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特徴的なアレ

 後ろに回ったリュシアンは何を思ったのか、いきなりダリルのお尻辺りをポンポンと叩いた。


「…っ!?っな、ホント何してんだ、てめぇはっ!」


 飛び上がるように、ダリルは方向転換してリュシアンに向き直った。


「ちょっとしゃがんで?」

「はあっ!?なんでだよ、冗談じゃ…」


 反射的にリュシアンを見下ろすと、チョビが愛らしくも厳つい顔を上に向け、ギチギチギチと物凄い顎を鳴らして威嚇していた。もちろんペシュも、片目だけでこっそり覗いている。

 それを見て、チッと舌打ちしてしぶしぶながら膝を折りしゃがんだ。チョビに対しては、どこか罪悪感があるのかいささか立場が弱いようだ。

 それにダリルは、従魔に非常に強い憧れを持っている。もっとも、たぶんにしてそれが裏目に出てトラブルを起こしてしまうのだけど。有り体に言えば、果てしなく素直ではない性格なのである。

 しょうがないね、ツンデレ属性だからね…

 また、ペシュのような感覚器官の発達している種族は、音に敏感で常に声が大きいダリルは何もしなくても嫌われてしまう。

 いるよね、動物大好きなのに嫌われちゃう人って。

 

「ありがと、…んーと」


 短くお礼を言って、リュシアンはダリルのつむじ辺りを覗き込むようにして、逆立った髪に手を入れてモゾモゾ頭頂部辺りを探っていた。


「何してんだよ?もう、いいだろ」

「うん…、そうだね、それじゃ立ってよ」


 なんなんだよ、と愚痴りながらダリルが立ち上がると、リュシアンは相変わらず思案気な表情をしたままで顔を上げた。


「ちょっと聞いていい?」

「…なんだよ?」


 いい加減くたびれたダリルが、不機嫌そうにおざなりに答える。


「ねえ、しっぽは?」


 一瞬、きょとんとしたダリルは、そこまで来てようやくリュシアンの奇行を理解した。確かに噂では、獣のしっぽを隠してるとか言われていたし、獣人の混血の中には、人間の耳と、獣の耳を合わせ持つ者もいるのだ。


「でたらめな噂を真に受けんじゃねえ、しっぽなんかあるか!」

 

 むろん、リュシアンは馬鹿したり、差別する意図で聞いたわけではない。

 結局のところ、耳は人間と同じ位置にあり、頭部には何の痕跡もなかった。もちろんしっぽを仕舞ってる風でもない。やはり、特徴的にはほとんど人間だった。

 これだけ獣人の血が薄いとなると、召喚がうまくいかないことにフェロモンは無関係なのだろうか?

 ダリルは魔力も十分にあるし、他には考えにくいのだけれど…

お読みくださりありがとうございました。

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