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ほぼ26話 海音さんは釣りがしたい!

お久しぶりです

「──よし、まずは竿となる棒を探そう。」


 俺はその場で屈み、足元に落ちていた棒を拾い上げる。


「これでよし。」


【ちょっと適当すぎません?】


 やれやれ、これだから素人は……。


「竿なんて固めの棒なら何でも良い。こーゆーのは深く考えなくていいんだよ。……でもまあ、もし折れたときのために何本か拾っとくけど。」


【そんなもんですか。】


 俺は少し離れたところにあった、長くて太くて固い棒を拾い上げた。

 そして、


「……これはダメだな。」


 そのまま投げ捨てた。


【あっれぇ? 何でもいいんじゃありませんでしたっけ?】


 俺は肩を竦めながらため息混じりに返答する。


「やれやれ、これだから素人は。やれやれ。さっきのは虫に喰われてて中身がスカスカだったんだよ。ふー、やれやれ。本当にやれやれだなまったく。」


【……なんだかバカにされてる気がしますが、言わんとすることは分かりました。】


 親切に教えてやったというのに、何故か少し不機嫌そうだ。何でだろう? やれやれ。これだから人工知能は。思考回路が分からんな。


 俺はその辺の木の棒を適当に二本程拾ってから、次に糸の代わりになる物を探しにかかる。


【……と言っても、糸の代わりなんてあるんですか? 人が居ないんですから、人工物が落ちてることもないですし……。】


 何言ってんだコイツ。人工物が無いなら釣りが出来ないとでも思ってるんですかねぇ?


「はーーやれやれ……。やれやれやれやれ。こぉんれだから山初心者は。糸が無ければ細いツタと草を使う。一般教養だろ?」


【少なくともこの世界の一般教養にそんなものは含まれて無いです! あと、やれやれ言いすぎです。そろそろ文法的にも不味いことになってきてますよ?】


「やれやれ、気のせいだろ。そんなにやれやれ言ってないって。ふー、やれやr」


【そろそろ止めないと夜通し怪談話喋り続けますよ。】


「すいませんでした、ララさん。途中から気づいてたんですが楽しくなっちゃいました申し訳ございません。」


 ララの怪談話は洒落にならないほど怖いのだ。

どれくらい怖いのかと言うと、あのタマが嫌がって逃げだす──くらいに俺がタマに抱きついたまま離れられなくなるくらい。


「っていうか、冗談で言ってたのにそんなにカッカすんなよ! やれやれだなまったく──ぁぁあああ! 今のは!今のはわざとじゃないから! 本当に反省してますから!」


 何も言われてないのに必死に弁解していると、ため息と共にララが答える。


【別に怒ってないですよ。ちょっと鬱陶しかっただけで。それで、ツタを使うんでしたっけ? さっさと採取して手早く魚釣り上げて、先を急ぎましょう。】


「は~い……」


 俺は渋々返事をし、良い感じの細さと堅さのツタ(ツタを細く裂いた物)を集め、軽石を削って針を作った。針と言ってもU字形の物じゃなく、一直線で両端を鋭くした物だ。これに魚が食いつけば、いわゆる『口に棒がつっかえる』のを通り越して『貫通』するので、単純でも外れにくくなっている。因みに尖った木の棒でも代用できる。

そして棒とツタと針を、その辺で引っこ抜いてきた頑丈そうな草で何重にも結ぶ。

最終的に竿の長さ一メートル程、ツタ&草の長さ三メートル程の立派な釣竿が出来た。

 途中で、ツタに草を巻き付けるだとか、石の効率的な削り方の説明とかをしたかったが、ララが聞く耳を持ってくれなかった。

 くそっ! 俺の唯一の特技がなんて扱いだ!

