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念願の…

 複数体のジェリーと、連続してエンカウントした。

 数は多かったが、エドガーとダリルの強力な魔法であっという間に蹴散らし、思ったより苦戦することはなかった。もともとダリルの実力は魔法科の中でもダントツなのだ。本来、新人と踏破済みダンジョンに初挑戦、というレベルではないのである。


「何とかなったわね。それにしても、本当に打撃が効きにくいのね」

「そうそう、たぶんダメージ半分も入ってないわよ」


 魔法をすり抜けてきたジェリーを、ニーナとアリスで処理していたのだが、もし武器を新調してなかったら倒せなかったかもしれない。


「ところでダリル、さっきは何やってたんだ?」


 エドガーの問いに、ダリルは眉をピクッと跳ね上げた。あえてムスッとした表情をしたままだったが、その瞳には隠しきれない喜色が浮かんでいた。


「…こいつを、ちょっとな」


 ダリルは後衛ではあるが、壁役でもあるので防具として盾を持っている。普段は手に持っておらず、たすき状のベルトを使って背中に背負っていた。そして、手馴れた仕草でその盾を手に取ると、陰に隠れていた巾着袋を取り出した。

 どうやらダリルの貴重品が入っている巾着袋のようである。今回は、途中でリュシアンからフリーバッグを預かったが、普段はあのパンパンのカバン一つである。貴重品など入れようものなら、間違いなくどこかへやってしまうだろう。なので普段からこうして分けて持っていたようだ。

 厚手の革で出来ているちょっと大きめの巾着袋、その少し開いた口からヒョコッと白いものが顔を出した。


「…わっ、なんだ?ソレ」

「ええ、なになに!どうしたの」

「わああ、可愛い」


 すぐさまニーナたちが駆け寄ってきた。

 白い生き物は、少し警戒するように辺りを見回したが、すぐに巾着袋から飛び出すと、あっという間にダリルの腕を伝い、服をよじ登って肩に乗った。


「…小鼠だね。うん、ちゃんと契約できてるよ」


 リュシアンはすぐに巻物を用意して初級鑑定の魔法陣を発動すると、しっかりと頷いて太鼓判を押した。


「この子、小鼠なの?だって、色が違うわよ」

「みたいだね、でも鑑定では小鼠に間違いないよ」


 標準よりかなり小さく一匹だけ色違いの白い子ネズミ。

 どうやらダリルの初めての従魔となったのは、集団に置いてけぼりにされてしまった仲間外れの、ちょっと訳アリの個体のようである。

お読みくださりありがとうございました。

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