ゆいこのトライアングルレッスンB 〜音を奏でる宝石箱〜
「ゆいこのトライアングルレッスン」とは?と思われた方は、
ゆいこのトライアングルレッスン〜軌跡〜
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をご一読いただくと、より楽しめると思います。
「たくみ。ゆいこの誕生日プレゼント決めた?」
「いや、まだ。なんてたって俺ら受験生だから金ないし、ゆいこが喜んでくれるものが何だか悩んでる。ひろしは?」
「プレゼントしたいものはあるんだけど、予算オーバーなんだよ。今年は2人で一つのものを渡さないか?」
「おっいいね!その案に乗った。」
誕生日当日の塾帰り、ひろしとたくみと公園に立ち寄った。なんとなく心もとなくて、ブランコに座る。
「ゆいこ、ソワソワしすぎー。ちゃんとバースデープレゼント用意してあるから。なぁ、ひろし。」
「ゆいこ、お誕生日おめでとう。俺とたくみから。」
ひろしが紙袋を差し出してきた。受け取るときに、指が触れてドキッとする。いや、これまでだって受け渡しで指が触れることは何度もあったのに、なんだか今日は緊張する。
「開けていい?」
「ああ。」
「もっちろーん。」
紙袋からプレゼントを取り出すと、少し重みがある。リボンと包装紙を外して中を開けると、箱の蓋が見えた。蓋は透明で、指輪を挟むための丸い段々の部分と四角い枡の部分と螺子の部分の3つに仕切られているのが視界に入る。取り出してみると、白を基調とした箱で、下の段は引出しになっていて、上の段には蓋がついていた。
「わぁ。可愛いジュエリーボックス!猫脚だぁ。螺子がついているってことは、オルゴールなの?なんの曲かな。」
すぐさま螺子を巻く。独特な音色で『星に願いを』が流れてきた。
「私、この曲好きなんだよね。ひろし、たくみ、ステキなプレゼントをありがとう。一生大事にする!」
「おう。その言葉忘れんじゃねーぞ。」
「色も曲も迷ったけど、こんなに喜んでもらえて、これにしてよかったよ。」
そして、ひろしは少し目をそらして、ぼそっと続ける。
「来年の誕生日には、それに入れるのをプレゼントするから。」
「来年からは、ひろしと一緒のプレゼントなんかにしないから、期待してろよ。」
大学生になったひろしとたくみが来年も祝ってくれるんだと、早くも一年後の誕生日を思い描いてしまったことは、二人にはヒミツだ。
トライアングルレッスンな交流ができたらいいなと思っていますので、コメントなど残していただけると嬉しいです。
シリーズ「トライアングルレッスン〜三角関係でいたい私たち〜」の放課後とJの間に位置する物語です。もしご興味を持っていただけたのなら、こちらも覗きにいらしてくださいませ。