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麗子様は好き勝手に生きてやる!  作者: 古芭白あきら
第4章 中等部のみぎり

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第127話 麗子様は王子様に囲まれる。

 くっそー、滝川のヤツー!


 愛するお兄様より目立ちやがって。

 これもヒーロー補正のなせる業か?


 いや、向こうは四人もいる。対してこちらは私とお兄様の二人きり。最初から戦力に差があったのだ。そう考えれば、こっちの方がどよめきは大きかったと言えよう。


 君ジャスヒーロー軍団め、決して我が清涼院軍は負けてなんかいないんだからね。勘違いしないでよね。


「「清涼院(さん)!」」「「麗子ちゃん!」」


 悔しーって、敵意の視線をぶつけてたら、滝川軍団が一斉にこっち向いた。こわっ!?


 ヒーローには悪役(ヴィラン)の敵意を察知する個性(いのう)でもあるっての?


 これは捕縛される前に逃げないと――


「麗子ちゃ〜ん、久しぶりー!」


 いーやー、美咲お姉様ぁ、そんな勢いよくこっちに走ってこないでー。


「お、お久しぶりでございま――わっ!?」

「んー、麗子ちゃんだー」


 美咲お姉様に抱きつかれてワシワシされてしまった。あたしゃ犬か。


「しばらく見ない間に大きくなっちゃって」


 親戚のおばちゃんですか。


「昔はあんなにちっちゃくって可愛かったのに……でも、とっても綺麗になったわ」

「ありがとうございます。ですが、美咲様には及びませんわ」


 これはお世辞じゃない。


 美咲お姉様の首筋から鎖骨へと続く、デコルテの艶めかしいライン。妖艶にも見えて、長い黒髪をハーフアップに纏めて清楚感を失っていない。


 なんつー正統派美少女や。


 美咲お姉様、ますます綺麗になっとるなぁ。


「ふふっ、麗子姫も負けず劣らず綺麗よ」


 いやん、舞香お姉様ったら、お上手なんだから。奥様、聞きまして。姫ですってよ。姫。


 今日の舞香お姉様のお召し物は白のパンツスタイル。王子様ムーブなセリフをサラッと口にしても違和感がないわ。さすが宝塚系美少女。


 美咲お姉様と並ぶと王子様とお姫様って感じ。とってもお似合いなの。やっぱ高校生よねぇ。二人とも。とても大人びていらっしゃる。


 うーむ、二人を見てたら、急に自分が子供っぽく思えてきたぞ。


 やっぱドレスが子供っぽ過ぎたんやろか。私ももう少し露出のあるドレスにすればよかったか?


「麗子、ダメだからね」

「はい?」


 えっ、お兄様、急になんです?


「麗子はあんまり刺激的な服を着てはダメ」

「そんな刺激的だなんて……私はただ、もう少しだけ大人っぽい服を着てみたいと思っただけですわ」

「これ以上大人びた格好をしたら、麗子に悪い虫が付きそうで心配だよ」


 まっ、お兄様ったら、過保護〜。


 麗子、そんなシスコンなお兄様が大好きです♡

 ですが、どうして早見と睨み合ってるんです?


 ――グイッ!


「清涼院さんにたかる悪い虫は僕が追い払っておきますよ」


 んぎゃぁあ!


 おい腹黒、なに私の肩を勝手に抱き寄せてんねん。変な声でちまうとこやったやんけ。


 だけど……くっ、ホント綺麗な顔立ちしとんな。こう、間近に迫ると見たくもないもんまで良く見える。肌なんて女の私よりきめ細かくないか?


 ちっ、胸くそ悪い。


 ――グイッ!


「いや、それには及ばない。麗子は僕の側に置いておくから」


 いやぁん!


 お兄様ったらぁ、こんな大衆の面前で抱き寄せるなんて。改めて間近で見ると、大人なイケメンに育ったもんよね。色香がムンムンよ。


 私の乙女な胸が高鳴って仕方がありませんわ!


 ――グイッ!


「いえ、清涼院さんには僕がついておきますから」

 おい!


 ――グイッ!


「君には任せられないよ」

 まあ!


 ――グイッ!


「束縛は嫌われますよ」


 ――グイッ!


「君は他人のこと言えないだろ」


 ――グイッ!


 あ〜れ〜、イケメン達が私を巡って激しいバトルを繰り広げるなんて。美少女すぎる私がいけないんだわ。


 私の美貌が男達(イケメン)を狂わせる。

 ふっ、美しすぎるって罪よね。


 ケンカはやめて〜、私のために争わないで〜――って、ええ加減にせーや!!(怒)


 ――グイッ!クイッ!クイッ!


 もーやーめーてー、目が回る〜。


 あれ? なんか前にもこんなことあったよーな?


 確か、この後……


 ――くるり


 二人の間を行き来してたら、急に腕を掴まれ社交ダンスのターンのように一回転。そして、グイッと腰を抱かれて迫ってきた麗しきご尊顔は――


「二人とも懲りないわねぇ」


 舞香お姉様!?


