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異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた  作者: 空雲
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
23/52

23 双六で四が出たら死に戻り

「『死に戻り』と言えば分かりますよね?」


 エスフェリアが言った。

 そして驚くべき事に『死に戻り』という言葉だけは日本語だった。


「死んだら特定の時間に戻されるってやつだよな。

 そういう作り話をいくつか知っている。

 こっちの世界にもあるのか?」


 そう俺は言ってみた物の、致命的におかしな部分が一つある。

 エスフェリアが、短いとはいえ日本語を話したのだ。


「今回で13回目です。

 前回は惜しいところまで行きました。」


「ちょっと待て。

 何を言っている?」


「もうすぐ宮殿に魔族の刺客があなたを暗殺しに来ます。

 その後、魔王アストレイアが帝国首都である、このトレンテを滅ぼすの。」


 とんでもないことを言い始めたぞ。


「おい・・・。」


 俺は絶句した。


「ギスケ、この名前はあなたの作った『演算ライブラリ』の名前ですね。

 それが何なのか、私には分からないけれど。

 そしてあなたは異界からやってきた。

 ちなみに名前は一周目では偶然名前が一致しただけでしたが、今回は意図的です。」


「くぅ。」


 俺は二の句が継げなかった。


「信じてもらえましたか?

 一応、一つ前の周回のあなたから、これを言えば絶対確実だというのも教わっています。

 私が死ぬ直前に。

 けれどこれを話すと立ち直るのに時間がかかるから、本当のホントに最後の手段にしてくれと、『あなた』に言われています。

 私もちょっと躊躇してしまう内容ですが、それを言いましょうか?」


 エスフェリアが何故か顔を赤くしながら言う。


「まてい!」


 キケン、キケンだ。

 俺はいったい何を教えたんだ?


「分かった、信じる。

 だからその最後の手段というのはやめてくれ。」


 俺は完全なる敗北を悟った。


「良かった。

 でも、いつか・・・もう一度聞かせてください。」


 顔を赤らめつつ、ほっとした表情をするエスフェリア。


「殿下、あとで私にはこっそり教えてください。」


 アグレスがエスフェリアにこっそり耳打ちする。

 聞こえてるぞ。


「誰にも話すな、話したら一切の協力は無しだ。」


 俺は警告を発する。

 内容は不明だが、絶対に流出させてはいけない秘密に違いない。


「分かりました。

 そのかわり、私を守ってください。

 私を救えるのはあたなだけなのです。」


 エスフェリアは金色に輝く髪とトパーズの色の瞳で俺を見つめる。

 黙っていれば超美少女だ。

 そんな奴にあなただけなどと言われれば、さすがに俺の脈拍がおかしな周期を刻むのも致し方ないだろう。


「仕方ない。

 いいだろう、俺が出来る範囲なら協力する。」


 ついに俺は約束させられてしまった。

 最初から敗北が決まっていた勝負なのだろう。


「よろしくお願いします。」


 俺に笑顔を向けるエスフェリア。

 脅迫に近い形で、俺はエスフェリアを助けることになった。

 その脅迫のネタを俺が提供したのなら、それは俺がそこまでして助けたいと思ったとに他ならない。

 約束は守るのが信条だ。

 相手が魔王?上等だ。


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