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わりと14話 説明書AIララ

「取り敢えず落ち着け、俺……。」


 俺は今起こったことを整理するべく、さっきあったことを回想する。


 えーっと、ドルクの話を聞いて➡兵器のことを知って絶対に飲まないと宣言したものの➡勢いで飲んじゃった胃薬がドルクの作った兵器だった。


 いやいやいやいや。あり得ないだろそんなこと。

 だってほら! 俺の体、どっからどう見ても俺の体のまんまだし?……だーっ! 確か見た目は変わらないんだったか!?


「ってことは俺マジで兵器に………いや、まてよ」


 ここで俺はあることに気がついた。兵器化したのなら何らかの力が手に入るはずなのだが、今のところ何も起こっていないのだ。腹痛は治ったけど。

 腕から重火器が飛び出たり、目を凝らしてもビームが出たりすることはない。お腹の調子はすこぶる良いけど。


 あ、そういえば、体内に兵器が流れてるんだっけか。ならもしかして、身体強化的な物なのかな?


 そう思い、力いっぱいジャンプするも

「……違うか。」

 30センチくらいしか跳べなかった。


 意識してもなにかギミックが発動するでもなく、身体能力も特に上がっていない……。これはまさか……


「やっぱり俺、兵器になんてなってないんじゃないのか?」


 呟いて、同時に嬉しさが込み上げる。


(そうだよ! 胃薬のビンにバイオウェポンが入ってたなんて嘘だったんだ!……嘘付いてる感じはしなかったけど、きっとドルクも勘違いしてたんだ! あいつ、自分で自分のこと忘れっぽいって言ってたしな!)


 うん、きっとそうだ。全てはドルクの勘違い。……か、趣味の悪い冗談だったんだ。

 自分に言い聞かせていると、ふとドルクが言っていた兵器の機能を思い出した。

 そういえば……

「最初は硬質化がどうとか言ってたな……」

 呟くと、体から妙な音が聞こえてきた。


『ピキピキピキピキピキ……』


 え? え!? 何ナニなに? 怖い怖い怖い! 体から鳴るはずない硬質な音が! 体から鳴っちゃいけないタイプの音がするんですけど!


 音が鳴り止むと、恐る恐る自分の体を確かめる。


「見た目は……何も変わってないな。」


 次に、体に触ってみた。


『コンッ』


「……」


 俺は静かに自分の腕を何度も指で弾く。


『コンッ、カンッキンッ、カンッ、カカカカカッ、カキイィーン……!』


 弾き方を変えても、連打してみても、少し強めに叩いても、帰ってくるのは硬質な音だけ。腕は弾かれた感触はあるものの、痛みとかは一切ない。


「…………」


 ……わかったよ、認めますよ認めればいいんでしょ! 俺、ちゃ~んと兵器になってました! そりゃもうガッツリ兵器になってますわ! 否定のしようもありません! だって見てください、これ。俺の腕もはや金属バットじゃん!……よく確認してみたら腕だけじゃなくて体中硬くなってるし。

 これで晴れて兵器化ってか? やかましいわ!……いや、誰にも何も言われてないんだけど……言われてないんだけどっ! ドルクが爆笑しながら喜んでる姿が目に浮かぶようだぜ……。


 しかし……

「すげえな、これ……マジで硬くなってるし見た目大丈夫だし変な副作用とかも今んとこ無いし。やっぱなんだかんだ言って凄いやつだったんだな、ドルク。」


 ただのバカ野郎狂科学者だと思っていたことを心の中で謝罪する。……いや、まあバカ野郎狂科学者の実力が凄かったってだけで、バカ野郎狂科学者なのは変わりないんだけどね。


「それにしても、どーやったら戻るんだ? これ。自分の全身が金属とか一刻も早く元に戻したいんだけど……。戻れ! とか?」


 言うと、体が元に戻った。どうやら正解だったみたいだ。


「おぉ、戻った……他にも何かできんのかな?」


 俺はハーレムの希望が消えていないことに歓喜した。兵器化のON,OFを自由に切り替えられるなら、実質俺は力を得ただけ。メリットしかない。このまま副作用が無ければの話だが。

 ……元々何の確認もせずに研究所にある薬を飲んだのがいけなかったのだ。俺が兵器化したのもドルクは何も悪くない。そして偶然とはいえ一か八かの兵器化に成功したのなら、この力をありがたく使わせてもらうべきだろう。ドルクも本望だろうし、俺は自業自得で力を得た。WinWinってやつだ。

