24 前頭葉に広がる前途多難
大体の事柄は分かったが、色々と疑問が出てくる。
俺はエスフェリアに疑問点を確認することにした。
「お前は皇女なんだろ。
だったらその権力で何とか出来ないのか?」
そもそもなんで俺に頼るのかが分からない。
「もちろん、色々試しました。
全部駄目だったのです。
ギスケの力を借りる以外のパターンは、最長でも魔王が襲来した時点で終わり。」
「この国にも軍隊はいるんだろう?
それが駄目なのか?」
「まず第一に、私の言うことは信じてもらえない。
父・・皇帝陛下に真実を告げたパターンもあります。
全て失敗、私の行動が制限されるだけで何も変わらない。」
確かに死に戻りの話を突然されても、異世界転移なんて怪現象に見舞われている俺じゃなきゃ信じないだろう。
「第二に、万が一信じてもらえたとしてもアストレイアには焼け石に水。
人間では勝てません。
あの悲惨な光景はもう見たくはありません。」
どんな光景なんだよ?
「おい、それじゃどうにもならないだろう。」
そんな奴に俺が相対して、どうにかなるわけが無い。
「大丈夫です。
アストレイアは半年後、勇者ジェイエルが倒します。
それまで逃げ切ればいいのです。」
「魔王に勇者か。
なるほど、そいつは理解した。
それでその勇者ジェイエルはどこにいるんだ?
そいつに守ってもらうのが一番だろ。」
対抗手段があると聞いてほっとした。
このまま魔王を倒してこいとか言われるかと思ったぜ。
「勇者ジェイエルは、おそらく魔領です。
帝国にはいらっしゃらないようです。」
「なるほどな。
だが、魔王が倒されたことを知っているのなら、最低一度は逃げ切れたんだろ?
なんで死に戻ってるんだ?」
「人間に殺されました。
第二皇子を支持しているバリアムード公爵です。
最後の最後で油断しました。」
「おいおいおい。
なんだそりゃ。」
「理由は帝位継承権争いです。
これから魔王によって、皇帝陛下は行方不明になります。
そして第一継承権を持つ皇太子、一番上の兄は戦死が確定事項。
皇太子は今現在、魔領に出兵しています。
元々は箔を付けるために、魔領の周辺で少し戦って帰ってくる予定でした。
もうすぐ・・・魔王アストレイアの軍勢に殺されます。
そもそもここからではどうにもできず、どのパターンでも回避不可能でした。」
エスフェリアは悔しそうな顔をした。
「そして継承権第二位の第二皇子ベルグレストと、第三位の私との継承権争いに発展します。」
こいつは前途多難だ。