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協力

 リュシアンと近づいたせいで、その頭上に乗っているチョビと不意に目が合った。


 めっちゃ睨んでやがる……

 しかも、もう片方の新入りコウモリにも、なぜか酷く怯えられている。今もリュシアンの髪の中から、チラリと小さな青い瞳が片方だけ覗いていた。


 「お…、おぅ、おうよ」


 従魔たちからも、リュシアンからも言い知れぬ圧力を受けて、ダリルは窮屈な屈んだ状態のまま、押し切られるように頷いていた。


「それから、許可は僕が申請しておいた」

「えっ…!?な、ん…」


 予告もなく手を離されて、ダリルは反動でちょっと仰け反った。

 普段から人当たりが柔らかく愛想の良いリュシアンだが、ダリルはなぜかいつもと様子が違うように感じて、ちょっと気味悪そうに見下ろした。

 

「気になることがあってね、従魔探しに協力しようと思ってさ」


 早くからここで待っていたのか、リュシアンは朝露に濡れた髪を手櫛で整えながら、まるで事のついでのようにあっけらかんと答えた。

 思いがけないことを言われて、ダリルは口を開けたまま固まった。


「いや…、は!?なんでだよ、てめぇが…」

「リュシアンだって言ってるのに…、まあいいや。なんで協力するかって?」

 

 もともとダリルがリュシアンに絡んだ原因は、新入生ですでに従魔持ちだったからだろう。度重なる留年と、ままならない召喚に苛立ち、羨ましさと悔しさでつい手が出てしまったのだ。

 何に対しても攻撃的で、どこか排他的なダリルは、この数年、他人を寄せ付けないように振る舞っていた。そんな彼が、久々に自分から構い倒していたのが、奇しくもリュシアンだったのだ。

 ダリルは、召喚魔Ⅱを三回も留年していた。

 意外なことに、ダリルはかなり勉強熱心で、知識や魔力操作においては文句なく優等生であり、事実、入学一年目はすべての科において成績上位を占めていたらしい。

 当時の教養科Ⅰを担当した教師の話では、多少粗野で喧嘩っ早いところはあったが、仲の良い友人たちもいたという。

 勉強に、実習に、そして自由研究にとアクティブに、そして他人の何倍も努力して、それに見合うだけの結果を出していたというのだ。

 けれど、それも彼に関するある噂を聞く頃になると、事情は一変した。


 事実か憶測か、ダリルが獣人のハーフだという悪意に満ちた噂を。

お読みくださりありがとうございました。

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