幕間ーダンジョンへ
今年度、生徒たちに提供される踏破済みダンジョンは、学園の所有する森の少し奥へ進んだ場所に存在した。この辺りはすでに国有地だが、ダンジョンのみ学園に貸与された形である。
中にある宝物、モンスター、素材などは基本的に狩った者の所有となる。もちろん、一通り狩り尽くされていることは言うまでもない。
ダンジョン許可証の授与は、催しの最後の締めで行われる。今は、開会式のような挨拶がおわり、それぞれ経験者である先輩たちの講演や、説明会などが各所で行われていた。
未踏破ダンジョンに挑戦している上級生たちの話は、いつも大盛況である。そのくらいの学生になると、冒険者としても有名なパーティも数多くいて、下級生たちにも人気があるからだ。
リュシアンたちも、C級冒険者である在学生のパーティが主催する講演会を、後ろの方で見学していた。
ベテラン冒険者たちのマッピング要員や、荷物持ちとして、結構大きなダンジョンに挑戦したという話をしている。その時の戦利品などが、ブースに展示してあったりもした。
一般市民も参加するこういう催しは、自分たちの売り込みにもなるので上級生たちにも利益はあるのだ。
「あら、自分たちで行ったんじゃないのね」
「戦利品…、なんだかショボイね」
ニーナとアリスは展示してある品々を見学しながら、辛辣な感想を述べている。
聞こえちゃうから、あんまり大きな声で言わないで。
リュシアンは、先ほどからチラチラこちらを伺う上級生を気にしていた。もっとも、相手は学園のお姫様を気にしているだけかも知れないけれど。
「あの時の戦利品を見ちゃうとなあ…、まあ仕方がないけど」
エドガーも腕組をして首を振っている。気持ちはわかるけど、踏破済みのダンジョンの戦利品なんてもっとしょぼいからね。
「わかってると思うけど、あんなのは攻略じゃないからね」
リュシアンが心底嫌な顔をしているのは、あの時の魔力の増減による船酔い状態を思い出していたからかもしれない。全員がそれを察してなんだか苦笑いする中、ちょっと蚊帳の外のダリルが居心地悪そうに辺りを見渡していた。こういう全体行事は久々だろうから、ちょっと落ち着かないのかも知れない。
そんな時だった。
「ああ、臭いなぁ。何の匂いだ?」
人混みに紛れて、ちょっと耳障りな甲高い男の声が聞こえてきた。
「おや、獣臭いと思ったら…、人間様に混じって下等な獣人なんぞが紛れ込んでるみたいだな」
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