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異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた  作者: 空雲
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
14/52

14 首の話に首ったけ

本日二話目です。

「やっぱり俺は首ちょんぱされてたのか?」


 俺はスイートルームでの件を聞いた。


「首ちょんぱ?

 いえ、頸動脈を切られて大量出血していたの。

 その後、切った兵士が我に返って止血したみたいね。

 私が行った時には凄いことになっていたのよ。」


 頸動脈を切ると、どのぐらいの勢いで出血するんだろう?

 自分の事ながら、ちょっと見てみたい気がする。


「綺麗に治っているみたいだけど、魔法って奴か?」


 俺は首筋をさする。


「ええ、回復魔法よ。

 ただ、あなたに回復魔法は効かなかった。」


 エルシアの衝撃の一言だった。


「え?」


「魔法がすり抜けるのよ。

 魔力の干渉を受けないといった感じね。

 始めてよ、そんな人間を見るのは。」


 ため息をつきがてら話すエルシア。


「じゃあどうやって治療したんだ?」


 治ってるぞ。


「床に落ちていた魔力を大量に含んだ粉を使ったの。

 あれはあなたが作ったのよね?

 それを振りかけたら、魔法が効くようになったわ。

 魔力を大量に含んだ魔晶石の粉を魔道具に組み込んで、性能を強化する技術があるんだけど、それに近い感じね。

 それにしてもあなた、まったく疑問だらけね。

 本当になんなの?」


 エルシアはギラ付いた目を俺に向ける。

 身の危険を感じる。

 こいつはマッドサイエンティストか?


「なんなのと言われてもな。

 一言で表すと、突然召喚された異世界人だ。」


 俺は自分の認識している事実を語った。


「異世界人?

 召喚?」


 エルシアが首をかしげる。


「だれか異世界人を召喚した奴に心当たりは無いか?

 ちょっと一言二言言いたいことがあるんだ。」


「精霊召喚の技術なら知っているけど、どこか別の世界から人間を連れてくるなんて聞いたことも無いわ。

 そんな魔法が使えるとしたら、魔王レベルよ。」


「魔王?

 ほう、この世界はやっぱりそんな奴がいるのか。」


「この国はずっと魔王と戦い続けているわ。

 今代の魔王は歴代で考えても最悪の力を持っている魔王よ。」


「へえ、大変だなあ。」


 俺は人ごとのように言った。

 まあ、人ごとだからな。


「あなたが出自がよく分からないのは置いていくとして、あの力は?」


「水に模様を描いた力か?」


「それを含めて、どうやって魔力吸収回路を構築したのかよ。」


「魔力吸収回路というのを意図的に作ったつもりは無い。

 あの石の模様をテレキネシスで再現しただけだ。」


「テレキネシス?」


「小さくて軽いもの限定で、一度触れたものを動かす能力だ。

 力自体は弱々しくて、本来なら大したことはできない能力だ。」


「異世界人の力というのかしら?」


 元の世界でもそんな力はTVでぐらいしか見たことが無い。

 だから異世界人の力というのは語弊があるだろう。

 しかしいちいち訂正するのが面倒だったので、特に何も突っ込まなかった。


「あの石は、ある魔道具に組み込むための重要な部品だったの。

 長年かけて苦労して作り上げたね。

 そしてあなたが使った力は、その長年の成果を軽々超えていたわ。

 あなた、私に協力するつもりは無い?

 話を聞いた限りでは、特に目的も無いんでしょ。」


「俺は他人に命令されるのはゴメンだ。」


「協力関係よ。

 今回みたいな事があったら困るでしょ。

 身分は保障するわ。」


「脅しにしか聞こえないんだけどな。」


「誤解しないで。

 私はゴルディンみたいに力で抑えつける気は無いわ。

 知的好奇心というか、色々な意味であなたに興味があるの。」


 エメラルドの瞳で俺を見つめる。

 こいつにはこいつの打算があるのだろう。

 しかし俺が何かするにしても、もう少しこの世界のことを知ってからでもいいだろう。


「分かった。

 宿代程度なら協力してやる。」


 こうして俺はエルシアと協力関係を結ぶことになった。


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