 餌は川にいる虫とかを使うことにして、俺はとりあえず川辺に戻った。






 川に戻ると、さっそく俺は浅瀬に入っていく。エサとなる水虫を確保する為だ。ウサギモドキに靴を取られたせいで未だ裸足だが(もう片方はとっくに脱いだ)、人が近くに居ないのだからガラスの破片が足の裏に刺さる、なんてことは無いので安心だ。川で危険な物は他にも色々あるのだが……まあ最悪、リジェネで勝手に治るので問題無い。

 俺は川底に手を突っ込むと、適当な石をひとつ拾い上げた。

 裏返し、石の底面を確認する。

 すると半透明の虫が数匹おり、いきなり日光に晒されて驚いたのか、石の裏に回り込んでいく。大きさは一センチにも満たない。


【なんか気持ち悪いですね。半透明なせいで石の一部が動いてるみたいで。】


「確かに否定はできないな……。でもまあ、こいつはエサにならないから川に戻すんだけどね。」


 俺は石を川に放り、次の石を拾い上げる。この作業を何回か繰り返していると、ようやく目当ての虫を見つけた。小さい芋虫に羽が生えたような、なかなか気持ち悪い見た目の虫だ。名前は知らないが、子供の頃にセミワームと名付けた虫だ。大きさは数センチ程で、色は黄緑がかった白色。無色透明の羽はずぶ濡れで、体にへばりついている。


 俺はアイテムボックスの中から、ドルクの私物の一つである試験管を取り出した。半分くらい水を入れて、石からつまみ上げた虫を放り込む。


「よし、これでオーケー。あと何匹か捕まえよう。」


 俺が次々と石をめくっていると、ララが質問してきた。


【マスター。この虫、なんで羽が生えてるんです? 水の中にいるなら使い道無いんじゃ……。今もびっしょびしょですし。】


 俺は試験管にいる虫に見向きもせず、自分が答えられる範囲の情報で返す。


「俺も知らん。第一この虫の名前も知らないんだし、コイツの生態なんて心底分からん。ただ、エサにはなるよ。小ぶりの魚が食いつくはず。」


 この後追加で10匹程捕まえた後、浅瀬では釣れないので深いところを探した。

 結果、深くて流れも殆んど無い場所を見つけたので、俺はさっそく針に水虫をぶち刺す。特に血が出るわけでも変な汁が出てくるわけでもないので、嫌悪感はあまり沸かない。


「よっしゃ! んじゃ、さっそくフィッシングといきますか。」


 俺は砂利……と呼ぶには少し大きすぎる石群の上に立ち上がる。踏みしめる度に足元から石の擦れ合う音が響き、古典的な釣竿を持って佇む様(たたずむさま)は、まるで歴戦の釣り師のよう。快晴の空を見上げればサングラスが幻視できるくらいに決まっている。


(今ならクロマグロでも吊り上げられる気がするぜ!)


 俺は竿を目の前にかまえ、滑らかなモーションで振りかぶる。一糸乱れぬその動きは、誰かが見ていたのなら目の焦点が定まらず、如来の如く腕が分身して見えただろう。それほどに動きに無駄が無いのだ。次に体に反動をつけながら腕をうねらせ、一気に降り下ろす。


「魚っ! 頼むぞぉーっ!」


 その衝撃はしなやかにツタへ伝わり、勢い良く前方に飛んでいく! そして、着水した。……三メートル先に。

ショボいなんて思ってはイケナイ。ツタの長さがそれだけしか無いのだから、仕方のないことだ。どれだけそれっぽく動いても、所詮は手作りかつ即席の釣竿なのだから。

 もっとも、そんなことは作った本人である俺が一番よく分かっている。──つもりだったんだけど。


「あっ……」


 俺はツタ……もとい釣糸を投げ込んだ場所の水面を見て、思わず目を反らした。


【マスター……これで魚を釣るのは流石に無理なのでは……? ツタが……】


 ララが、『それくらい自分でも分かる』とでも言う風に問いかけてくる。


「……あぁ、こりゃいかんわ。──あと、ツタじゃなくて釣糸と言ってくれ……。」


 俺の視線の先には、水面をプカプカと漂う釣り糸があった。針は沈もうとしているのだが、ツタと草が軽さ故に浮いてしまっている。


 そんなバカな魚でも釣れそうにない道具を見て、俺はポツリと呟いた。




「重りつけ忘れた……」



 俺はこっ恥ずかしい気持ちを押さえつけて、ツタ……じゃなくて釣糸を引き上る。そして今度はしっかり重りを取り付けてから、再び竿を振るった。

全然話が進まなかったですね。

あれです。ワタクシ学生なんで、テストと言うものがありましてですね……。気分直しに釣りでもしたいな~とか思いながら書きました正直申し訳ないと思っています申し訳ございませんでした。


続きます!

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