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探索開始

 ともかく従魔の名前は、主人であるダリルの仕事なので任せるしかない。

 当の本人は、弄られ耐性が低いため、ちょっと不機嫌そうに道具をカバンに詰め込んでいた。例のパンパンのカバンは、解体道具や簡易の食器などいわゆるキャンプ用品が詰まっていたらしい。

 今まで一人でギルドの仕事を熟していたのだから、なるほど一通り準備はいつもしているのだろう。

 お腹がいっぱいになったところで、それぞれ食後の休憩を取りつつ、軽い作戦会議をした。これからどうするか…むろん先に進むより仕方がないのだが、カイが率いるパーティは何しろ物資が足りなさすぎる。食料も、武器も、キャンプ用品もないない尽くしである。何より先日の夜を徹してのサバイバルが、ちょっとトラウマになっている子もいるようだ。

 リュシアンたちと希望者のみで探索に出ることも考えたが、ここは今現在も成長を続けているだろうダンジョンである。最悪、戻ってこれなくなる可能性があり、そうなると戦力の足りない状態で孤立してしまう危険性があった。

 それら不安要素を上げて、やはり全員で動いた方がよいとの結論になった。


「前衛としんがりにこちらの戦力を出しますが、基本的には自分の身は自分で守ってください」


 リュシアンはいささか厳しいことを言って、最初に釘を刺した。なにしろここに居るのは、全員ダンジョンに潜ると決意して準備してきたはずの生徒たちなのだ。そこは甘えてばかりでは困るというところだろう。

 思わず息を飲んだカイたちだが、それでも自分たちだけで放り出されるよりはずっとマシだと思ったのか、神妙な顔で何度も頷いていた。もちろん、カミラ達にも異存はなさそうである。


「じゃあ私たちが先頭ね」

「うん、お願い。僕は中央で、ペシュの力も借りて全体を見てるよ。モンスターと出会ったら、下手に逃げないで確実に潰していこう」


 ニーナは「了解!」と、相変わらずいい返事で、アリスも大剣をぶんぶん振り回してウォーミングアップに余念がない。頼もしい限りである。

 この人数で逃げても回り込まれるし、隊列が乱れて却って危ない。それなら数の利を活かして、エンカウントしたら諦めて、全部倒していこうということになった。

 先ほどああは言ったが、カイたちの戦力や体力が著しく消耗しているのは承知していたので、リュシアンはできるだけ彼らに危険が及ばないように腐心するつもりではあった。

 カミラパーティにも前衛を何人か出してもらって、弓つかいのカミラには中央を、あと魔法が使える二人を後方へ配置した。回復が使える少女がいるので、エドガーが攻撃に専念できるのは大きい。


 そうして準備を整えると、リュシアンたちは謎の階層の探索を開始した。

 まずは下り階段を探すことが第一目標である。

 エンカウントするのはいずれも虫系、たまにジェリー。なんだか成長中の階層で見るのはこのパターンが多いような気がした。

 連携を組みながら、出会い頭のエンカウントを確実に処理していき、そろそろ階段があってもいいんじゃないかと思い始めた頃、いきなり天井がブルンと大きく動いた。

 いや、動いたのは天井ではなく……


 それは、まるで空のようなスカイブルーの色を持つ、ジェリーの上位種スライムの集団だった。

お読みくださりありがとうございました。

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