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悪魔ちゃん  作者: 神保 知己夫
本編
30/182

2000年11月(1)

 その後何も進展していない。長尾に浮気相手のフリさせるのも、さすがに3回連続失敗した後では頼みにくくなった。レッドとの関係はいまだに続いている。


 前にレッドのことを「男に都合の良い性格すぎる」と言ったが、最近は徐々にそうでない部分も見えてきた。まず感情面で意外に地雷持ちだった。レッドとは何も用事がなければほぼ毎晩電話しているが、こないだは翌日にゼミの報告を控えていたので準備のため電話をいつもより早く引き上げようとした。すると『もう少しだけいいじゃん。きっと大丈夫だって』って食い下がるから、思わず「わ~悪魔のささやきだー」って言ったら、

『は?? 悪魔ってどういうこと?』

「いや冗談だよ。」

『彼女を悪魔呼ばわりするとか、冗談でもありえない。』

「ごめ冗談、嘘だって。」

『本当に悪魔だと思ってるから言ったんでしょ。……私、悪魔じゃないから!!』

っていきなり電話をブチ切った。メールで謝ったのと、翌日電話で謝ったので何とか機嫌はなおったが、この件はその後も何か気に入らないことがある度に持ち出してくるようになった。本人は自分を「サバサバ系女子」だと思ってるようだが、そういう執念深さは全っ然サバサバじゃない。ていうか、いつか「悪魔ちゃん」関連についてそれとなく探りを入れようと思っていたのに(悪魔についてどの程度の知識があるかとか、それ関係に興味はあるかとか、悪魔祓いとか除霊がらみに関わった経験があるか等々)それを先んじて封じられた形だ。でもまあオカルト一般ていうことでいうと、それ系の話題にはほぼ興味を示さないので、実際にこの小説のこれまでの経緯を聞かせてみても鼻で笑われるだけかもしれない。んー、世間一般の常識人だったらそのぐらいの反応で終わる話なんだろう。でも「悪魔」って言っただけで引くぐらいキレる女だから怖くてそれを確かめる気にならない。


 その他でも何度かキレられてるけど、俺としてはどこに地雷が埋まってるのかわかんないんだよマジで。どー考えてもギャグや冗談の文脈で言ったことのごく一部に対して尋常じゃないキレ方するからさ。いや普段はね、外見が男っぽいとか若干貧乳だとか、育ちが貧乏だったり(俺もだけど)みたいなコトをイジってもガハハって笑ってるんだよ。そういや前に妖怪に例えたこともあったね。具体的に何の妖怪かは忘れたけど鬼太郎のアニメか何かテレビでやってた時に「似てね?」って。そん時は「ふざけんなよ」って言いつつも、でも上機嫌で笑ってたんだよ。なのに悪魔だと本気ギレするってその境界線がわからないよ。マジな話してる時に地雷を踏むことはほとんどないから、基本的に冗談話の時だけなんだよなー。一番最初にキレられたのもちょっとした冗談だった。電話で話してる時、何かのきっかけでレッドが『きっともうすぐ捨てられちゃうんだ。バイバイだね』とか急にスネだしたんで、ほんの軽口で「いやそんなすぐ捨てないよ。ゴミの回収日は金曜だからそれまでにちゃんと分別しないと……」って笑いながら言ったら、『生ゴミ扱いされた!!』って怒りだして、この日は電話を切るんじゃなくて「ゴミ回収日は金曜」って言ったことの真意を何度も何度も問いただされた。「いや冗談だよ」→『どういう意味の冗談?意味がわからないんだけど』→「意味なんかないよ」→『意味がないならなぜ言った?』の無限ループでプチトラウマになったわ。長尾に言ったら「生ゴミ」→「悪魔」の順番だからキレたんだろうって言うの。じゃあ言ったのが「悪魔」→「生ゴミ」だったらキレなかったのか?って聞くと「たぶんそう」って。頭ん中?だらけになって「お前ら女の言ってること本っ当にワケがわからん!」って長尾にキレ散らかした。


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