 ……そう思って色々試しても、やっぱり目からビームは出ないし、硬くなるだけで跳躍力が上がるわけでもない。


「兵器の話、聞き流さずにちゃんと聞いときゃよかったなあ……」


 呟いて、俺はドルクが言っていたことを思い出す。


「確か人工知能付き解説AI(取り扱い説明書)ってのが搭載された……指輪だったか? そんなもんがあるって言ってたな。」


 俺は机の上や引き出しを漁り始めた。

 まったく、兵器の時もそうだったが、なんでアイツは説明だけして場所を教えてくれないんだ? どこにあるか分からなかったらどうしようも無いだろ。

 でも探すところも少なかったので、わりとすぐに見つかった。


「これか?」


 透明のケースの中に、複数の骸骨(ドクロ)が連なって出来たようなデザインの指輪が入っていた。色はメタリックだ。

 なるほど。他人に譲る物としてはどうかと思うがだが、確かにちょっと格好いい。なんというかこう……厨二心を(くすぶ)られるな。……ちょっと待てよ、つまりこれを格好いいって思うって事は、自分が厨二だと認めることになるのか……?

 ……これ以上は止めておこう。悲しくなるだけで誰も得しない。


 俺はさっそく指輪をはめる。すると、機械的な声でアナウンスのようなものが頭に響いてきた。感覚的には、すわっ! 頭の中に直接!? みたいな感じだ。


【ピコーン。システムの起動に成功。次いで端末情報のインストール及び兵器への適合を行います。端末と兵器の接続を……】


「おお?」


 うわっ、なんか始まった!……でもまあ今回は心の準備も出来てたし、あんまり驚いて無い。起動音の『ピコーン』に若干ツボるくらいには余裕がある。

 しばらく脳内アナウンスが鳴り続けていたので、暇潰しに独りじゃんけんをしていると、ふいに音が止んだ。


「おっ、終わったのか?」


 脳内アナウンスが止んだので、パソコンでいう読み込みみたいな作業が終わったんだろう。

 それはいいのだが……

「……俺は何をすれば?」


 そうなのだ。読み込み(?)が終わったのは分かった。んで、多分この指輪が説明書で間違いないことも分かった。 でも……操作の仕方が分からない。


【始めまして、マスター。私は解説AIの『ララ』と言います。以後お見知りおきを。

 私の使用方法は、マスターが私に質問すれば私がそれに答えさせていただく形になっています。】


 うっわ! 急に話し始めたぞ……。いや、相変わらず脳の中に直接聞こえてくるから何か変な感じだけど。

 声色はちょっとお姉さんっぽい感じで、キリッとした声だ。

 ……んで、これは多分あれだな。音声入力だな。今俺が、何をすれば? って聞いたから答えてくれたんだな!


「あ、わざわざありがとうございます、ララさん。俺の名前は海音です……よろしくお願いします。」


【いえ、こちらこそよろしくお願いします、マスター。あと、敬語は使わなくて大丈夫ですよ。私はただの取り扱い説明書。マスターに使用される立場ですので。】


「あ、ああ。そうか……。なら、よろしくお願……よろしくな、ララさん……じゃなくて、ララ。」


【はい、よろしくお願いします。マスター】


 なるほど、聞いたこと以外も少し織り混ぜて話してくれる辺り、さすがドルクさん作と言ったところか。

 それにしても、説明書を最初から最後まで全文読むとか正直めんどくさいって思ってたからありがたいな。このシステムなら、知りたい時に知りたい情報だけ手に入れられる。わりと先を急いでる俺からすると、本当にありがたい。

 ……それに、この世界に来てからずっと独りだったから話し相手も欲しかった所だしね。AIと会話できるのが嬉しいってのは何か問題がある気がするが、転生前は会話も出来ないフィギュアに一方的に話しかけていたのだ。それに比べれば俺の精神的ダメージも少ないってもんだ。


「さて……」


 俺は少し気持ちを引き締めながら


「俺が兵器化して出来るようになったことは何です……何だ? あと、兵器の機能とかも教えて下さい……やがれ。 できるだけ簡単にお願いします……ぜ。」


 敬語って意外と抜けないもんだな……。

 妙な日本語なのを自覚しながらも、俺はさっそく質問を始めた。

続きます!

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