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クエストスタート

 小さな入口から洞窟内に入ると、まず最初に広いドーム状の部屋があった。


「中は広いんだね。天井も高い。それに、ここの光る鉱石はかなり純度が高いみたいだ」


 光る鉱石とは、ダンジョン内を淡く光らせている光源となっている岩の事だ。大抵のダンジョンは、この岩のおかげでうすぼんやりとした明かりが常時内部を照らしているが、これを持ち帰っても光は保たれずただの石になってしまうという。また鉱石としての価値もほとんどない。


「ここは、このダンジョンの玄関ともよばれている場所で、例の新人冒険者の研修をやるときは補給所になったりしているわ」

「地図を貰ったけど、本当に三階層しかないんだね。確かボスもいないって、前に言ってたっけ」


 すごく簡単な地図。一階層はこの部屋と、ここから伸びる通路の先の階段部屋のみ。二階層はちょっとだけ広いが、単純な通路に小部屋が連なっており、特に迷路という感じではない。……地図いらないよね。


「ええ、そうよ。冒険者が何人も潜ったけれど、ボス部屋はなかったそうよ。だから、ここはダンジョンではなく、ただの洞窟だと言っている人もいるわ」

「えっ、そうなの?」

「ええ。でもね、ここにはダンジョンモンスターも出没するし、ダンジョン産の鉱石も出るのよ」


 確かに浅い階層のダンジョンもあるにはあるが、どんなに小さなダンジョンでも普通はボスが存在する。なにか特殊な事情でもあるのだろうか? 

 どちらにしても、今回のクエストのお題には、ここがダンジョンだろうとなかろうとあまり関係がない。欲しいのは水辺で採取できる薬草である。


「それなら三階層ね。確か行き止まりに地底湖があるわ。三階層で一番広い部屋よ」


 三階層の地図を見ると、一、二階層と違って全体的にかなり広い。これもまた単純な構造だが、まっすぐ続く通路の距離だけならかなりのものだ。そして、三差路の一つ、その先に広い空間があり部屋の半分を地底湖が占めていた。


「これだけ広い場所なら薬草くらい生えているよね」

「もちろんよ。でもさっきも言ったけど、普通の初級地帯に生えている薬草よ」

「……まあ、現物を見てみないと判断つかないけど、大丈夫、ちゃんとアリソンさんに特徴を聞いて来たから」


 そうして地図を確認した僕達は、いよいよダンジョン内部へ出発することにした。


「あ、そうだ。ここのモンスターの特長は?」

「そうね、たぶん地底湖の影響なんだろうけど水棲モンスターが多いわ。虫タイプのワーム系、あとトカゲなどの爬虫類系も結構出るわね。そうそう、地底湖には結構大きい魚型のモンスターが出たこともあるって聞いたことあるわ」


 かなりの強敵だったらしく、ボスだと勘違いされたのだという。けれど、倒した後もダンジョン内に変化がなく、ボスではなかったと判断されたらしい。

 一階層では、何事もなく階段まで辿りついた。

 カエデの話によると、二階層にはそれなりにモンスターが出没するとのことだ。


「じゃあ、階段を降りるけど、カエデは前衛でいいのかな? それとゾラは……」


 僕の問いにカエデはもちろんと答え、ゾラはおもむろにカエデの横に立った。前衛ってことかな? それにしてもゾラは何一つ武器を持ってないけど、大丈夫かな? 

 そんでもって僕はいつもながらマッパー兼、後方で支援だ。巻物の補充ができなかったので、基本的に薬での治療担当である。


「階段、降りるわよ」

「うん、気を付けてね」


 いくら三階層のダンジョンだといっても油断はならない。

 ダンジョンは何が起こるかわからない場所なのだから。実際、そういう経験もしてるしね。しかも、今回は探索や討伐を目的としているわけじゃないので、できたら何事もなくクエストを完了したかった。

お読みくださりありがとうございました。

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