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麗子様は好き勝手に生きてやる!  作者: 古芭白あきら
第4章 中等部のみぎり

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第124話 麗子様は真理の扉を開く。


「うううっ、どうして私がこんな目に……」


 私と桔梗(ききょう)ちゃんに挟まれて涙目の(すみれ)ちゃん。


 ホントごめんなぁ。


 だけど、菫ちゃん、カントリームシューのチーズあんシメサバ味とキャラまみれ、全部食べちゃったよね。


 等価交換だ!

 私のカントリームシュー半分あげたから、菫ちゃんの友情全部くれ。


 というわけで、有無を言わさず今日から菫ちゃんは私のマブダチよ。よろしくね。


「神宮寺桔梗よ、よろしく」

「私は清涼院麗子と申しますわ。どうぞよしなに」

「存じ上げております」


 なんか菫ちゃんが疲れ切った顔してますけど。どうしたん?


「二人とも有名人ですから」


 あら、私達って、この塾のネームドキャラなの?


「むしろ、神宮寺さんが私の名前を知っていることの方が驚きです」

「あら、神薙(かんなぎ)さんは、この塾の有名人ですもの」


 へぇ、菫ちゃんって、そんなに有名なんだ。


「私、この塾にいる目ぼしい子は押さえてあるの……日々矢(ひびや)学園中等部一年生、次席入学の神薙菫さん」


 えっ、菫ちゃんって、超難関進学校の日々矢で二番の成績なの。すっごいなー。あったまいー。


「それにしても、清涼院さんなら分かるけど……どうして私の名前まで知られているの?」


 なんでかしらって不思議そうにしてるけど……桔梗ちゃん、そりゃあんたが美少女だからに決まってるでしょ。


 それに、なんで私なら分かんのよ。

 私ってば、こんなに大人しいし、目立ってない……こともないけどさー。


 ちっ、螺旋力があかんのね。この溢れんばかりの螺旋力のせいで目立ってるのね。大鳳のボスロールだもんな。くすん。


「神宮寺さんはすごく美人だから……みんなから聖浄の紫の君って呼ばれてるし」

「えっ、紫の…なに?」


 桔梗ちゃんは意味が分からず目をパチクリさせてる。そんな仕草も可愛く見えるのよね。


 それにしても、何故に桔梗ちゃんが紫の君?……って、ははーん、なるほどね、光源氏の紫の上か。


 青紫色の花の桔梗にかけたのか。桔梗ちゃん、三つ指ついて三歩下がって陰に日向に尽くしますって、大和撫子な慎ましい見た目だもんね。


 中身は真逆だけど。

 はげしーもんなー。


 だけど、そっかー。

 桔梗ちゃんが紫の上かぁ。


「神宮寺様が紫の君なら、さしずめ私は明石の君ですわね」

「えっ!?」


 なによ、その『えっ!?』は。


「もしかして、私には何か良からぬ異名がつけられておりますの?」


 途端に菫ちゃんの目がキョドキョドと泳ぎ出す。

 ああ、そうだった。私、ボスロールだったわぁ。


「えーと、その……大鳳の則天麗子(そくてんれいこー)?」


 武則天ですか!

 もっと酷い!?


 日本では則天武后(そくてんぶこう)で馴染みのある中国唯一の女帝。そう言われると悪くない気がするでしょ?


 でもね、この人、妲己、呂后に並ぶ世紀の大悪女なのよ。

 しかも、ブコウとレイコを掛け合わせたダジャレですか。


「わ、私はそんな失礼な名前で呼んでいませんから」

「ですが、ボスロールとはおっしゃっておられましたわよね」


 私の指摘に菫ちゃんがあわあわしてる。見た目、しっかり者の優等生なのに、けっこう抜けてるわね。


「別に怒ってはおりませんわ」

「ほ、ほんとですか?」

「ええ、もちろんですわ」


 私は余裕のよっちゃんでにっこり微笑む。


 大鳳じゃ、ドリル大魔神だのコロネの悪夢だの言われてきとるかんな。今さらボスロールくらい……やっぱり腹立つわね。


「ですが、みなさんの心ない発言に、私、とても傷つきましたの」


 片手を頬に当て、ちょい表情を暗くして意気消沈してみせた。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


 あらあら、菫ちゃんが真っ青になっちゃった。


 いや、私は別にいじめてるわけじゃないのよ。ホントよ。

 だから、周囲の男子、そんな非難する目を向けてくんな!


「頭を上げてくださいませ」


 ちょっと、やめてよね。


 私への風当たりが強くなっちゃうじゃん……でも、これなら()()が実行できるんじゃない?


「先ほども申しましたが、謝る必要はございませんわ」

「ほんとにほんと?」

「ええ……とは言え、これからはきちんと名前で呼んでいただきたいですわ」

「はい、それはもちろんです」


 菫ちゃんがホッとした顔になる――ニヤッ。


「それではこれからよろしくお願い致しますわ」

「は、はい、よろしくお願いします……清涼院様」

「ふふっ、麗子で良いですわよ」

「えっ、あの……それでは、麗子様?」


 ふっふっふ、こうやって名前を呼び合えば、親近感が湧くってもんよね。これならきっと、菫ちゃんとすぐに仲良くなれるわ。


 もっと、踏み込んじゃいましょう。


「『様』もいりませんわ……私達、お友達でしょ?」

「えっ、お友達?」


 なんですか? 私と友達になるのがそんなに不満?


 私がちょっと不満顔をすれば、菫ちゃんがダラダラ汗を流し始めた。どうしたん?


「あっ、いえ、そうですね……麗子さん?」


 惜しい、もう一押し!


「ふふっ、違いますわよ――菫()()()

「えっ、違う?……それに……あっ、えーと、麗子……ちゃん?」


 やっふー!

 やっと友達と『ちゃん』付けで呼び合えた。麗子、大歓喜!


 あー、思えば今まで、心の中でしかちゃん付けできなかったもんねー。菫ちゃん、もう一生離しまへんでぇ。


「嬉しいですわ。菫ちゃんとは仲良くしたいと思っておりましたの」

「私も……その、嬉しいです。麗子ちゃん、思っていたより気さくで……ふふっ、噂と違って楽しい人ですね」


 おお、菫ちゃんが笑ってくれた。

 これから私と仲良くしてくれろ。


 えっ、オッケーって?

 やったー友達ゲット!


 いやぁ、念願が成就したわ。

 いい夢、見せてもらったぜ。


 とっても良いことありそうだ――そんな風に私が浮かれてたら、反対に桔梗ちゃんがむすっとして口を尖らせた。


「なぁに、麗子だけ?」


 ちょっと、桔梗ちゃんまで許可してないんだけど。しかも呼び捨てだし。急にやさぐれてどうしたん?


 はっは〜ん、さてはヤキモチね。


 私が菫ちゃんと仲良くなったのが面白くないんだわ。菫ちゃんに私を取られるって思ったのね。ふふっ、桔梗ちゃんったら、もー、か〜わ〜い〜い〜。


「私も名前で呼んで欲しいんですけど」


 もう、仕方ないなー。


「もちろんよろしくってよ、桔梗()()()

「なによ麗子、馴れ馴れしいわね」


 酷い!?


 そっちは呼び捨てのくせに!……ツンデレね。なんてツンデレなの!?


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