2 流れてくるのは海水かい?
俺は中学の修学旅行中にパズルを解いていた。
船で海上移動中だったから時間はたっぷりあったんだ。
だからあくまでも時間つぶしのハズだった。
途中でちょっと激しく揺れたとは思ったよ。
体が転がったりしたしさ。
だけど途中だったから集中したかったんだ。
問題があったら呼びに来るだろう?
何か聞こえたような気がしたけどさ、ヘッドホンをしていたら聞こえないよな。
そしたら海水が流れ込んできた。
気がつくと周りが水没してやがったんだ。
あり得ないだろう?
みんなどこへ行ったんだよ。
ヤバいと思って甲板に行こうと思ったら、天地がひっくり返った。
いや、ひっくり返ったのは船か。
どんどん水が流れ込んでくるし。
甲板から脱出?
無理だね、船がひっくり返ってるんだ。
俺は甲板を目指すのを諦め、ダイビングセットが置いてあった場所を目指した。
他の乗客が持ち込んだ物だ。
脱出に失敗しても時間稼ぎは出来るはずだ。
目的の場所へ駆けだした次の瞬間、何かの衝撃が加わった。
気がついたら溺れかけている。
選択ミスか?
意識はある。
俺は生きることを死ぬまで諦めるつもりは無い。
空耳か声が聞こえる。
「選びなさい。
召喚に応じて生きるか、そこで死ぬか。」
いきなりハードな選択を迫ってくる空耳。
俺に諦めて死ぬという選択肢は無い。
「生きる。」
俺はそう答えた。
そして跳んだ。
チテンズレ
ムカエニイク
オッテニキヲツケテ
ムスコヲオネガイ
そんな言葉が頭の中に響いたような気がした。