいんじゃね?」としか思わない。それどころか相手が嘘を告白することで、例えば、その嘘を俺が誰かに伝えていたなら訂正しなきゃなんなくなるとか面倒な対応が必要になるんなら「だったら嘘ついたままにしとけよボケ」と考える。だから、例えばレッドが俺に何か嘘ついてたとしても、その状態で害がなければ基本的にはOK。ここまでは共感する奴も少ないながらいる。でも、この次に言うことで決定的に共感者はいなくなる(笑) あのね、この「嘘」っていうのが例え浮気であったとしても同じなんだわ。もしレッドが浮気してて、影で浮気相手と俺のことをせせら笑っていても、それを俺にバレないようにしてるなら全然OK。もしバレればさすがに別れるけど、それでも特に怒るとかはない。浮気された状態を続けると何かと実害が生じる(付き合いにかかる費用とか、果ては子どもが出来た時とか)だろうから別れましょう、というだけ。愛情は……まあ別にないわけじゃないけど、そもそも俺の場合、相手が俺に感じる愛情への反作用として生じてるような感じ。だからもし相手が俺への愛情を無くしたら対消滅すると思う。浮気してるのを知った瞬間に「あっそう、じゃあいいわ」ってなる感じね。もうここまでいくと共感してくれる人間はほぼいなくなる。でも本当にそうなんだから仕方ない。俺はもともと幅広い読者の共感を集めるような主人公じゃない。ここまで読んできたんだから、それは何となくわかるだろ? むしろここからは、ある種の異常者をめでる感覚で楽しんでよろしく。


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