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悪魔ちゃん  作者: 神保 知己夫
理論編
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幽霊の存在可能性の証明(1)

 西洋でも東洋でも共通した「霊魂」に対する考え方ってだいたいこんな感じだと思う。人間というのは精神と肉体で出来ていて、精神は肉体が滅んだ(死んだ)後も存在し続ける。その精神だけになった状態が霊魂。そんで、霊魂が生きてる人間に目撃されたとき、しかも人間に近い形で目撃されたときに「幽霊」って呼ばれることになる。だってホラ、人間に近い形じゃない場合は、例えば光るボール状のアレとかも霊魂だと考えられてるけど、ボール状のアレの呼び名は「人魂(ひとだま)」だもんね。とりあえず共通認識としてソコから始めよっか。すなわち、幽霊とは人型に可視化された霊魂である。


 たぶん実在性の問題で考えた時、「人型に可視化された」って部分はそこまで重要じゃないと思うんだよ。世の中には「人間じゃない人型のもの」って結構あるからね、人形(にんぎょう)とか初音ミクとか。どー考えてもヤバ目なのは「精神は肉体が滅んだ後も存在し続ける」って部分だろうね。幽霊の存在を否定する大部分の人たちも、人間が精神と肉体で出来ている事自体は必ずしも否定していない。でも「肉体から独立した精神など存在しない」って考えてるんだと思う。つまり、肉体と精神は切りはなす事ができないので、肉体が滅べば精神も滅ぶと。まあ、肉体が滅んでも滅ばない精神ってさ、肉体をコンピュータに、魂をソフトウェアに例えれば、スマホが壊れたのにアプリだけが動き続けてるようなモンだから端的に科学的な常識に反するでしょ、ってこと。


 これに対する反論として「霊魂は科学では解明できないものなのだから、科学的常識を持ち出しても無意味だ」ってのがある。つまり、霊魂とか幽霊とかを一方的に「科学の適用範囲外」だと主張してるんだな。この立場の人たちはさ、例えば前にデレビで大槻教授が「エネルギー保存の法則」って物理法則で霊を否定してたけど、それに対しても「もしエネルギー保存の法則が正しければ霊魂は存在しえないというのなら、エネルギー保存の法則には例外があるのだ」って堂々と宣言しちゃうんだ。


 この立場は最強だね。はっきり言って「無敗の人々」だ。だってどの科学法則でも、例外が存在しない事を証明しろってのは現実的に不可能だから。「存在しないこと」の証明は俗に「悪魔の証明」って言われてるよね。例えば、「白いカラスが存在しない」コトを証明したいなら世の中全部のカラスの色を調べなきゃならない。だって1羽でも調査から漏れたら、その最後の1羽が白い可能性が残るから。でも、世の中全部のカラスを調べるなんて現実にはとても不可能。よって「白いカラスが存在しない」ことの証明も不可能。


 ましてや「エネルギー保存の法則には例外があるんだ」なんて言い張られちゃったら、「白いカラス」よりも絶対的に不可能。だってエネルギー保存則の適用範囲は宇宙全体だからね。宇宙全体を調べなきゃいけない。


 でもそう言われるとさー、「ではエネルギー保存の法則には例外があるコトをあなた方はどうやって知りえたのか?」って聞きたくなるよねえ。でも彼らは言うのです。「それは霊感を持つ人が、その霊感によって直接知りえのだ」って。……「いや霊感って何やねん、ウキー!!」ってなるわな。


 ここで今さらな告白なんだけど、オレは幽霊を見たことある。アレを見た時の感覚が「霊感」なんだとしたら(知らんけど)直感の延長線上の感覚だと思う。「理屈なんか全く必要なくわかってしまう」っていうのが直感だとして、直感が超ヤベーくらいにスルドクなったのが霊感ってカンジ。


 「理屈不要のわかりみ」って意味での直感は、誰でも日常的に経験してる。いやマジで。例えば、いろんな形の積み木の山から三角のモノだけを選び出せって言われたら誰でもできるよね? でもさ、直角三角形と正三角形の積み木があった時に、どうしてその両方ともが「三角」だってわかるの? なに?見ればわかる? そう、それが直感。もし直感に頼らずに判断しようとするなら、数学でいう三角形の条件(3つの内角の和が180度、2つの辺の和が残りの1辺より長い、などなど)を使うことになる。でも積み木が三角かどうかを調べる時にそんな条件思い浮かべた? 思い浮かべてないよね。なら直感でわかったってことなのよ。


 エネルギー保存の法則とかの物理法則ってほとんどが数学的な解法で導き出されたものなわけだけど、そもそも数学で「直感的解法」をよく使うもんな。幽霊否定派ってだいたい科学信奉者だけど、科学の普遍的ツールである数学でも多用してる直感を否定することはできないわな。


 ま、なんにせよ理屈抜きでわかるものは世の中に存在するし、それによって「エネルギー保存則の例外を知った」って言われちゃあ、もう否定のしようがない。だって物事を否定するってコトは論理的矛盾を突くってコトだけど、理屈抜きでわかったものは論理(理屈)自体が無いんだもん。無いモノの矛盾は突けんわな。


 ところが一方で、理屈抜きでわかったものは、それを他人にわからせるコトも不可能。だって他人にわからせるためには言葉で説明しなきゃなんないけど、説明するっていうのは理屈を相手に話して聞かせるって意味だからね。だから否定することもないけど、霊感でわかった彼らの「真実」を証明することも不可能なの。負けはしないけど、決して勝つこともない。だから「無敗の人々」。


 でもそれじゃーつまらんし、それ以前に、ここのサブタイは「幽霊の存在可能性の証明(・・)」なんだから証明が不可能になるような立場をオレは取らない。あくまで科学的な立場から、幽霊の存在可能性の証明を試みる。


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