「そんなだと可愛いお姫様をトンビに攫われちゃうって言ったでしょ」


 いやん、相変わらずとっても麗しいお・か・た。

 やっぱり、私の王子様は舞香お姉様なのかしら。


「舞香の言う通りだわ。男の子ってどーしようもないわねぇ」

「麗子ちゃん、こんなバカどもは放っておいて、女の子三人だけで楽しみましょ」


 わーい、舞香お姉様と美咲お姉様に挟まれて両手に花よ。


「麗子ちゃんにたかる悪い虫は私と舞香で追い払っておきますから」

「そーそー、悪い虫どもはそっちで勝手に戯れていてちょうだい」


 舞香お姉様がしっしと追い払うようにお兄様と早見に向かって手を振っておられますが……えっ、お兄様も悪い虫!?


 滝川が「俺もか!?」って青い顔してるけど、お前が一番悪い虫じゃ。


「和也はパーティーのたびに麗子ちゃんを女の子達の盾にしているそうじゃない」

「和也も反省が必要よね」


 そーだそーだ。


 滝川のせいで私はいつも女の子たちから敵意を剥き出しにされて針のむしろなんじゃ。猛省せよ、滝川!


 というわけで、女子三人できゃっきゃうふふよ。こんな綺麗どころが三人も集まって、周囲の男どもが騒いでおるわ。


 お兄様、はや、滝川がフリーになって女子達(ハンター)も色めき立っているがな。ああ、一瞬で大勢の女子に囲まれちゃった。


 三人が助けを求める視線を送ってきたが……知らん。


 ホントはお兄様だけでもお助けしたいんですが、麗子は恐くて近寄れません。あの肉食獣(ラブハンター)の群れに対抗できるのは美咲お姉様と舞香お姉様くらいでしょう。


「せめてお兄様だけでもお助けできませんか?」

「だーめ」


 提案してみたけど、舞香お姉様はにべもなし。


「雅人さんが麗子ちゃんにとって一番の悪い虫よ」


 えー、それはちょっと……お兄様まで悪い虫扱いはなぁ。


「麗子ちゃんって、実はモテモテだったって知ってた?」

「そうそう、高等部でも麗子ちゃんの話題でもちきりよ」


 えっ、マジ!?


 いや、騙されんぞ。だって、我に近づく男子おらんやんけ。


「んー、雅人さんがねぇ」

「あれじゃあ誰も麗子ちゃんに近寄れないわ」


 あれって何?――お前に大事な妹は任せられん!ってヤツかしら?


 やん、お兄様ったらぁ。


「雅人さんは男子の中では一番まともなんだけど……」

「どうして雅人さんって、麗子ちゃんのこととなると見境がなくなるのかしら?」


 舞香お姉様が苦笑いし、美咲お姉様が首を捻っておられますが……それはシスコンの宿命なのです。


「あの束縛さえなければ、私も即オッケーしてたんだけどね」

「ふふっ、舞香くらいよ。雅人さん相手にそんなこと言えるのは」


 ん? 舞香お姉様、お兄様と何かありまして?


 もしかして、お兄様をフッたのって舞香お姉様なのでは……でも、そんなこと聞けないし……でも聞きたい。


「あのぉ、舞香様はもしかして、お兄様のエスコートを……」

「「「雅人様!」」」「「「早見様!」」」「「「滝川様!」」」


 思い切って質問しようとしたら、いきなり飢えた肉食獣(ラブハンター)の集団に襲われた。


「俺を一人にするな」

「僕らを置いて行くなんて酷いよ」


 くっ、なんてもん引き連れてきやがる。もみくちゃにされて、我のドリルがぐちゃぐちゃになったじゃないか。ああ、こんなに螺旋力が低下したら、もう聞く勇気が湧かないわ。


「こらっ、三人とも何してんの!」


 散れ散れと舞香お姉様が追っかけ女子を蹴散らす。さすがです。


「和也、瑞樹、そうやって麗子ちゃんにいつも迷惑かけて!」

「いや、だけど美咲、あいつらしつこくて」

「言い訳は聞きません。今日という今日は二人とも説教よ」


 そして、美咲お姉様が滝川と早見の耳を引っ張り隅へと連行した。でも、なんだか滝川は嬉しそうだ。まあ、ヤツは美咲お姉様に構ってもらえればそれで良いのだろう。


「じゃあ、麗子はこっちにおいで」


 再びお兄様が抱き寄せて、私を腕の中にすっぽり。

 ああん、麗子はもうお兄様の愛の奴隷ですわ。


「あははは、雅人の周りは賑やかで飽きないなぁ」


 えっ、なに?


 いきなり笑われ振り向けば、そこにいたのは長髪を一纏めにした長身の男性。


 ちょっと、すっごいイケメンじゃない!?


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