表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界の国に召喚されたら、いきなり魔王に攻め滅ぼされた  作者: 空雲
本編 魔神の誕生と滅びの帝都
10/52

10 愛のある触れ合い

本日二話目です。

 気が付くと俺は床石と寄り添ってイチャイチャモードだった。

 記憶が飛んでいる。

 どうして俺は、床石とこんなにイチャついているんだ?


 体を起こして回りを確認する。

 五つ星ホテルのボーイが中腰姿勢で頭を振っていた。

 脳震盪(のうしんとう)でも起こしたのだろうか?

 脳関係は危ないから、病院に行って見てもらえよと思った。

 しかし言葉が通じないので、アドバイスできないのが残念だ。


 俺は皿があった場所を確認する。

 皿が無い。

 どこかに(さら)われたか?

 それとも皿が割れたのか?


 顔を近くに寄せて良く見てみると、床に微妙な亀裂が入っている。

 そして周囲に粉のようなものが拡散していた。

 豆スープの入っていた皿は影も形も無い。

 俺が寝ていた間に片付けたのだろうか?

 だったらこの妙な粉も掃除していって欲しかった。


 五つ星ホテルの先輩の部屋から叫び声が聞こえてくる。

 何かあったのだろうか?

 もしや五つ星湯煙温泉殺人事件?

 探偵役は俺か?


 鉄格子を叩いている人もいる。

 いつから閑静なホテルが動物園に様変わりしたのだろう?

 まあ、俺も動物園は嫌いじゃ無い。

 動物園に行ったら必ず触れ合いコーナーに行く。

 一方的に触れているだけだから、お触りコーナーじゃ無いかという気がしないでも無い。

 ちょっくら触れ合いに行きたいところだが、残念ながら鉄格子はそのままだ。


 ふと首筋に冷たい感触が伝わってくる。

 ヒヤッとした。

 心臓に悪いから、冷たいものを突然くっつけるのはやめて欲しいな。

 俺はその冷たいものを確認する。

 (やいば)だ。

 鉄格子の隙間から、ボーイが剣を差し出して俺の首筋を冷やしてくれていた。


 気が利くボーイだ。

 寝起きに冷たいタオルならぬ、冷たい刃を差し出すとは。

 仕事熱心なのはいいが、お前は脳震盪を起こしている。

 病院に行った方がいいんじゃ無いか?

 

 俺は病院に行った方がいいという、真心がこもったジェスチャーをした。

 通じたか?

 するとボーイは返事のつもりか、刃を()した。

 冷たい刃が、熱いのか冷たいのか分からない強烈な感覚に変わる。

 俺の体を流れる熱き血潮が、出口を求めて彷徨っていたようだ。

 首筋を出口と勘違いしたのか、一斉に飛び出してくる。


 突然からだが軽くなったような気がする。

 意識が保てない。

 俺はたぶん倒れた。


 何か叫ぶ声。

 足音。

 鉄格子の開閉音。

 そんなものが聞こえるのを、ただ脳が記憶していた。


 なんだか良く分からずにこの世界に召喚されて、なんだか良く分からない間に次の世界へ旅立とうとしている。

 本当にいったい何だったのか?


 まあいい。

 俺は死ぬまで生きるだけの話だ。

 今までも、そしてこれからも。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