新メンバーの武器
「ブロイさん、叩けるロッドとかって作れます?」
「ふむ…、そうなると頑丈な作りがいいな、メイスはどうだ。あれは、魔法使いの杖というより鈍器に近いが、付加と材質によってはダリルには持って来いの武器になるんじゃねぇか」
戦闘スタイルがわかっているニーナ達の武具は決まっているが、なにしろ新メンバーのダリルのことはほとんど知らない。せっかく新しく武具を新調するのだから、ここは育ての親の意見もしっかり聞いて、使いやすいものを作りたい。
この杖の傷み方から見ても、ダリルは打撃を併用しながら魔法を打つタイプのようである。魔法を放ちながら突進していく姿が目に浮かぶようだった。魔法使いは通常、前衛を盾にして遠距離を保つものなんだけど。
「なるほど、メイスね」
「て、てめぇらっ!何を勝手に、俺はそんなん…」
ダリルは、咄嗟にリュシアンの持っていた杖を奪い返していた。武器のデザインがどうのというより、武器や防具をリュシアンたちによって新調してもらうということが気に入らないらしい。
まあ、そっちはわかるし、いいんだけど…
リュシアンは、小さく首を振ってため息をつく。
「…チョビ、遠慮しなくていいよ」
「は…?」
次の瞬間、目にもとまらぬ速さでリュシアンの頭からダリルに飛び移ったチョビが、ぎゅーっとダリルの頭を締めつけた。
「いっ!?あだだだだだっっ!」
何しやがるっ!と咄嗟に立ち上がったダリルは、またもや盛大にランプに頭をぶつけて再び座り込んだ。当然、チョビはすでにリュシアンの頭に戻っていた。
「テメェはやめてって言ったでしょ」
「ぐっ…、いやっ、だから人の武器を勝手に…」
口ごもるダリルに、リュシアンはニコニコと呼ばれるのを待っている。
なんだかエドガーは面白そうにやり取りを見ているし、ニーナとアリスは、ただの乱暴者だと思っていたダリルの知らなかった素性や、意外な一面の数々を目の当たりにして、ちょっと戸惑っているようだった。
「リュ…、リュシ…く、てめっ、…リュ、シアン」
絞り出すようにようやく名前を呼んだダリルに、リュシアンは呆れたように苦笑した。そんな血反吐吐くように人の名前呼ばないでよ。
そんなにやなの?なんか地味にショックなんだけど……
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