13 成績の悪い聖石
俺のこの世界の住人と会話が可能になると、再びミルクティー・・・じゃない、エルシアがやってきた。
エルシアは最初に俺の名前を聞いた。
「俺の名前はケイスケ。
ケ・イ・ス・ケだ。」
俺は名前を間違えられないように、丁寧に発音した。
「そう、ケイスケね。
私の名前はエルシア。
よろしく。」
よし。
なんだか名前を間違えられそうな予感がしていたんだが、事なきを得た。
俺の直感は良く当たるのだ。
「石は返したはずだが、これ以上俺に何の用だ?」
俺は用件を聞いた。
「あなたを捕まえたのは、ゴルディンという男よ。
私と一緒にいた魔術師。
私は話を聞くだけで良かったのに・・・。
口を割らせると言って、勝手に捕まえて兵士に暴行を命じたのも彼よ。」
あのゴキブリか。
よし、ゴキディンと呼ぼう。
「その件はもういい。
だが石を返した後も、あそこに戻されたけど?」
俺は疑問を口にする。
「ごめんなさい。
聖石のことで頭がいっぱいで、あなたのことをすっかり忘れてたの。
盗まれて大変なことになってたから。」
ヒデェ。
お前も相当だぞ。
「その後、あなたが妙な魔法を使ったと報告を受けたわ。
でも私が地下牢に到着した時にはあなたは出血多量で虫の息。
ビックリしたわよ。」
おい!
「ビックリしたのはこっちだ。」
俺は苦情を言う。
「でもちゃんと回復魔法をかけて生きてるでしょ?
私は命の恩人よ。」
不貞不貞しく言うエルシア。
「ぜんぜん恩を感じないんだがな。」
エルシアからは、何か人間として欠落したものを感じる。
そう言う俺も人のことは言えないが。
もしイリンがいなかったら、この世界は頭のおかしい奴ばかりだと誤解するところだ。
「それよりあなたのアレは何?
あなたから魔力を一切感じない。
道端の小石にだってもう少し魔力が含まれてるわよ。
あなたのそれ自体が異常な上に、さっきの力。
どうやってあんな濃い魔力を皿の中に集めたの?
それに今まで聞いたことも無い言葉。」
エルシアは一気に色々聞いてきた。
どうやら俺は魔力を収集していたらしい。
さて、何がどうなっているんだか。