27 さあ、苦戦しないように作戦を立てようか
俺とエルシアは協力し、疑似魔術回路の研究を進めた。
同時に俺は、テレキネシスと疑似魔術回路の構築訓練を行った。
魔力収集、魔術効果、魔法強化を練り上げる。
さらに軌道操作という超高レベル魔術をオプションで付けることにも成功した。
「もう・・・無茶苦茶よ。
魔法の技術レベルは宮廷魔術師のサイアグ様に匹敵するわ。
短時間で発動できる事を考えると、それ以上かもしれない。」
エルシアは今までの成果を検証して青ざめている。
俺はちょっと拍子抜けしている。
オルドウルのレポートがあればこそなのだが、無かったとしてもいずれは辿り着いただろう。
そしてきっとオルドウルが俺のようにテレキネシスが使えたのなら、同じ結果を見ていたはずだ。
「へえ、こんな程度で宮廷魔術師レベルなんだ。
あっけないな。」
俺は正直な感想を述べた。
「殺していい?」
エルシアが俺を睨む。
何かが逆鱗に触れたらしい。
「おい、怖い顔をするなよ。
美人が台無しだぜ。」
ここは一つ笑いをとるため、冗談を飛ばしておこう。
「・・・。」
エルシア何故か睨むのをやめて黙る。
微妙に頬が赤い。
「まて、何で顔を赤くしてるんだ?」
まあ、性格がアレな事を除けば、確かに美人ではある。
「別に赤くなんてなってないわよ。」
再び怒り出すエルシア。
情緒の安定しない奴だ。
「とにかく次だ。
もうすぐ魔族の襲撃がある。
狙いは俺だ。
対抗策を練る必要がある。」
「それなら大丈夫。
私に考えがあるわ。」
エルシアはいつもの調子に戻る。
「ほう、頼もしいな。」
「狙いはギスケ。
なら、襲撃予定時刻にあなたの居場所がハッキリしていればいいのよ。
そして被害が出にくい場所をチョイスするわ。」
そして俺はエルシアから詳細を聞く。
「なるほど、確かにそれなら上手くいきそうだ。
じゃあ俺はエスフェリアに作戦を伝えてくる。」
「私も準備の根回しに動くわ。」
そして俺はエスフェリアに作戦を伝える。
「なるほど、そのパターンは始めてですね。
分かりました。
こちらでも根回しに協力します。」
エスフェリアは作戦を了承すると、なにやらアグレスに耳打ちしていた。
「畏まりました。
では手筈を整えて参ります。」
エスフェリアの指示を受けたアグレスが行動を開始した。
さて、後は俺がぶちかませばいいだけだ。