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新たなスタート

 暦の上での秋の訪れにより、学園都市はいつもの賑わいを取り戻した。

 夏の休暇を、故郷などで過ごした生徒たちが一斉に戻って、通常の毎日が始まったのだ。

 新学期が始まると、エドガーやアリスたちはそれぞれ基本のカリキュラムに則って、決められた授業に取り組むことになる。教養科の生徒は、休養日以外はほぼ毎日三学科以上は授業を入れなければならず、よほどのことがない限り抜けることはできない。

 それプラス、週に七~八時間ほどは教養科関係の授業が組み込まれることになる。礼儀作法や、歴史、世界情勢などの一般教養、下級生指導などの育成補助、あと武術学科を取っている者は免除されるが、いわゆる体育などである。

 教養科を修了すると、教養科の授業が無くなるばかりか、下級生への指導である合同授業なども義務ではなくなるため、時間を自分の良いように都合することができるし、また余裕も生まれる。

 それぞれ自分の興味のある勉強や研究を目いっぱい詰め込むことが出来るのだ。もちろん、それに関係する冒険者としてのクエストを熟すことも。

 薬草学科の生徒は、冒険者を雇って自らもダンジョンに潜ったり、フィールドへ出て薬草や毒草、珍しい野草などを手に入れたりもしているし、錬金学科も同様だ。そして、その時雇われるのは、武術系、魔法系学科に所属する腕に覚えのある生徒である。どちらも自ら伸ばしたいものを伸ばし、研鑽を積むために、冒険者というツールをうまく使っている。同時に学費や研究費も稼げるので一石二鳥である。

 学園都市に於いて、生徒たちによる冒険者活動は経済を回すうえで重要な役割を担っている。薬剤やダンジョン産の鉱石などの流通に、彼らが使う武具、道具、宿による宿泊、飲食に至るまで。学園のお膝元の町は、まさに生徒たちがいなければ、なに一つ始まらないと言っても過言ではないのだ。


「ニーナは、今学期どれくらい学科取るの?」

「うーん、そうね。実は迷ってるのよ、武術科は極めるつもりだから、そっち方面はⅩクラスまで目指すつもりなんだけど、魔法はあまり得意じゃないしね。錬金や薬草学、魔法陣に呪文……正直、やり過ぎた感があるというか、上のクラスになると単位が取れるかどうか不安で」


 今日の授業は午後からなので、僕とニーナは寮の談話室でこれからの事を相談していた。もちろん全員での集合も、教養科の授業の合間を縫って計画を立てている。

 今季から、僕達は教養科を修了して、晴れてフリーの生徒である。基本は学科ごとや、特定の研究所預りの生徒という扱いになるのだ。また研究所預りになると、少額だが給与が支給されることもあるという。

 そして、フリーの生徒の中にもランクがあって、特別な学科に昇級することによって得ることが出来る称号がある。それがフラッグシップクラスである。

 魔法科、武術科、錬金術科、魔法研究科、薬草学科、それぞれ、又は複数の学科を、ある程度まで昇級させることで、統合される学科のことだ。


「……あのさ、もしニーナが嫌じゃなかったら、僕の助手に入ってくれない?」

「え? あ、そっか。確かリュシアン、去年フラッグシップクラスを取ってたっけ?」

お読みくださりありがとうございます。

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