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異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた  作者: 空雲
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
45/52

45 街道を歩いていると足が痒いどう

 俺たちは街道を進みながら移動する。

 そして途中に街を発見する。

 今更ながらに気がつくと、エスフェリアがかなり辛そうにしていた。

 時々小休止は入れていたが、ぶっ通し4時間ほど歩いている。

 ちなみに山登りが趣味の俺は、体力にはそこそこの自信がある。

 まあ調子に乗って雪山で死にかけたことがあるんだけどな。


「エスフェリア、大丈夫か?」


 俺はエスフェリアの状態を確認した。


「はい、問題ありません。

 以前の周回から記憶は持ち越せても、体力が持ってこられないのは残念です。

 その分は、精神力で補います。」


 彼女はそう言って笑う。

 一方アグレスは、かなりの大荷物を抱えているにも関わらず、足取りはしっかりしており、疲れた表情一つしていない。


「アグレスは?」


 一応、聞いてみる。


「私はこのままでも大丈夫です。

 しかしそろそろ殿下をお休みさせたいと思います。

 街道沿いにもうじき街が見えてくるはずです。

 そこで長めの休息を取りましょう。」 


「分かった。」


 俺はそう答えた。


「あの街は・・・。」


 エスフェリアの表情が曇る。


「何かあるのか?」


「魔族の部隊に襲われて壊滅状態になっています。

 しかし休むところは残っています。

 行きましょう。」


 そして俺たちは街に着いた。


「え?」


 エスフェリアが不思議そうな顔をした。


「荒らされた様子が無いな。」


 俺は辺りを確認する。

 さらに魔術回路を構成し索敵を試みるものの、人間も魔族も引っかからなかった。


「おそらくサイアグ様の指示で避難が行われたのだと思います。

 そして魔族も誰もいないことに気がつき、この町を攻撃対象から外したのでしょう。」


 アグレスがそう推測した。

 まあ、誰もいない街を攻撃しても時間の無駄だよな。

 物資ぐらい奪っていっても良いような気がするけれど、魔族が今回の戦いの勝利を確信しているのだろう。

 後回しにする程度の余裕があるのかもしれない。


「以前のパターンには無かったのか?」


 俺はエスフェリアに確認する。


「はい。

 私がこの街にたどり着くと、毎回魔族の襲撃の後でした。」


 エスフェリアはそう答えた。

 犠牲者が出なかったのはいいことだ。

 しかしその割には彼女は浮かない顔をしていた。


「良い方に変わっていると考えるべきか。

 だが、その顔は何かあるんだろう?」


 俺はエスフェリアの態度の理由を問う。


「一つ不安な点が。」


 犠牲が出なくて万々歳なこの状況でいったい何が不安なのか、俺にはさっぱり分からなかった。


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