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従魔の名前

「やっぱり女の子っぽい名前かな?」


 性別不明とあったが、人型になった姿はどう見ても女の子だった。

 うーん…、女の子の名前、余計に悩む。コウモリにポチとかタマはないよね。

 黒いから、クロ?いやいや、チョビだって黒いよ。

 …って、なんかウチの従魔、みんな真っ黒だね。それになんだろう、モフモフ系にはまったく縁がないみたいだ。チョビはゴリゴリだし、この子は噛みつくし。

 そんな時、ドアがノックされた。


「入っていいかー?」


 ノックと共に部屋に入って来たエドガーに、リュシアンは呆れたように振り向いた。


「……エドガー、入ってから聞いたら意味ないよ」

「固いこというなよ。なんだ、まだ悩んでるのか?」


 寮の部屋は、教養科のⅢまでは四人部屋、Ⅳからは二人部屋か、希望者は一人部屋となる。今年からⅣのリュシアンは親の希望もあって、一人部屋の方へ越してきたばかりだっだ。隠密を抱える事情も加味されての処置である。ちなみにエドガーは今年Ⅲなので、引き続き4人部屋である。

 そのこともあって、こうしてちょこちょこ潜り込んでくるのだ。もっともエドガーは四人部屋も悪くないと思っているらしく、それはそれで楽しんでいるようだ。

 新たに従魔となったコウモリは、羽根を畳むと拳くらいの大きさである。小さな草木で編んだ籠の中に、ちょこんと座っている。エドガーが覗き込むと、小さな青い瞳がパチパチと瞬きしてそちらを向いた。


「こいつ、普段は青い目なんだな」

「みたいだね。どうやら魔力が充実すると…、というかお腹いっぱいになると黒くなるみたい」

「お腹いっぱいって…なんだよ、また噛まれたのか?」

「…チョビと一緒に野菜をあげたりしたんだけど、食べないんだよ」


 それで、血を吸われてしまう。

 この子のごはん、まさか吸血のみとか言わないよね?コウモリを前に、リュシアンは頬杖をついて深い溜息をつく。

 吸血されるといっても、大した量ではないんだけどね。加えて言うなら、吸血による魔力補給をしても、あの時のように人型にならなかった。

 それに、リュシアンの方も……


 コンコン。

 再び来客を知らせるドアを叩く音がした。


「ん?誰だ…今ってまだ休暇中だし、このフロアーも人いないよな」


 エドガーの問いかけに、リュシアンも怪訝そうに頷く。そう、今はまだ休暇中、ぼちぼち学園に生徒は戻っては来ているが、この個室エリアの、リュシアンのいるフロアーの住人は、まだ誰も帰ってきてはいなかった。

お読みくださりありがとうございました。

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