表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔ちゃん  作者: 神保 知己夫
本編
15/182

1999年10月(1)

 悪魔ちゃん。


“ん?”


 俺今どうゆう状況?


“何が?”


 えーっと、結局「文○賞」は取れなかったよな? 修論も書けなくて留年したよな? でも奨学金と授業料免除は取れたから、休学とか退学はしなくて済んだ。で、修論は今年は書けそう。でも、英語の試験をパスしないと博士課程に進学はできないけど今の実力じゃほぼ落ちそう。なにこれ?


“そのまんまじゃないの?”


 じゃなくて、なんでこんな中途半端なの? アスタロトと契約したことが一部だけ履行されてる感じなんだが……


“そりゃあ、私が全力で阻止してやったからな。一部履行されてしまったのは私の力不足で本当腹立たしいわ”


 やっぱお前かよ。まあ、今さらどうにもならないから別にいいけど、でもそんなことして大丈夫なの? お前とアスタロトの関係的に。


“よくねーわ。アンタとアスタロトが接触するための回路を遮断するのに力使い果たして私もうすぐ消えるわ。”


 ていうか、口調前と違くない? キャラ変えた?


“ああ、これは次のための「仕込み」だから気にすんな。”


 えっ、消えんの!?お前!


“何かうれしそうだな。”


 いやー、そんなこともないけど……じゃあ、アスタロトと俺の契約は反故になったってことかな? 魂やるとか俺の子どもを生け贄にとかの話は。


“そんなわけないだろ。アスタロトはもうお前に接触できないから奴のものにはならないが、その代わり私のものになるんだよ。お前の魂は。”


 もうすぐ消えちゃうのに?


“消えるのはお前の中からだ。外部には私の本体であるアスタルテが残ってる。回路を切ったので存命中はお前に接触できないが、死後の魂は現状アスタルテに第一所有権がある。”


 いやおかしいだろ。全部願いをかなえてもらってないのに何で魂取られるんだよ? 1つでも願いがかなわなきゃ契約不履行だって言っただろ。


“それはお前が勝手に言ったことで、こちらは別に承諾していない。一部でも履行すればその分の対価をもらうのは当然。それに、全ての願い云々はお前とアスタロトとの契約の話で私には関係ない。”


 そんなの詐欺じゃねえか。汚えぞ!!


“そりゃ悪魔だからな、汚いこともするさ。”


 くそが……あ、いやいや。そもそも奨学金やら修論書けそうなのは俺の実力なんじゃ? お前の力借りたって証拠はないよな?


“……アンタが今書いてるのは、連立常微分方程式の経済成長モデルを、統計データとコンピュータシミュレーションで実証する論文よね?”


 どうだすげえだろ?


“常識で考えろよ。大学のコンピュータ室にこもってエロチャットばっかやってる奴にそんなもん書けるわけねえだろ。私がガッツリ助力しとるわ!”


 ちょ、おま! そればっかやってるわけじゃないし! 夜中1人になった時だけだし!


“それは昼間だと他の学生がいるから出来ないだけだろ。他の奴がいるのにエロチャットやってたら退学になっとるわ。そのくせチャットだけじゃあきたらず、電話番号聞き出してテレホンセックスするし。相手にリアルで会おうとして、待ち合わせ場所でほぼすっぽかされてるし。見てて本当情けないわ。アンタ、そもそもそんなエロザルだったっけ?”


 わー!わー!!!!何で言うのお前マジで信じられない。バカかバカ。バカかよ!死ねよ!  死ねよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